こころの病気と健康
更新日:令和5年7月18日
こころの病気は誰にでも起こりうる身近な問題です
私たちは、日々何らかのストレスと向き合いながら生活しています。ストレスへの対応が困難になると、心身のバランスを崩してしまい、心の病気を生じることがあります。
不眠や気分の落ち込み、意欲が出ない、疲労感が取れないなどは、心の不調のサインかもしれません。不調をそのままにしておくと、こころの病気につながることもあります。
こころの病気は、高血圧や糖尿病と同じく、誰でもかかる可能性のある病気です。早めに気づき、専門機関への相談や医療機関受診をすることで、重症になるのを防ぐことができます。
代表的なこころの病
- 1 うつ病
- うつ病は、気分障害という病気の一種です。日本では、うつ病が年々増加していることが知られています。過度なストレス等が原因となり、憂うつな気分、意欲減退や集中力の低下、悲観的な考え、身体症状(頭痛、不眠、食欲不振など)等の症状が2週間以上続く場合は、対応が必要です。放置すると、重い状態となり、生活に支障が出ることもあります。多くの病気と同様に、できるだけ早く病気に気づくこと、気づいたらできるだけ早く治療をすることが大事です。
- 2 不安障害
- 不安を主症状とする疾患群をまとめた名称です。トラウマ体験や身体の病気など様々な原因から不安感、焦燥感、体調や気分の不調が生じます。
何かする度に手を洗う・風呂に入る、人前で異常に緊張する、人ごみに行けなくなるなど、特徴的な不安症状が表れるものもあります。
中でも、「パニック障害」は代表的です。
症状によっては、生活に支障をもたらすこともあります。一人で悩まずに、相談しましょう。
- 3 統合失調症
- 100人に1人が抱えているといわれています。この病気は10代、20代の若い世代に発症することが多く、幻覚や妄想、無気力、感情の平板化などの症状が見られます。できるだけ早く治療を開始し、適切な内服の継続と生活環境の維持により、社会生活を送ることができます。
- 4 依存症
- 依存症には、アルコール、ニコチン、薬物などの物質依存と、ギャンブル、ゲーム、買物、スマートホンなどの行動に関する行動依存があります。健康や生活、仕事、人間関係に悪影響が出ているにも関わらず、特定の物質や行動をやめられない状態です。本人の弱さで起きているのではなく、脳の変化で症状が出現する病気で、自分の意志や行動がコントロールされている状態です。家族で抱え込まず相談し、専門治療機関の治療を受けましょう。
- 5 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 生死にかかわるような体験で強い衝撃を受けた後で、その体験の記憶が当時の恐怖や無力感とともに自分の意志とは無関係に思い出され、被害を受けているような感覚になる病気です。1か月以上経っても、否定的な考えや抑うつ気分が生活の妨げになっている場合をPTSDと言い、治療を受けトラウマの整理をすることが有効です。
- 6 双極性障害(躁うつ病)
- 躁とうつ状態を繰り返す病気で、うつ病とは異なる病気で、治療も大きく異なります。躁状態の時は、無謀な買い物や行動での損失や家族や周囲への影響が大きく、放置すると徐々に周期が短くなるため、元気なため病気の認識が弱いですが、治療を継続して状態に合わせた薬を処方どおりに服用することが大切です。
- 7 発達障害
- 生まれつきの脳の機能によるものです。自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)等があります。幼児期よりそれぞれの特性に合わせた環境や対応を整え、療育等でスキルの獲得すること、支援を受けることが大切です。必要に応じて、薬物療法も併用します。
・自閉症スペクトラム障害:コミュニケーションの場面での言葉や視線、表情、身振りから相手の気持ちを読み取ったり、自分の気持ちを伝え
たりするのが苦手で、特定のことに興味関心やこだわりが強いなどの特徴があります。
・注意欠陥多動性障害:じっとしていることが苦手で刺激に反応しやすく、ミスが多く集中しにくいため、片付けや段取りが苦手で忘れ物をし
やすい傾向があります。
・学習障害:読む、書く、計算など特定のことのみが難しい状態で、学業や生活に支障をきたします。音声教材の資料や視覚化など学習の工夫
が必要になります。
その他、様々なこころの病気があります。
また、WHO(世界保健機構)によれば、こころの病気はがんや循環器疾患(心臓病、脳卒中)以上に社会への影響が大きく、心の健康を保ち向上させることが大切と考えられるようになっています。
こころの病気を抱えていても、適切な治療や援助があれば社会生活を送ることができます。抱えこまず、専門家に相談する事が、治療の第一歩になります。
精神科の受診
私たちが、身体の症状に合わせて内科や整形外科、眼科などの病気を選ぶように、こころの不調を感じたときは「精神科」「心療内科」「メンタルクリニック」などの表記のある病院を受診することをお勧めします。
精神科に対しては、様々な印象から抵抗感を持つ方も多いですが、憂うつな気分やイライラなどの気分や感情の悩み、不眠や食欲不振などの身体症状など、現在困っていることや悩んでいる症状を相談し、治療を受けることができます。
継続的に治療が必要な場合には、自立支援医療費制度(精神通院)申請などの制度を使うこともできます。
医療費申請の詳細は、自立支援医療のページをご参照ください。
誰もが誰かの力になれる
こころの病気を持ちながらも、周囲の協力を得ながら自立した生活を送り、能力を積極的に評価されることは病気の回復に良い影響を与えます。
また、その能力を活用し広く社会に参加することで、周囲の人や地域社会にこころの健康についての理解を促進させるという良い影響も認められています。
私たちにも、誰かに話を聞いてもらってこころが軽くなった経験があるように、こころの病気からの回復には、周囲の人々、地域社会の理解・協力が非常に大きな支えとなります。
日ごろから良好なコミュニケーションが生まれ、病気の有無にかかわらず誰もが受け入れられ、お互いに支えあう地域社会を目指していきましょう。
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