アレルギーについて(含む花粉情報)
更新日:平成24年3月6日
21世紀はアレルギーの世紀とも言われ、アレルギーは健康上の新しい課題となっています。
日本人の2人に1人は何らかのアレルギー性疾患に罹患していると報告されています。
アレルギーは日常生活の注意で発症や悪化を予防できることもあり、アレルギーに関する知識をQ&A形式でお伝えします。
Q:どのようなアレルギーの人が増えているのでしょうか?
A: アレルギー疾患それぞれの状況は下記の通りです。
○気管支ぜん息について
気管支ぜん息は、小児、成人ともに、ここ10~20年間で急増しているといわれています
小児については、ここ20年で約3倍の増加を示し、2002年までは少なくとも急増していたが、 2005年以降の調査で横ばいから微増にとどまった
とする報告があり、今後の動向については経時的調査が必要です.
成人(20~44歳)における国内初の全国11箇所大規模疫学調査(2006年調査)では、ぜん息有病率は5.4%、最近1年間のぜん鳴症状のある
ぜん息有症率は9.4%でした
成人についての経年的調査研究は、大規模な研究はないものの、定点調査(静岡県藤枝市)において、医師により診断されたぜん息有病率は、
1985年が2.1%、1999年が3.9%、2005年が6.9%と急増しています。
以上、国民全体では少なくとも約800万人が気管支ぜん息に罹患していると考えられます。
○アレルギー性鼻炎・花粉症について
花粉症は世界的に、特に先進国において増加しています。通年性アレルギー性鼻炎は、室内アレルゲン(ハウスダスト、ダニ、ペット、真菌
など)が主な原因です。
2005年に行われた全国疫学調査では、花粉症を含む鼻アレルギーの頻度は成人で47.2%でした。
全国の耳鼻科医とその家族におけるアレルギー性鼻炎有病率調査において1998年と2008年の比較では、アレルギー鼻炎全体は29.8%
から39.4%に増加、スギ花粉症も16.2%から26.5%に増加しています。
通年性鼻炎は若年層に多く、一方、スギ花粉症は若年から中年層に幅広く認められますが、近年では小児期の発症が目立ってきています。
○アトピー性皮膚炎について
4カ月から6歳では12%前後認め、成人のアトピー性皮膚炎も20~30歳代で9%前後の頻度で認められることが明らかとなっています。
◎これらの結果から増加の主体はアレルギー性鼻炎(花粉症を含む)と気管支ぜん息の増加によると考えられています。
参考:アレルギー疾患診断治療ガイドライン2010・厚生労働科学研究赤澤班 2010報告書・鼻アレルギー診療ガイドライン2009
・アトピー性皮膚炎治療ガイドライン2008
Q:アレルギーはなぜ増えているのでしょうか?
A: 体質や遺伝も考えられますが、食生活や環境の変化、ストレスの増加なども影響を与えているといわれています。
しかし、はっきりした理由はわかっていません。環境の変化には以下のようなものが考えられます
○住環境の変化
サッシ窓の普及によって室内の気密性が高まったことにより、室内で発生した水蒸気が屋外に排気されにくくりました。 このことにより畳や
カーペットの裏で結露が生じたり、押入れに収納している寝具が湿気を吸うことでダニの棲息に有利となり、アレルゲン(アレルギーの原因物質)
のハウスダスト(ダニの糞や死骸)が増えました。
○大気や空気の変化
自動車排気物による大気汚染や建材や殺虫剤などの生活用品、たばこによる室内の空気の汚染が、
気管支喘息の原因である
アレルゲンを増やしたり、アレルギー症状の悪化を招いています。
○杉などの植林による花粉の増加も、アレルギー性鼻炎や結膜炎を発症させる要因の一つとなっています。
Q:アレルギーの予防・治療はどのような点を注意したらよいでしょうか。
A: 基本はアレルゲンを避け、環境から取り除くことです。代表的なアレルギー性疾患については次のようです。
○気管支喘息
気管支喘息の原因としては、遺伝、生活環境、ストレスなどが考えられます。ハウスダスト、ダニ、カビなどやたばこの煙もぜん息の発作を悪化
させることがあります。
ダニやカビが増えやすい場所(下図)を参考にして、原因となるアレルゲンをできるだけ避けましょう。
○花粉症(アレルギー性鼻炎・結膜炎)
花粉予報に注意して、症状を軽くするための早めの服薬や、花粉が飛散し始めた後は、マスク、ゴーグルをなどを上手に使いましょう。
花粉の飛散情報も参考にしましょう。⇒東京都の花粉情報は下記参考ホームページにあります。
花粉を家の中まで持ち込まない工夫(外出時の衣服は花粉をはたいて家に入る)をしましょう。
○アトピー性皮膚炎
皮膚の清潔と保湿が基本です。食物との関係は主治医に相談し慎重に判断します。
じゅくじゅくし血が滲むような重いアトピー性皮膚炎では、ステロイド軟こうを一時的に使う場合もあります。 使い方を主治医に相談しましょう。
ハウスダストも悪化させる原因になるため、カーペット、ソファー、縫いぐるみ、カーテン、ペットなどにも注意します(下図)。
○食物アレルギー
乳幼児期に多く発症し、成長とともに軽快していくものが多いのが特徴です。
症状がある場合は、原因と推定される食物(卵、牛乳、小麦 大豆等)を控えます。加工食品に含まれるアレルゲンついては包装表示に
注意しましょう。
食物アレルギーの治療の基本は、アレルギーの原因となっている食物を正しく判断し、必要最低限の除去をすることです。
食物アレルギーかなと思ったら、医療機関を受診し、適切な診断と指導を受けましょう。
○離乳食について
アレルギーの疑いがあっても、離乳食の開始は通常通り5~6カ月頃から行います。
ただし、離乳食に用いる食品については、医師に相談するなどして慎重に用いていきましょう。

参考ホームページ
お問い合わせ
室内環境については 品川区保健所生活衛生課医薬環境衛生担当 電話5742-9138
その他については 品川保健センター 電話3474-2000
大井保健センター 電話3772-2666
荏原保健センター 電話3788-2000