レジオネラ症について

更新日:令和6年7月1日

レジオネラ症とは

レジオネラ属菌が肺に吸い込まれて起こる感染症で、レジオネラ肺炎と、ポンティアック熱に分けられます。
発症率は低いですが、急激に重症になって死亡することがありますから注意は必要です。
新生児や高齢者、病後の方など抵抗力の弱い人や、健康な人でも疲労などで体力が落ちていたりすると感染しやすいといわれています。

(1)レジオネラ肺炎
2日から10日の潜伏期間の後、全身倦怠感、筋肉痛、発熱等の症状で始まり、咳、痰、胸痛などが起こります。また、下痢等の消化器症状も見られます。急激に重症化して死亡することがあります。

(2)ポンティアック熱
潜伏期間が1日から2日で、発熱、全身倦怠感、悪寒、頭痛等の症状が起こりますが、肺炎は見られず、多くは2日から5日で自然に治ります。

レジオネラ属菌とは

レジオネラ属菌は土壌、河川、湖沼など広く環境中に存在する細菌です。
一般に、自然環境の中ではその菌数は少ないのですが、冷却塔や循環浴槽水など人工的な環境では、その設備の壁面や配管中の生物膜の中の細菌やアメーバなどの原生動物に取り込まれ、その細胞内で増殖し、その菌数が非常に多くなることがあります。

感染経路

レジオネラ属菌に汚染された水(循環式浴槽水、冷却塔水など)の飛沫やエアロゾル(微小な水粒子)を吸入したり、浴槽内の水を誤って肺に吸い込んだりした時に感染します。
人から人へ感染することはありません。

予防対策

(1)循環式浴槽(24時間風呂)
浴槽のお湯をくり返し使用する循環式浴槽は、銭湯や高齢福祉施設、社員寮などで使用されるほか、家庭の24時間風呂としても使用されています。
お湯を配管内に循環させているため、洗浄、消毒など管理が十分でないと、入浴者の垢などの有機物を栄養源として微生物が増殖し、浴槽や配管内に生物膜を作ります。この生物膜の中でレジオネラ属菌が増殖することがあります。
また、浴槽内に空気を吹き込む構造の気泡風呂やジェットバス、浴槽水を使用するシャワーなどは、微生物を含んだエアロゾルを発生させやすいので注意が必要です。

一般家庭の循環式浴槽の維持管理
(ア)取扱説明書をよく確認し、定められたメンテナンス方法に従って管理する。
(イ)浴槽の水は、週1回以上定期的に全部入れかえる。
(ウ)普段から浴槽の状態、特に汚れ(ぬめり等)に注意し、十分な清掃を行う。

(区内の公衆浴場では、浴槽水を塩素で消毒、浴槽やろ過機、配管等の清掃など、レジオネラ属菌対策を行っています。)

(2)加湿器
家庭用の加湿器は加湿水を長時間タンク等に溜めるため、タンク等に細菌汚染が起こりやすく、レジオネラ属菌が増殖しやすい環境にあります。特に非加熱式には、エアロゾル(微小な水粒子)を発生させて加湿する方式(超音波式等)のものがあり、日々の維持管理が大切です。

(ア)取扱説明書のメンテナンス方法に従って管理する。
(イ)タンクの水は、使用日ごとに取りかえ、絶えずタンクの内部を洗浄し清潔に保つ。
(ウ)使用期間が終了したら、水抜きと清掃を行う。

早めの受診を

発症率は低いですが、急激に重症になって死亡することがありますから、全身倦怠感、筋肉痛、発熱等の症状が見られたら早めに医療機関を受診することをお勧めします。

肺炎の治療には、一般に抗菌剤が用いられますが、レジオネラ肺炎に対して薬剤の効きが弱いものや、効果がないものもあります。迅速な診断と効果的な治療のために、肺炎に似た症状があり医療機関を受診される場合には、家庭で24時間風呂を利用している方や、最近温泉に行く機会があった方は、その旨申し出ることがたいへん重要です。
お問い合わせ

品川区保健所生活衛生課環境衛生担当
電話:03-5742-9138
FAX:03-5742-9104