○品川区文化芸術・スポーツのまちづくり条例
平成19年12月10日条例第45号
品川区文化芸術・スポーツのまちづくり条例
前文
品川区は、東京湾に面した臨海部と山の手に連なる台地とからなり、古くから交通、交易の拠点として栄え、大森貝塚など歴史に名を残すところが数多く、江戸時代には東海道第一の宿としてにぎわい、明治時代に入ってからは近代工業の先駆け、京浜工業地帯の中心地域として人々が文化をはぐくみながら発展してきた。
文化芸術に関して、品川区民憲章(昭和57年制定)は、その前文で、輝かしい歴史と伝統を誇りとし、品川区の将来像を「文化の香り豊かな近代都市」として、品川区の発展にとって文化的なまちづくりが必要であることを明らかにしている。日本古来の伝統文化を大切にするとともに、品川区独自の文化芸術を伝承し、新たなものを創りだすことは、人々の感性を豊かにし、互いに理解し合い、尊重し合う風土をはぐくみ、ひいては都市に活力とにぎわいをもたらす源泉であるからである。
スポーツは、人間の身体的・精神的な欲求に応え、その活動を通じて心身をはぐくみ、規範と礼節を重んずる心を涵養する世界共通のものであり、見る者に努力の尊さと勇気の大切さを伝え、心に感銘を与える。
また、文化芸術とスポーツは、すべての世代にわたって地域への愛着と誇りをはぐくむ確かな礎であり、次代を担う子どもたちにとっても大きな励ましである。
加えて文化芸術とスポーツは、品川区が積極的に取り組んでいる国際交流にも大きく貢献している。文化芸術およびスポーツを通じての交流は、相互理解および親善を深めるために極めて重要なことである。
私たちは、こうした文化芸術とスポーツのもたらす恵沢がまちづくりに活かされ、品川区が心豊かなにぎわい都市としてさらに大きく発展することを願い、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、文化芸術およびスポーツの振興に関する基本理念を定め、品川区(以下「区」という。)の責務ならびに区民等および団体の役割を明らかにするとともに、文化芸術およびスポーツの振興に関する施策を総合的に推進することにより、区民等の自主的な文化芸術活動およびスポーツ活動を促進し、潤いのある健康で活力に満ちたまちづくりに資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 文化芸術 文学、音楽、美術、演劇その他の芸術、伝統芸能、伝統的な年中行事、文化財、生活文化等をいう。
(2) スポーツ 運動競技および身体運動(キャンプ活動その他の野外活動を含む。)であって、心身の健全な発達を図るためにされるものをいう。
(3) 区民等 区内に居住し、勤務し、または在学する者をいう。
(4) 団体 区内で活動する法人、地域団体その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 この条例に基づく文化芸術およびスポーツの振興は、区民等が愛着と誇りをもつことができる個性的で活力ある地域社会の実現を図るためのものでなければならない。
2 文化芸術およびスポーツの振興に当たっては、区民等および団体の自主性が尊重されなければならない。
3 文化芸術およびスポーツの振興に当たっては、区、区民等および団体の相互連携・協力が図られなければならない。
4 文化芸術の振興に当たっては、地域の歴史、風土および伝統文化の継承、保護および発展ならびに区民等が文化芸術を創造し、享受することその他の多様な活動のための環境の整備が図られなければならない。
5 スポーツの振興に当たっては、スポーツをすることもしくは見ること、スポーツについて学ぶことまたはこれらを支える多様な活動のための環境の整備が図られなければならない。
(区の責務)
第4条 区は、この条例の目的を達成するため、文化芸術およびスポーツの啓発に努めるものとする。
2 区は、基本理念にのっとり、文化芸術およびスポーツの振興に関する施策を総合的に推進するものとする。
3 区は、区民等が文化芸術およびスポーツに親しみ、意欲、技術等に応じて自主的な活動をすることができるよう施設等の環境の整備に努めるものとする。
4 区は、文化芸術活動およびスポーツ活動の促進に関する施策を実施するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
(区民等の役割)
第5条 区民等は、自らが文化芸術活動およびスポーツ活動の担い手であることを理解し、相互に尊重し合い、自主的な活動を通じて文化芸術およびスポーツの振興によるまちづくりに係る役割を積極的に果たすよう努めるものとする。
(団体の役割)
第6条 団体は、地域社会の一員として、自主的な文化芸術活動およびスポーツ活動の推進ならびに区民等の活動の支援を通じて、文化芸術およびスポーツの振興によるまちづくりに係る役割を積極的に果たすよう努めるものとする。
(国際交流の推進)
第7条 区は、文化芸術およびスポーツの振興によるまちづくりを図るため、これらの活動を通じた国際交流を積極的に推進するよう努めるものとする。
(顕彰)
第8条 区は、文化芸術活動およびスポーツ活動において著しい功績のあった者の顕彰を行うことができる。
2 区は、文化芸術およびスポーツの振興に寄与した者の顕彰を行うことができる。
(委任)
第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、別に定める。
付 則
この条例は、平成20年4月1日から施行する。