施政方針:基本構想について

更新日:平成20年2月20日

基本構想について

平成20年は、品川区にとって将来のまちづくりの方向を示す大事な年であります。
品川区の新しい基本構想については、昨年、学識経験者、区内関係団体、公募区民等からなる「品川区基本構想等策定委員会」に諮問し、検討を進めてまいりましたが、このたび、その答申を得て本定例会にご提案申し上げているところでございます。

案の作成にあたりましては、策定委員会での検討に加え、区民6,000人へのアンケートや各界インタビュー、小中学生による作文やパブリックコメントなどにより、さまざまな方のご意見を伺ってまいりました。

これらを通じて私が感じたことは、品川区の将来像について、多くの区民の皆様が積極的な発言や提案をなされたということでございます。一人ひとりの区民が明日の品川区をどのようにつくって行くかということについて、真剣に考え、議論するなど、その熱い思いに触れることができたことを大変うれしく思っております。

さて、現行の品川区基本構想が昭和63年に策定されて以来、既に20年が経過しております。現構想が策定された当時と異なり、バブル経済は崩壊し、時代は成長・拡大から成熟社会へと移行してまいりました。少子高齢化に伴い人口構成が大きく変化するとともに、都市化や核家族化が進み、家庭や地域の様相も変わってきております。このように、区民意識の多様化とも合わせ、区政を取り巻く社会経済環境は大きく変化してきたと認識しております。

一方、このような変化の中にあっても変わらないものがあります。それは、古くからの伝統や文化、自らのまちを愛し、互いに助け合う心などであり、これらは、これからも大切に守っていく必要がございます。
私は、こうした環境の変化と普遍の価値を踏まえて、新しい基本構想において品川区のあるべき将来像、今後区政が目ざすべき方向について定め、これを区民と区との共同指針としてまいりたいと思っております。

構想の基本的な視点

ここで、今般ご提案申し上げております基本構想の基本的な視点について申し上げます。
まず、自治体としての基本的施策である、福祉・教育・まちづくりなどを充実させ、平和で人権が尊重される社会を目ざすことは、当然の責務としてこれを果たしてまいります。
そしてさらに、一つには、品川区が従来から持っている東京の表玄関としての機能を十分に活かしつつ、品川区に暮らし、働き、憩う人々の生活向上を期するということであります。
品川区は古くから工業、商業が栄え、交通の要衝であり、住宅地としても発展してまいりました。近年では、羽田空港の国際化や新幹線の品川駅開業、臨海高速鉄道の開通などにより、昼間人口が50万人を超え、東京の繁栄を担う人々が活躍する都市へと発展をしてきております。一方で、まちの随所で下町の風情が見られるように、生活者の都市として区民の暮らしが息づいております。
したがいまして、これからの品川区は、国際都市東京の表玄関に位置する生活都市として、他にはない魅力的で個性的な都市を目ざすべきと考えております。
そしてその次に、そのためにこそ、古くからの伝統と文化を育み活かすことが一層大切になってくるということであります。
品川区は、新しい文化の息吹が感じられる一方、古い歴史と伝統を持つまちでもあります。品川駅前の高層ビル群のすぐ隣に船溜まりがあるというコントラストが象徴するように、品川区は新と旧が共存したまちであります。都市としての機能を充実させるとともに、伝統と文化が息づく昔ながらのまち品川区を守り育み、そしてそれをさらに発展させるための環境を整備して、新しい文化とともに、次の世代に引き継いでいきたいと考えております。
そして最後に、こうしたまちづくりが、区民と区との協働によって継続的に進められていくこと、言い換えれば、区民の皆様が「私たちのまち」と呼べる品川区を共につくる、このことを目ざしていきたいと思っております。自立した区民が、地域の課題を自らの課題としてお互いに協力して解決していく。そして、そのような区民の積極的な活動を区がしっかりと支援していくという考え方であります。

3つの理念5つの都市像

基本構想案においては、品川区の新しい将来像を「輝く笑顔住み続けたいまちしながわ」としており、
理念として
「暮らしが息づく国際都市、品川区をつくる」
「伝統と文化を育み活かす品川区をつくる」
「区民と区との協働で、『私たちのまち』品川区をつくる」この3つを掲げております。

そして、この3つの理念を、具体的に、
「だれもが輝くにぎわい都市」
「未来を創る子育て・教育都市」
「みんなで築く健康・福祉都市」
「次代につなぐ環境都市」
「暮らしを守る安全・安心都市」の5つの都市像として示しております。

今後、これらの5つの都市像の実現に向けて、21年度から10箇年の具体的施策を示す長期基本計画を20年度中に策定し、新たな基本構想の実現に向け、全力で取り組んでまいる所存でございます。