化学物質過敏症をご存知ですか?

更新日:令和3年4月1日

化学物質が原因と思われる健康被害が増加傾向を示していることから、室内で発生する化学物質の低減化に向けた取り組みが求められています。
特に、脳神経が発達段階にある低年齢児は、一日のほとんどを室内で過ごしていることから影響は大きく、保護者や保育園などの施設管理者は、化学物質に対する十分な配慮が必要です。

化学物質による健康被害とは

化学物質による健康被害は人により異なり、様々な症状が現われます。
目、鼻および喉などの痛み、頭痛、肩こり、倦怠感、さらには思考力低下や抑うつ気分、時にはアレルギー症状が悪化することもあります。

もし、室内にいるときにのみ症状が現われ、外出すると症状が軽減するようであれば、化学物質による健康被害が疑われます。
初期には、特定の化学物質にのみ反応して体調異変が現われますが、体内への取り込みが進むと、ある時一気に悪化します。ほとんどの化学物質に反応して症状が現われ、普通の生活が困難になった状態が化学物質過敏症です。

これらは自律神経が侵されることで発症するといわれていますが、その詳しいメカニズムはまだ不明な部分もあります。化学物質過敏症になったため、持病の治療薬が飲めないとか、化粧さえできないなどのケースも報告されています。

化学物質による健康被害がふえている?

私たちの身の周りは多くの化学物質であふれています。 消化器や皮膚から体内に取り込まれるものもありますが、呼吸により肺から取り込まれる量が最も多く、全体の80%以上といわれています。

特に、揮発性有機化学物質(VOC)は室内空気中に多く含まれ、知らないうちに取り込んでしまうおそれがあります。過去に相当量を摂取している人が、転居をきっかけに発症することがよくあります。

厚生労働省は、特に身近な13の化学物質について室内環境指針値を定め、空気中への発散を抑えるよう注意を促しています。 しかし、実際はもっと数多くの化学物質が空気中に含まれているのですが、すべてに指針値を設けるのは困難です。指針値が定められていないこれらの化学物質によっても、健康被害が発生する可能性があります。

厚生労働省が指針値を定めた室内の揮発性有機化合物

揮発性有機化合物名

指針値(μg/㎥)

住宅内における主な使用目的など

ホルムアルデヒド

100

合板、パーティクルボード、接着剤、防腐剤
トルエン

260

接着剤や塗料の希釈液
キシレン

200

接着剤や塗料の希釈液
パラジクロロベンゼン

240

衣類防虫剤
エチルベンゼン

3800

接着剤や塗料の希釈液
スチレン(モノマー)

220

断熱材や浴室ユニット、畳心材、塗料、接着剤等の樹脂、合成ゴム

フタル酸ジ-n-ブチル

17

塗料や顔料、接着剤の可塑剤

クロルピリホス

1

(小児を対象に)0.1

殺虫剤、防虫剤、防蟻剤
テトラデカン

330

灯油、塗料の溶剤

フタル酸ジ-2-エチルヘキシル

100

壁紙や床材、各種フィルム、電線被覆等の可塑剤
ダイアジノン

0.29

殺虫剤
アセトアルデヒド

48

接着剤、防腐剤
フェノブカルブ

33

接着剤、防腐剤
ノナナール(暫定物質)

41(暫定目標)

香料

総揮発性有機化合物(TVOC)

400(暫定目標)

 

診断と対策

化学物質による健康被害が疑われたら、原因と思われる生活空間からできるだけ早く遠ざかり、症状がこれ以上進むことを避けなければなりません。 場合によっては転居する必要も生じてきます。

初期の段階で専門医療機関の診察を受け、化学物質によるものと診断されたら、原因物質を除去する必要があります。 購入したばかりの家具や内装を替えた部屋などがあれば、材料に含まれる化学物質が原因かもしれません。メーカーや施工業者に成分を調べてもらい、原因が疑われた家財などは使用を中止し、内装工事などはやり直してもらうことも必要かもしれません。

日頃の対策はこんなところから

最近の住宅は気密性や断熱性に優れ、住宅の内と外が遮断された造りになっています。 そのため、室内に発生した化学物質は屋外に排出されにくく、居住者は知らないうちに化学物質を取り込むことになります。

余分な化学物質を取り込まないよう、次のような配慮が大切です。

  1. 居室内に発生した化学物質を、排出するよう努めましょう 居室は常時換気を行うことで室内化学物質濃度を減らすことができます。家具や建材に使われたホルムアルデヒドのように何十年も出続けるものもあり、日ごろの換気は欠かせません。
  2. 化学物質を多く含む製品の使用はできるだけ控えましょう トイレの芳香剤や防臭剤、殺虫剤や忌避剤などの家庭用衛生材料の多くは、その主成分である化学物質が揮発することで効果を発揮します。これらを使用すれば、呼吸により体内に取り込まれてしまうことは避けられません。安易な殺虫剤の使用を避けるなど、化学物質に頼らない生活スタイルに切り換えることも必要です。
お問い合わせ

品川区保健所生活衛生課環境衛生担当
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FAX:03-5742-9104