○品川区いじめ防止対策推進条例
平成28年3月24日条例第33号
品川区いじめ防止対策推進条例
いじめは、重大な人権侵害であり、決して許されません。
いじめは、どの子どもにも、どの学校でも起こり得ます。
いじめの根絶は、品川区、学校教育関係者、児童・生徒およびその保護者、地域住民その他関係機関が連携し、および協力して、いじめの未然防止・早期発見・早期解決を図るなど、地域社会が一丸となっていじめの防止等のための対策に努め、取り組むことが必要です。
品川区は、いじめ根絶宣言において宣言した、「いじめは、どんな理由があっても決してしてはならない。」「いじめは、どんな状況にあっても見すごしてはならない。」「全ての区民参加で、いじめは絶対に許さない社会をつくりあげる。」の実現に向け、いじめの防止等のための対策を確実に推進することを決意し、この条例を制定します。
(目的)
第1条 この条例は、児童等に対するいじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見およびいじめへの対処をいう。以下同じ。)に係る基本理念ならびに区、区立学校等の責務および地域住民等の役割を明らかにするとともに、いじめの防止等を図るための基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) いじめ 児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的または物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
(3) 児童等 区立学校に在籍する児童または生徒をいう。
(4) 保護者 親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
(5) 地域住民 町会、自治会その他区内で事業活動を行う法人その他の団体および個人をいう。
(6) 関係機関等 児童相談所、警察署その他児童等のいじめの問題に関係する機関および団体をいう。
(基本理念)
第3条 いじめの防止等のための対策は、いじめが全ての児童等に関係する問題であることに鑑み、児童等が安心して学習その他の活動に取り組むことができるよう、区立学校の内外を問わずいじめが行われなくなるようにすることを旨として行わなければならない。
2 いじめの防止等のための対策は、全ての児童等がいじめを行わず、および他の児童等に対して行われるいじめを認識しながらこれを放置することがないようにするため、いじめが児童等の心身に及ぼす影響その他のいじめの問題に関する児童等の理解を深めることを旨として行わなければならない。
3 いじめの防止等のための対策は、いじめを受けた児童等の生命および心身を保護することが特に重要であることを認識しつつ、区、区立学校、保護者、地域住民および関係機関等の連携の下、いじめの問題を克服することを目指して行わなければならない。
(いじめの禁止等)
第4条 児童等は、いじめを行ってはならない。
2 児童等は、いじめを受けていると思うときは、保護者、区立学校の教職員、区または関係機関等に相談するよう努めるものとする。
3 児童等は、他の児童等がいじめを受けているときまたはいじめを受けていると思うときは、いじめを傍観せず、保護者、区立学校の教職員、区または関係機関等に報告するよう努めるものとする。
一部改正〔令和6年条例4号〕
(区の責務)
第5条 区は、第3条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国および都と協力しつつ、区の実情に応じた施策を策定し、および実施する責務を有する。
(区長の責務)
第5条の2 区長は、基本理念にのっとり、教育委員会および区立学校との連携の下、いじめの防止等のための施策を総合的かつ実効的に実施する責務を有する。
追加〔令和6年条例4号〕
(教育委員会の責務)
第6条 品川区教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、基本理念にのっとり、区立学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
(区立学校および区立学校の教職員の責務)
第7条 区立学校および区立学校の教職員は、基本理念にのっとり、保護者、地域住民および関係機関等との連携を図りつつ、区立学校全体でいじめの防止および早期発見に取り組むとともに、当該区立学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、適切かつ迅速にこれに対処する責務を有する。
(保護者の役割)
第8条 保護者は、子の教育について第一義的責任が保護者にあることから、その保護する児童等がいじめを行うことのないよう、当該児童等に対し、規範意識を養うための指導その他の必要な指導を行うよう努めるものとする。
2 保護者は、その保護する児童等がいじめを受けていると思うときは、適切に当該児童等をいじめから保護するものとし、区立学校の教職員、区または関係機関等に相談するよう努めるものとする。
3 保護者は、区および区立学校が講ずるいじめの防止等のための措置に協力するよう努めるものとする。
一部改正〔令和6年条例4号〕
(地域住民の役割)
第9条 地域住民は、それぞれの地域において児童等に対する見守り、声かけ等を行い、児童等が安心して過ごすことができる環境づくりに努めるものとする。
2 地域住民は、児童等がいじめを受けているときまたはいじめを受けていると思うときは、速やかに区、区立学校または関係機関等に情報を提供するよう努めるものとする。
一部改正〔令和6年条例4号〕
(関係機関等の役割)
第10条 関係機関等は、いじめの防止等に関する啓発活動等を積極的に実施するとともに、区および区立学校との連携および協力に努めるものとする。
2 関係機関等は、いじめに関する情報を入手したときは、速やかに区および区立学校に報告するよう努めるものとする。
(品川区いじめ防止対策推進基本方針)
第11条 区は、いじめ防止対策推進法(平成25年法律第71号。以下「法」という。)第12条の規定に基づき、品川区いじめ防止対策推進基本方針を定める。
(学校いじめ防止基本方針)
第12条 区立学校は、法第13条の規定に基づき、学校いじめ防止基本方針を定める。
(品川区いじめ根絶協議会)
第13条 区は、法第14条第1項の規定に基づき、品川区いじめ根絶協議会(次項において「協議会」という。)を置く。
2 協議会は、区立学校におけるいじめの防止等のための対策に関する事項、いじめの防止等に関係する機関および団体の連携に関する事項等を協議するものとする。
(品川区いじめ対策委員会)
第14条 教育委員会は、法第14条第3項の規定に基づき、教育委員会の附属機関として、品川区いじめ対策委員会(以下「対策委員会」という。)を置く。
2 対策委員会は、教育委員会の諮問に応じ、次に掲げる事項について調査審議し、教育委員会に意見を述べるものとする。
(1) いじめの防止等のための対策の推進
(2) 第20条に規定する重大事態に係る事実関係
3 対策委員会は、教育委員会が委嘱する委員5人以内をもって組織する。
4 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 教育委員会は、対策委員会に第2項第2号に掲げる事項を調査審議させるために必要があると認めるときは、臨時委員を置くことができる。
6 臨時委員の任期は、教育委員会が任命したときから調査審議が終了するときまでとする。
7 前各項に定めるもののほか、対策委員会の組織および運営に関し必要な事項は、品川区教育委員会規則で定める。
一部改正〔令和5年条例62号〕
(区立学校におけるいじめの防止)
第15条 教育委員会および区立学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、市民科学習、体験活動等の充実を図らなければならない。
2 教育委員会および区立学校は、当該区立学校におけるいじめを防止するため、当該区立学校に在籍する児童等の保護者、地域住民および関係機関等の連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該区立学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該区立学校に在籍する児童等およびその保護者、地域住民ならびに当該区立学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
(いじめの早期発見のための措置)
第16条 教育委員会および区立学校は、当該区立学校におけるいじめを早期に発見するため、当該区立学校に在籍する児童等に対する定期的な調査その他の必要な措置を講ずるものとする。
2 区は、児童等、保護者、地域住民等が安心して、いじめに関する通報および相談を行うことができる体制を整備するものとする。
3 教育委員会は、いじめに関する通報および相談を受け付けるための組織として、心理、福祉等に関する専門的知識を有する者で構成する学校支援チーム(以下「支援チーム」という。)を設置する。
4 区立学校は、当該区立学校に在籍する児童等およびその保護者ならびに当該区立学校の教職員がいじめに係る相談を行うことができる体制を整備するものとする。
5 区長は、いじめに関する情報の一元化を図り、教育委員会と連携し、いじめに迅速かつ適切に対処することができるよう組織体制を整備するものとする。
一部改正〔令和6年条例4号〕
(いじめを受けた児童の支援等)
第17条 区は、いじめを受けた児童等またはその保護者の意向を踏まえ、当該児童等または当該保護者に対し、いじめの早期解決に向けた必要な支援を行うほか、必要に応じて、いじめに関する情報を適切に提供するものとする。
2 区は、いじめを行った児童等またはその保護者に対し、必要に応じて、いじめの再発を防止するために必要な支援を行うものとする。
3 教育委員会は、いじめを受けた児童等またはその保護者に対する支援、いじめを行った児童等に対する指導またはその保護者に対する助言その他のいじめの防止等のための対策が関係者の連携の下に適切に行われるよう、区立学校、保護者、地域住民および関係機関等との間の連携の強化をするため、必要に応じ支援チームを派遣するものとする。
一部改正〔令和6年条例4号〕
(インターネットを通じて行われるいじめに対する対策の推進)
第18条 教育委員会および区立学校は、当該区立学校に在籍する児童等およびその保護者が、インターネットを通じて行われるいじめを防止し、および効果的に対処することができるよう、これらの者に対し、必要な指導、啓発活動等を行うものとする。
(いじめに対する措置)
第19条 教育委員会は、法第23条第2項の規定による報告を受けたときは、いじめに対する措置を講じ、および調査を行うため、必要に応じて、当該報告を行った区立学校へ支援チームを派遣するものとする。
2 区長は、区立学校に係るいじめまたはいじめと思われるものに関する通報および相談を受けたときは、その事実を確認し、および解決を図るために、必要に応じて、調査等を行うことができる。
3 区長は、前項の規定による調査等のため、必要があると認めるときは、教育委員会または区立学校に対し、必要な資料の提出および説明を求めることができる。
4 区長は、第2項の規定による調査等の結果、いじめの事実またはいじめの疑いがあり、かつ、教育委員会または区立学校が法に基づく適切な措置を講じていないときその他特に必要と認めるときは、いじめを受けた児童等を救済するため、教育委員会に対し、次に掲げる措置を講ずるよう勧告を行うことができる。
(1) いじめを受けた児童等またはその保護者への支援
(2) いじめを行った児童等への指導またはその保護者への助言
(3) いじめを行った児童等の保護者に対する学校教育法(昭和22年法律第26号)第35条第1項(同法第49条において準用する場合を含む。)の規定による当該児童等に係る出席停止の命令その他いじめを受けた児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置
5 区長は、前項の規定による勧告を行おうとするときは、いじめの防止等に関する専門的知見に基づいて、公正かつ中立な判断をすることができる者の意見を聴くものとする。
6 教育委員会は、第4項の規定による勧告を受けたときは、当該勧告を尊重し、必要な措置を講ずるよう努めるとともに、当該勧告に係る対応状況を区長に報告するものとする。
一部改正〔令和6年条例4号〕
(教育委員会による重大事態への対処)
第20条 教育委員会は、次に掲げる場合には、その事態(以下「重大事態」という。)に対処するため、速やかに、対策委員会に当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行わせるものとする。
(1) いじめにより当該区立学校に在籍する児童等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
(2) いじめにより当該区立学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
2 対策委員会は、前項の規定による調査を行った場合は、その結果を教育委員会に報告するものとする。
3 教育委員会は、第1項の規定による調査を行った場合は、当該調査に係るいじめを受けた児童等およびその保護者に対し、当該調査に係る重大事態の事実関係その他の必要な情報を適切に提供するものとする。
(区長による重大事態への対処)
第21条 区立学校は、前条第1項各号に掲げる場合には、教育委員会を通じて、重大事態が発生した旨を区長に報告しなければならない。
2 前項の規定による報告を受けた区長は、当該報告に係る重大事態への対処または当該重大事態と同種の事態の発生の防止のため必要があると認めるときは、法第30条第2項の規定に基づき、区長の附属機関として、品川区いじめ問題調査委員会(以下「調査委員会」という。)を置くことができる。
3 調査委員会は、区長の諮問に応じ、前条第1項の規定による調査の結果について調査を行い、その結果を区長に報告するものとする。
4 区長は、前項の規定による報告を受けた場合は、その結果を区議会に報告しなければならない。
5 区長および教育委員会は、第3項の規定による調査の結果を踏まえ、自らの権限および責任において、当該調査に係る重大事態への対処または当該重大事態と同種の事態の発生の防止のために必要な措置を講ずるものとする。
6 調査委員会は、区長が委嘱する委員5人以内をもって組織する。
7 委員の任期は、区長が任命したときから調査が終了するときまでとする。
8 前各項に定めるもののほか、調査委員会の組織および運営に関し必要な事項は、品川区規則で定める。
(区立学校以外の学校への協力要請)
第22条 区は、区立学校以外の学校の設置者または管理者に対し、いじめの防止等について必要な協力を求めることができる。
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、区長または教育委員会が別に定める。
付 則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。
付 則(令和5年12月7日条例第62号)
この条例は、公布の日から施行する。
付 則(令和6年3月28日条例第4号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。