#17 中延商店街
浅海 直一さん ∞ 伊吾田 貴一郎さん
ーー中延商店街振興組合の理事長として商店街を牽引している浅海さん。浅海さんの普段のお仕事についてうかがった。
浅海さん
本業は「清水屋金物店」という金物屋で商売をやっています。
ーー中延商店街の特徴とは。
浅海さん
ウチの商店街は約330メートルで、武蔵小山商店街に次ぐくらいの、東京タワーとほぼ同じ長さがあるらしくて、歴史が古いアーケードの商店街として品川区では有名かなと思っています。
ーー1947年に「荏原中延商店街協同組合」が結成され、1963年に「中延商店街振興組合」へ組織変更した。荏原中延駅から中延駅に伸びる全長330メートルの地域密着型アーケード商店街である。各種イベントにも力を入れており、毎年開催される「こどもらんど」や「ハロウィン・ウィーク」のほか、隔年で交互に行われる「中延ねぶた祭り」と「中延よさこい祭り」は毎回アーケード内が熱気に包まれる。
ーー中延商店街のビッグイベントのひとつであり、都内最大級のねぶたが間近に見られる「中延ねぶた祭り」。このお祭りが行われるようになったきっかけについてうかがった。
浅海さん
ねぶた祭りに関しては、福島県の長沼町が品川区とつながりがあって、中延から長沼町に出向いたところ、ねぶたですごく人が出てにぎわっていることが分かりました。それならウチの商店街でもやってみようというのが30年前ですかね。ねぶた祭りの日は3万人くらい来ますので、非常に大きなお祭りになっていますね。
ーーねぶた祭りと隔年で行なわれている「中延よさこい祭り」も、商店街の道幅いっぱいに繰り広げられる熱いパレードが圧巻の人気イベント。
浅海さん
よさこい祭りに関しては、もともとは盆踊り大会があって、うちの奥さんもやっていたんですけれど、年齢がかさむにつれて腰が痛い、足が痛いという話になりまして。小学校で「よさこいソーラン」というのをやっているんですよ。その「よさこいソーラン」を商店街でもやってみようかというので、よさこい祭りが始まりました。15~16年前からですかね。ねぶた祭り・よさこい祭り、2つとも盛況になってきていますね。
中延商店街 理事
伊吾田 貴一郎さん
Igota Kichiro
ーー中延商店街の理事として商店街を盛り立てている伊吾田さん。伊吾田さんの普段のお仕事についてうかがった。
伊吾田さん
僕は「肉の伊吾田」というお肉の小売屋さんをやっています。
ーー中延商店街振興組合での伊吾田さんの役割とは。
伊吾田さん
商店街のイベント部に入っていまして、ねぶた祭りなどを動かしていく役割ですね。今、商店街のイベント部で動いているのがだいたい12人くらいです。
ーー中延商店街振興組合では、数万人規模のイベントを企画から運営に至るまで、自分たちの手でつくり上げている。そこにある想いとは。
伊吾田さん
イベント会社に頼んでしまえば簡単で楽になるんだけど、やっぱり苦労した分、大変だった分、喜びも倍だろうし、思い入れが変わってくると思うんですよね。苦労分の喜びはあると思います。
ーー伊吾田さんは商店街に訪れる子どもたちに向けたイベントを大切にされているそうだ。それらのイベントのひとつである「こどもらんど」についてうかがった。
伊吾田さん
「こどもらんど」に関しては、夏休みの最終週の日曜日に行っていまして、近隣の子どもたちの夏休みの最後の思い出作りということで。商店街が4ブロックに分かれているんですけれど、各ブロックが出し物を2~3個ずつ出して、1回100円で気兼ねなく子どもが楽しめるようにしています。商店街としてもやっぱり子どもが楽しめる商店街であってほしいので、僕は大事にしているイベントですね。
ーー中延商店街振興組合で共に尽力されているお二人の出会いについてうかがった。
浅海さん
なにしろこの中延で、俺は“直ちゃん”だし、(伊吾田さんは)いまだ“キー坊”って呼ばれてるからね(笑)
伊吾田さん
いつになったら大人になれるのか(笑) でも、昔から顔は知っていましたもんね。
浅海さん
顔は知ってた!
伊吾田さん
やっぱり商店街に関わるようにならないと付き合いはなかったですね。
浅海さん
そうだね。自分のお店で商売して、中延商店街に関わっていかないとあまり分からなかったかな。
伊吾田さん
「知ってる」くらいで終わっちゃったかもしれない。
浅海さん
そうそう。
伊吾田さん
そのほうがお互い幸せだったかもしれない(笑)
浅海さん
幸せだった?(笑)
ーー互いに中延商店街で生まれ育ったお二人の思う、中延の魅力とは。
浅海さん
中延の魅力というと、住みやすくて下町っぽいところだよね。なにしろどこ行くにも「直ちゃんどこ行くの?」って(笑) ある意味、大人が見守ってくれるのが良いところ。でも、思春期の頃なんかはちょっと恥ずかしくて。
伊吾田さん
どこ行ってもバレちゃう(笑)
浅海さん
そうそう。それで大学や社会人になって別の地方に住んだこともあるけど、中延に戻ってきて、あらためて中延の魅力を感じてる。病院も近いし、買い物にも困らないし、非常に住みやすいまちだよね。
伊吾田さん
みんなどこでも"住めば都"って言いますけど、僕はずっと中延にいて、出たいと思ったことは一度もないですね。
浅海さん
そうなんだ!
伊吾田さん
便利だし、やっぱり愛情があるんじゃないですかね。中延愛みたいな!
浅海さん
そうだね、お祭りもやってるしね!
ーー中延というまち、そして中延商店街に深い愛情を持つお二人。今後の展望についてうかがった。
浅海さん
このへんだと半径300~400メートルくらいのお客さんをターゲットにしているんだけれど、半径1キロメートルくらいに広げて、五反田バレーの協力を得てホームページでいろいろと案内して、少しずつ輪を広げていきたいなと思っているんだよね。
伊吾田さん
僕は今いる人にしっかり楽しんでもらえるような「ちょっと暇だから商店街行こう」って言ってもらえるようになりたい。やっぱり僕は、こどもらんどやハロウィンに全力を注ぎたいくらいの気持ちなんですけどね。
浅海さん
そう考えると今、そういうアナログの温かいイベントもやりたいですよね。
伊吾田さん
子どもが喜ぶのが一番!
浅海さん
たしかに。
活気のある商店街は 活気のあるまちをつくる
それぞれの想いを胸に 地域を盛り上げる人々がいる
商店街を歩くお二人からは 地域に寄り添いながら
中延商店街を発展させていく決意に溢れていた
最後に、お二人から地域で活躍されている区民の方をご紹介いただいた。