区長メッセージ 第100号 令和3年2月17日 令和3年度施政方針演説

更新日:令和3年2月17日

1. はじめに

 令和3年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針及び施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

 はじめに、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、感染された皆様方に心よりお見舞い申し上げます。
 また、医療現場などにおいて、自らの感染リスクと向き合いながら奮闘されている医療従事者の皆様をはじめ、介護や保育など福祉現場で働いている皆様、全ての関係者の方々に、この場をお借りして改めて感謝を申し上げます。

施政方針を話す濱野区長

2. 令和3年度 区政運営の基本方針

 新型コロナウイルス感染症の流行は、世界中に拡大し、現在も衰えることなく猛威をふるっております。
 区内でも感染は拡大しており、2月16日時点の感染者の累計は、3,100人を超え、依然増え続けております。
 
 感染拡大は、国全体の経済や社会活動に対して、非常に大きな影響をもたらしております。外出制限や自粛、渡航制限の導入などに伴い、飲食や観光、航空業界などでは前例の無い規模で需要が急激に縮小しております。
 こうした状況は、対人サービス業を中心として、雇用にも大きな打撃を与え、令和3年1月時点の完全失業率は2.9%と高く、完全失業者数は11か月連続の増となっております。
 区民生活における影響も同様で、感染の不安、所得の低迷、失業など、生活基盤が大きく揺らぎ、私たちはこれまでにない未曽有の危機に直面しております。
 
 国は、この大きな危機を乗り切るため、「感染対策の決め手」として、国民へのワクチン接種に向け準備を進めています。
 ワクチン接種の実施は、地方自治体が担うこととされております。国や都と連携を図り、一層の緊張感とスピード感を持って、区一丸となり全力で取り組んでまいります。
 一方、社会全体の経済活動が収縮する中、区財政においても厳しい状況となることが予測されます。国や都が打ち出す経済支援にアンテナを張り、区の施策にうまく活かすなど、効率的な事業運営に努めてまいります。
 
 こうしたことから、令和3年度予算は、一日でも早く、区民の皆さまが安心できる生活を取り戻せるよう、「新型コロナウイルスの感染拡大防止」と「地域経済の回復」について、最優先かつ最重要課題として、スピード感を持って取り組みます。
 
 また、これまで準備を重ねてきた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会についても国や都と連携した取り組みやレガシーにつながる施策を実行してまいります。
さらに、「長期基本計画の着実な実現」を掲げ、未曽有の危機においても、誰ひとり取り残さない社会の構築に取り組みます。また、強靱で魅力あふれるまちづくりや先端技術の活用などについて、確実に成果をあげることで、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」を実現してまいります。

本会議のようす

3.令和3年度予算

 それでは、新型コロナウイルス感染拡大防止と地域経済の回復、ならびに、東京2020大会関連と長期基本計画に基づく主な事業についてご説明いたします。

(1)新型コロナウイルス感染拡大防止

 はじめに、新型コロナウイルスの感染拡大防止であります。
 
 新型コロナウイルスにより失われる命を防ぐため、ワクチンや治療薬の開発が世界規模で急ピッチに進められました。
 重症化を予防するためにも、ワクチン接種は有効な手段であります。国が準備するワクチンをできるだけ早く、区民の皆様に接種することは、最大の命題であります。
 感染により重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある方から着実に、安心して接種できるよう、対象者への接種券の送付、会場の準備や接種のための人員配置など万全の態勢で進めてまいります。
また、区民の皆様が安心して日々の生活を送れるよう、引き続きコールセンターによる相談体制の充実と、クラスターへの早期対応、医師会のご協力を得た区独自のPCR検査センターの運営を行ってまいります。

 感染者の増加に伴い医療機関がひっ迫し、感染しても入院ができないケースが増えております。自宅療養に対する不安の声をしっかり受け止めて対応することが身近な自治体として重要な役割です。
現在、感染者のうち必要な方には、パルスオキシメーターを貸し出すとともに、療養者に対し保健師等が毎日の健康観察を行い、体調の変化に迅速に対応しているところです。引き続き食料品をお届けするなど、少しでも安心して療養生活を行えるよう支援してまいります。

 こうした対策を実行する上で、保健所機能の強化は欠かせません。すでに今年度も組織改正を行い、体制を強化してきたところですが、医療職を確保し、さらなる体制強化に努めます。
また他部署からの職員の応援も行いながら、全庁一丸となって新型コロナウイルス感染拡大防止への対応に当たる決意です。

(2)地域経済の回復

 次に、地域経済の回復であります。新型コロナウイルスの感染拡大は、区内経済や区民の生活にも大きな打撃をもたらしました。

 一刻も早い区内経済の回復に向け、事業所への各種融資・あっ旋を継続するとともに、事業継続に欠かせない物品の購入費助成や、新しい働き方に向けたテレワーク導入等の支援を続けてまいります。
 
 また、品川のにぎわいや、魅力の一つに商店街がございます。区民の皆様の購買意欲の向上と、区内商店への支援を目的として、引き続きプレミアム付区内共通商品券を発行してまいります。

 コロナ禍においては、いわゆる社会的弱者にその影響が大きく表れているといえます。失業等により生活にお困りの方からの相談も増えています。
 また、健康に対する不安が増加する中、出産や育児等の不安から、とりわけ妊産婦の方が安心して子どもを産み育てられる支援が求められています。

 全ての人が、安心して暮らすことができるよう、こうした声にしっかりと耳を傾け、必要な事業を実施するとともに、ごみ・資源の収集や窓口業務など区民生活に不可欠な行政サービスが滞ることなく行われるよう、区として全力を挙げてまいります。

(3)東京2020大会とそのレガシー

 次に、東京2020大会についてであります。
 
 一年延期となった開催が、いよいよ目前に迫ってまいりました。区では、これまで区内開催競技であるホッケーとビーチバレーボール、また、応援競技としてブラインドサッカーの3競技を中心に、機運醸成に努めてまいりました。

 大会開催期間中は、区内各所にパブリックビューイングを開催し、競技会場以外でも大会の臨場感を感じていただき、地域の皆様と一緒に盛り上げてまいります。
 また、区のホスピタリティハウスとして「しながわハウス」を天王洲に設置し、区の魅力を発信するとともに、おもてなしの拠点としてまいります。
子どもたちの観戦にあたっては、心に残る思い出となるよう、暑さ対策をはじめ安全に留意してまいります。

 さらに、大会のレガシーとして障害者スポーツの充実やシティマラソン大会の実現に向けた調査検討を進めてまいります。

(4)新長期基本計画(4つの視点と3つの分野) ~新型コロナを乗越え品川区の発展につなげる~

次に、長期基本計画の推進に向けて取り組む主な事業であります。


 視点1 超長寿社会に対応する

 
 はじめに、1番目の視点「超長寿社会に対応する視点」であります。
 今後、多くの人が100年生きることが当たり前になる時代が来ると言われております。すべての人が元気に活躍し続け、安心して暮らすことのできるための施策を推進してまいります。
 
 高齢者福祉についてであります。
 2025年には高齢者の5人に1人が認知症になるといわれています。認知症になっても住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、認知症への理解・普及啓発を推進してまいります。
 さらに、令和3年度からは、認知症検診を実施し、認知症の早期発見と適切な支援につなげてまいります。

 健康寿命を延伸し、住み慣れた我が家で自立して暮らせるよう、介護予防にも力を入れてまいります。民間のフィットネスクラブを活用し、最先端のトレーニングマシンを利用した介護予防事業を拡充いたします。
 
 一方、在宅での生活が難しくなった時に、安心して地域で介護を受けられるセーフティネットとして、多様な入所・入居施設の整備も重要です。
 令和3年度は八潮南特別養護老人ホームの増改築に向けた具体的な検討を進めてまいります。

 次に、健康づくりについてであります。
 区では喫煙者と非喫煙者双方が快適に過ごせるまちを目指してまいりました。受動喫煙防止対策として、民間が設置する公共喫煙所に対する助成を行い、受動喫煙による健康への悪影響を未然に防止してまいります。

 次に、死亡原因のトップであるがんへの対応であります。
 「品川区がん対策推進計画」に基づき、予防、早期発見、支援など具体的な対応を引き続き実施してまいります。
 がんになっても治療を受けながら働き続けられる社会の構築が求められる中、がん患者や家族への情報提供が求められています。
 令和3年度は、がんに関わる情報を集めたホームページを新たに作成し、各種事業の周知を強化いたします。
 
 また、口の健康は健康寿命にも大きく影響するといわれています。後期高齢者向けの歯科健診についても対象年齢の拡大を図ってまいります。


 視点2 多文化・多様な生き方を尊重する

 
 次に、2番目の視点「多文化・多様な生き方を尊重する視点」であります。
 国籍や障害、性別に関わらず、誰もが安心して住み、働き、共に暮らす区民として地域コミュニティを創っていくための環境整備を進めてまいります。

 はじめに、人権尊重の啓発であります。
 新型コロナウイルスの感染者や医療従事者等に対する、差別や偏見、誹謗中傷などが発生しています。残念なことであります。このような行為はあってはならないことであります。
 区では人権尊重都市品川宣言のもと、様々な場面や媒体を活用して、あらゆる差別等の根絶に取り組んできました。また、学校教育においても市民科を中心に、それぞれの発達段階に応じた人権教育を実施してきました。今後も引き続き力を入れてまいります。

 次に、多文化共生についてです。
 区内の外国人の数は、今年度は多少減少に転じたものの、生活や文化、宗教の違いなど、お互いが学び、理解することは地域生活を送るうえで大切なことです。
 多文化共生講座や、区内の大使館等との交流を実施して外国人との共生に向けた一層の理解を進めてまいります。
 また、品川で育った子どもたちが世界で活躍できる人材となれるよう、英語教育にも引き続き力を入れてまいります。
 
 一方、介護職員が不足するなか、外国人の方の介護職への就労を支えるために、住宅確保と一人暮らしの不安を払しょくする手立てとしてシェアハウスを開設します。
 言語の理解という点では手話も同じであります。聴覚障害への理解を深め、お互いを尊重し合う共生社会の実現に向け、手話の理解促進を図ります。

 次に、多様な生き方を認め合う視点の施策であります。性的マイノリティへの理解促進とその支援として、講座による啓発や居場所づくりのための支援を引き続き行います。


 視点3 強靱で魅力あるまちを未来につなぐ

 次に、3番目の視点「強靱で魅力あるまちを未来につなぐ視点」であります。
 東日本大震災から10年が経とうとしており、先日もその余震といわれる地震がありましたが、東北地方では震災復興のさなかであります。この10年の間にも、台風の大型化による被害など、「経験したことのない」という表現が使われるような災害が起こっております。
 危機というものが常に起こり得ることを想定した準備を進めてまいります。

 はじめに、計画の策定・整備であります。
 災害に強いまちづくりを進めるために、「強靱化地域計画」を策定し、不燃化の促進や治水対策、無電柱化などハード整備を引き続き進めてまいります。
 また、災害時に大量に発生する廃棄物を迅速に処理するため、「災害廃棄物処理計画」を策定し、区民生活の早期再建に資する対策を講じてまいります。
 一方、魅力ある、安全・安心なまちづくりに向け、まちづくりの指針となる「まちづくりマスタープラン」を改定してまいります。
 
 次に、防災であります。
 災害時には、正確な情報と迅速な避難準備、そして安全な避難行動が重要です。防災ラジオのデジタル化に向けた対応を進めるとともに、ケーブルテレビ品川やホームページ、SNSを活用したわかりやすい防災情報を提供してまいります。
 また、災害時に避難が難しい高齢者や障害者などに対し、避難支援個別計画の策定を進めてまいります。
 新型コロナウイルスの発生により、避難所の在り方も見直す必要があります。安心して避難生活を送れるよう、防災区民組織の皆様と一緒に感染症に対応した避難所運営に取り組んでまいります。 


 視点4 先端技術を活用して課題解決と発展を図る

 次に、4番目の視点「先端技術を活用して課題解決と発展を図る視点」であります。
 国は、経済発展と社会的課題の解決を図る「Society 5.0」を提唱し、社会全体のデジタル化に向けた取組みを進めています。また、新型コロナウイルスの影響から、デジタル化の更なる加速が求められております。
 国では「デジタル庁」、都では「デジタルサービス局」をそれぞれ設置し、デジタル社会の実現を推進することとしております。
 区におきましても、この機会を捉えデジタル施策を推し進めてまいります。

 はじめに、教育分野におけるICTの活用であります。区では、現在すべての児童生徒に1人1台のタブレット端末を配備しているところです。
 令和3年度からは、授業のみならず、家庭学習においても有効活用してまいります。

 次に、行政サービスについてであります。
 LINEを活用した区の情報発信の拡充や住民票等の申請受付を行います。また、住民票の写し等の手数料に加え、オアシスルームの利用料などキャッシュレス化を進めます。
 さらに、自宅パソコンやスマートフォンなどで電子書籍が閲覧できる「電子図書館」を導入いたします。引き続き先端技術を活用し、区民の利便性とサービスの向上につなげてまいります。


 3つの政策分野「地域」「人」「安全」
 
 次に、政策分野ごとの事業であります。

 第一に、「地域」の分野であります。
 これは人と人のつながりによる豊かなコミュニティの創出をはじめ、誰もが文化・芸術・スポーツを楽しめる環境づくりや活気あふれ魅力あるまちづくりを目指すものです。
 はじめに、人と人のつながりへの支援であります。町会・自治会の方々が、コロナ禍にあっても安心して地域の事業を行う事ができるように、コロナ対策物品の購入を引き続き支援します。
 また、子育ての孤立を防ぐため、地域で活動する子育て支援グループに対して、相談や交流等の活動経費の助成を開始いたします。

 次に、区の歴史と文化の発信拠点である、品川歴史館につきましては、大森貝塚を含め観光資源として広く活用できる施設に向けた検討を進めてまいります。

 次に、地域のにぎわい施設についてです。
 しながわ水族館は、娯楽性と学習性を兼ね備えた都市型の水族館として、区内有数の集客施設、観光施設であります。
 令和3年度に30周年を迎えるにあたり、今年度行いました「顧客満足度満点プロジェクト」の結果を踏まえ、水族館の将来について検討を進めてまいります。
 
 また、「子どもたちのアイデアを活かした公園づくり」は、平成20年度から取り組み、これまで5か所整備したところです。令和3年度は、大井坂下公園に、子どもたちのアイデアとユニバーサルデザインを反映した整備を行います。
 さらに、しながわ区民公園の再整備については、今年度で、中央および南側ゾーンの整備が完了いたしました。令和3年度は、北側ゾーンについて、防災機能の強化や運動施設のリニューアルを進めてまいります。

 次に、水辺の整備についてであります。水辺の風景は、品川の大きな魅力の一つであります。水辺を身近な空間として楽しめるよう、天王洲エリアの広場整備を進めてまいります。また、水辺の利活用事業として、東京都とともに舟運通勤社会実験を実施してまいります。

 第二に、「人」の分野であります。
 子どもから高齢者までライフステージに応じた切れ目のない支援を進めることで、誰もがすこやかに、いきいきと暮らせる社会を目指します。

 はじめに、誰ひとり取り残さない社会の構築についてです。
 ひきこもりやダブルケアなど、既存の制度では対応が難しい課題が増加しており、解決を図るための調整や情報共有の仕組みが求められております。
 これまで構築してきた地域のネットワークを活かしながら、相談、参加、地域づくりの支援について検討いたします。
 また、ひきこもりや生活困窮、不登校の児童については、居場所の提供や学習支援を行う施設を整備いたします。

 次に、障害者施策であります。
 医療的ケアの必要な子どもについては、交流・相談の拠点施設を新たに整備します。さらに、大崎中学校に区内2か所目の自閉症・情緒障害特別支援学級を整備し、支援の充実を図ります。
 また、今年度取得いたしました西大井3丁目の国家公務員宿舎跡地に、障害者のグループホームを建設いたします。令和3年度は基本設計を実施し、令和6年度の開設を目指します。

 次に、児童相談所についてであります。
 令和6年度の設置に向け、職員の確保・育成、施設整備など、着実に準備を進めているところです。また、児童相談所の設置を見据え、児童養護施設との連携のもと虐待に発展する恐れのある児童のショートステイ事業を開始いたします。

 次に、安心して子どもを産み育てられる環境づくりについてです。
 妊娠、出産、育児の切れ目のない支援として、産後の家事・育児支援等の拡充、産後ドゥーラ資格取得助成を開始いたします。
 また、認可保育園を新設し、670人の定員増を図ります。区立学校については、就学人口の増加や老朽化等に対応するため、順次改築を行い、安全で安心な教育環境を引き続き整えてまいります。

 第三に、「安全」の分野であります。
 誰もが安心して暮らせるように、まちの安全を強固なものにし、環境面も含めた持続可能な住みよいまちづくりを目指すものです。
はじめに、まちづくりについてであります。
 広町地区については、JRと連携して、行政、防災、商業などの機能を持つまちづくりについて検討を進め、大井町駅周辺地域まちづくり方針を策定いたしました。
 令和3年度は、方針に基づき、都市計画手続き等を進め、品川区の中心核に相応しい、にぎわいのあるまちづくりの実現に向け取り組んでまいります。
 また、立会川・勝島地区のまちづくりについては、地域の皆さまと一緒に検討を重ね、利便性やにぎわい向上のため、勝島運河周辺の整備を進めることといたしました。
 令和3年度は、都市再生整備計画の策定と「(仮称)勝島人道橋」の設計作業に着手いたします。

 次に、安心の住まい・生活についてであります。
 最新の世論調査による区内の定住意向は91.3%で、引き続き高い割合となっております。安心して品川区に住み続けていただくため、高齢者やひとり親家庭など住まいの確保が難しい住宅確保要配慮者への支援を拡充いたします。
 一方、特殊詐欺は、被害者に対して、財産的な損害だけではなく、精神的な被害も与えます。令和3年度は、これまで行ってきた自動通話録音機に加え、AIが詐欺を自動判定する録音機の貸出を新たに開始します。

 次に、交通の安全対策であります。
 令和3年度は、第11次品川区交通安全計画の策定を行います。未就学児童や高齢運転者の交通安全対策、自転車の安全利用など重点課題を含め、引き続き交通安全対策に取り組んでまいります。
 一方、区では鉄道駅ホームにおける転落事故の防止対策として、可動式ホーム柵設置等の助成を行ってまいりました。令和3年度は、りんかい線の品川シーサイド駅への設置に向け助成を行います。
さらに、コミュニティバスについては、令和3年度末の試行運行の開始に向け、具体的な検討を進めてまいります。

 次に、環境施策についてであります。
 区では、地球温暖化をはじめとする環境課題に対応するため「品川区環境基本計画」を策定し、低炭素・循環型社会の実現等に取り組んでまいりました。
 このたび、令和4年4月開設予定の「(仮称)品川区立環境学習交流施設」について、省エネと創エネの取組みが認められ、都内公共施設としては初となる「Nearly ZEB認証」を取得いたしました。今後も、「グリーン社会の実現」に向け、環境施策を推進してまいります。

(5)変化に対応する区政運営

 次に、区政運営の基本的姿勢についてであります。

 区は、これまで不断の行財政改革を進め、健全財政を維持し、不測の事態に備え各種基金の積立を行ってまいりました。これにより、コロナ禍の中、全区民を対象とした「しながわ活力応援給付金」を支給することができました。
 今後も健全財政の維持と不測の事態への備えに努め、先を見通した持続可能な区政運営を基本としてまいります。
 こうした考えをもとに、区政運営の基盤となる取り組みについてご説明いたします。
 
 はじめに、多様な行政課題に対応できる組織についてであります。長期基本計画の着実な推進に向け、組織を越えた横断的でスピーディーな対応が、より強く求められております。
 令和3年度は、組織間をつなぐ新たなポストの設置と、専門的な知識・知見を持つ外部人材の活用に取り組んでまいります。

 次に、職員の働き方改革についてであります。「しながわ~く」として、研修実施や先端技術活用などこれまでも積極的に取り組んでまいりました。令和3年度は、職員の業務の効率化を図るため、出張先で記録の入力などができるよう、モバイルワークを推進してまいります。また、保育園入園選考事務について、AIを導入し、業務の効率化を図ります。

 次に、新庁舎の検討であります。今年度、新庁舎の機能について検討を進めてまいりました。令和3年度は、その検討内容と先端技術活用等の観点にも留意して、基本構想を策定してまいります。

 次に、偏在税制についてであります。区財政に大きく関わる問題ですが、特に、ふるさと納税については、その影響額が増しております。今般の新型コロナウイルスの影響により、さらに区財政は厳しい状況が続く見込みです。そのため、ふるさと納税制度の抜本的な見直しについて、強い姿勢で国に訴えてまいります。
 偏在税制の払拭には、地方との連携を進め、共存共栄を図ることが重要だと考えております。引き続き、全国連携プロジェクトをはじめ、高知県や福井県坂井市等との連携を深めてまいります。

4.令和3年度予算の概要

 令和3年度予算は、最重点施策であります「新型コロナウイルスの感染拡大防止」と「地域経済の回復」に加え、長期基本計画の着実な推進を主眼とした予算であります。

 まず、区財政の状況ですが、新型コロナウイルス感染症の経済への影響から大変厳しい見通しです。対前年度比の減は、財政調整交付金は22億円、特別区民税は約18億円であり、一般財源は約51億円の大幅減と見込んでおります。
 このような中、編成にあたりましては、経常的な歳出予算を原則10%のマイナスシーリングとし、各所管による予算の見直しを徹底いたしました。また、施設改修や道路、公園の工事等の緊急性を見極め、工事費の一部を先送りするなど経費を削減し、一般会計予算は、1,824億8千万円といたしました。
 
 令和2年度当初予算との比較においては、再開発や用地購入費の減などから、一般会計全体で約58億円、3.1%のマイナスとなりますが、最重要施策の多くを占める衛生費は約42億円、産業経済費は約14億円の増としております。
 また、社会保障の一環となります扶助費についても保育園の増設や生活保護受給世帯数の増等の見込みから約24億円の増とし、予備費についても、不測の事態に備え2億円の増として編成いたしました。

 厳しい財政状況の中、区民の命と生活を守る真に必要な施策を着実に実現する予算としております。

5.おわりに

 今後も、健全財政で築いた財政基盤をもとに、品川区の発展につなげるため、区民が真に必要とする施策を迅速に判断し、確実に実行していく所存であります。

 以上、令和3年度における施政方針を申し述べました。議員ならびに区民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、発言を終わります。
 ありがとうございました。

濱野区長・渡辺議長・米田区議会事務局長

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