#07 八潮まつり
丹治勝重さん ∞ 橋口隆之さん
八潮を代表するイベント「八潮まつり」
太鼓の音が鳴り響き 活気溢れるこのお祭りは
人と地域のつながりを育み 八潮の文化を発展させている
そんな「八潮まつり」に力を注ぐお二人に
八潮の魅力についてうかがった
丹治勝重さん
Tanji Katsushige
──丹治さんは八潮パークタウンに、入居開始時である昭和58(1983)年から入居され、現在は八潮自治会連合会の会長を務めながら、品川区町会自治会連合会の会長という重責も担っている。地域のために忙しい日々を送っている丹治さんに、八潮のまちの特徴をうかがった。
丹治さん
八潮というまちは比較的新しいまちで、商店街や神社、お寺などが存在していませんので、住民同士のつながりがなかなか上手く機能しないという特色がありました。そういう中で、住民の皆さんと協力をしながら、八潮ならではのお祭りやイベントを進められたらなと思っています。
丹治さん
夏の区民まつり「八潮まつり」等では大勢の方に参加していただいて、本当に大きな八潮の一大イベント、大変盛大な「八潮まつり」になってきていると思います。
──毎年7月半ばに行われる「八潮まつり」は、品川区民まつりの1つとして開催される八潮地区最大のイベント。焼きそばや焼き鳥、手作りの雑貨や手芸品等の販売、地域団体によるダンスや演奏が披露され、大きな盛り上がりを見せる。
橋口隆之さん
Hashiguchi Takayuki
──八潮太鼓之会に、橋口さんが関わるきっかけとは。
橋口さん
もともと僕がまだ子どもの頃、この(八潮)団地ができたときにお祭りも何もなかったので、新しくできたばかりのまちに文化を残したいよね、という話が出ていました。そこで僕の父に「太鼓をやっているんだったら子どもたちに教えて、叩かせてみないか」という声がかかり、それがきっかけで僕の同級生を何人か集め、上の学年の子たちも含めて、八潮まつりで太鼓を叩かせていただき、それが良かったので「じゃあ、会にしようよ」ということで八潮太鼓之会になったという経緯ですね。
──「新しいまちに文化を」「ここで育つ子どもたちが、故郷と呼べるまちに」という願いのもと、昭和60(1985)年に和太鼓奏者だった父、史郎さんが創設。子どもの部と大人の部、合わせて50名近くのメンバーが在籍。令和元(2019)年11月17日(日)には八潮学園で35周年記念公演を開催する。橋口さんも和太鼓奏者として活躍する中、八潮太鼓之会を指導。和太鼓が持つ魅力を伝えるべく活動している。
──八潮太鼓之会がまちにもたらした影響とは。
橋口さん
そうですね、小さい頃に目にしたものや体験したものって、意外と大きくなってからも懐かしい思い出として体に残っていたりするんですよね。外の世界に出て行った子どもたちが八潮に戻ってきたときに、また太鼓をはじめてくれたり、演奏を見にきてくれたりすることも増えてきて、当初目的にしていた「まちの文化」という役割を果たすことができてきたと感じています。
丹治さん
八潮太鼓は35年経った今、全国的に活動されていますし、そのうち世界に羽ばたいていただけたら大変うれしく思いますよ。
──歴史や文化がなかった新しいまち、八潮。その八潮を盛り上げようと異なる立場で活躍されるお二人に改めてうかがった。お二人にとって八潮とはどんなまちなのだろうか。
橋口さん
八潮に帰ってくると「ああ、帰ってきたな」という感じがとてもするんですよね。
丹治さん
もう、ふるさと八潮ですもんね。
橋口さん
そうですね。
丹治さん
(住民にとって八潮が) ふるさとという位置づけになっていますからね。
橋口さん
八潮のいいところっていうのは、緑も多いし、東京じゃないところに来ちゃったみたいな、何かそういう安心感というか。ホッとするような空間があるので、その空気はいつまでも無くならないでいて欲しいな、という気持ちでいます。
インスタグラム「#まるで品川区じゃないみたい」より
──八潮まつりや八潮太鼓、それらとともに残していきたいまちの特色がお二人にはあるようだ。
丹治さん
八潮パークタウンは、地中海のまち並みをイメージして作られているんですよ。今は大規模修繕で色が変わっているところもありますが、当時から白い壁に茶色の屋根瓦の建物が多くて。
橋口さん
そういう環境やまち並みを守っていきたいですよね。
丹治さん
入居当時、たくさんの人々が一気に入居してきたので、引っ越しのゴミでまちの景観が良くない時期がありました。そのとき、なんとかこの新しいまちを美しくしたいという思いで、住民の方々の協力のもと美化活動が始まったんです。このような地域活動は継続していかないとなと思います。
橋口さん
そうですね。八潮はきれいだし、まちの間取りもゆったりしていて、子どもを育てたり、わいわい遊んだり、そういったことができますよね。いつまでも、そんなふうに安心できるまちであってほしいです。
──東京港トンネル(国道357号)が東西に開通し、交通の利便性が高まった八潮。東京2020オリンピック・パラリンピック大会では、八潮地区にホッケーとビーチバレーボールの2つの会場がつくられる。さらに、八潮の東京貨物ターミナルを経由して、東京都心部と羽田空港を結ぶ新路線「羽田空港アクセス線」を建設する計画も発表された。そんな八潮の今後についてうかがった。
丹治さん
大井ふ頭中央海浜公園が東京2020大会のホッケー会場に決まったときは、会場のとなりに八潮団地という大変きれいなまち並みがあったよ、という記憶を残していただけるような活動をしたいと思いました。これからは次の世代の橋口さんにもそういうことを担っていただいて、八潮の観光、文化、歴史をつくっていただけたらいいかなと思います。
橋口さん
そうですね、こちらこそよろしくお願いします。
緑と水辺に囲まれた 美しいまち 八潮
「八潮はふるさと」と お二人は笑顔で語っていた
世代を超えて 八潮のまちに文化を育んでゆく人々
太鼓の音色は 彼らの鼓動のように 力強く 色あせない
最後にお二人から地域で活躍されている区民の方をご紹介いただいた