区長メッセージ 第49号 平成23年2月23日 平成23年度施政方針演説

更新日:平成23年2月23日

2月23日、平成23年第1回区議会定例会で平成23年度施政方針を発表いたしました。  品川区長 濱 野  健

  昨年10月、区民の皆様のご信任をいただき、引き続き区長の重責を担わせていただくこととなりました。施政方針の発表にあたり、私の区政運営に臨む基本的な考え方を改めてお示しいたしました。 今後ともその考えをもとに、品川区政の発展に力を尽くしてまいります。

23年度施政方針演説1

区政運営の基本的な考え方

はじめに

 平成23年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針および施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

  昨年10月、区民の皆様のご信任をいただき、引き続き区長の重責を担わせていただくこととなりました。 昨年実施いたしました品川区世論調査におきまして、約9割の区民の皆様から住み続けたいとのお答えを頂戴し、区政を預かる者といたしましては、大変うれしく思うと同時に、その責任の重さを痛感しております。

  この二期目においても引き続き区民が直面する緊急的な課題にスピード感を持って対処するとともに、長期基本計画を着実に実現してまいります。

  今日までの諸先輩方のご努力に敬意を表するとともに、品川区のさらなる発展に向けまして、区議会の皆様と力をあわせ、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」の実現に向け、全力を尽くしてまいります。

区政運営にあたっての基本的な考え方

≪社会経済情勢の変化に即した効率的・効果的な区政運営≫

 第一に、社会経済情勢の変化に柔軟かつ的確に対応した効率的で効果的な区政運営をめざしてまいります。

 わが国の社会経済情勢は、長引く景気低迷の中で、回復への期待が高まるものの、円高による企業収益への影響や個人消費の低迷など、依然として厳しい状況にあります。

 また、少子高齢化の進展や人口減少などの社会構造の変化は、経済や社会保障、財政など、多方面に影響を及ぼします。

 このように区政を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中で、健全財政を維持しながら区民の期待に応えていけるよう、行財政改革をさらに推進いたしまして、「小さな区役所から大きなサービスの提供」をめざし、全力で取り組んでまいります。

≪区民との協働によるまちづくりの推進≫

 次に、協働によるまちづくりについてであります。

 区民のライフスタイルや価値観は大きく変わってまいりました。また、地域社会の状況も変化しております。そうした変化の中で区民の皆様がどのような思い、どのような願いをもって暮らしているか、行政の担い手として常に考えておかなければなりません。区民の声に耳を澄まし、区民に聴く姿勢が求められています。

 区民と、その代表である議会とともに、区は何をなすべきか、それをどう実行していくかを考えることが区政の理念である協働の第一歩であります。

 そして、この間、協働を推進するための具体的なしくみづくりに取り組んでまいりました。 現在では協働への理解や意識も着実に高まり、数多くの協働事業が展開されてきております。 引き続き、協働を区政運営の基本に位置づけ、区民と一体となって私たちのまち・品川区をつくりあげていくことに力を注いでまいります。

23年度施政方針演説2

平成23年度予算 緊急課題への継続した取り組み

以上申し上げました区政運営に臨む基本的な考え方に基づき、平成23年度の重点的施策と長期基本計画の着実な実現に向けた取り組みについて申し上げます。

  平成22年度は緊急課題への取り組みとして、経済対策、待機児童対策、高齢期の住まいと安心対策の3点を重点的に進めてまいりましたが、平成23年度も引き続き重点施策と位置づけ、将来を見据えた中長期的な視点も踏まえ、積極的に推進してまいります。


≪緊急経済対策とチャレンジする中小企業への支援≫

 第一に、地域経済の活性化に向けた総合的な経済対策を推進してまいります。

  緊急経済対策は、この2年間、区内中小企業の活性化に向けて積極的に取り組んでまいりました。

  3年間無利子の緊急特別支援資金融資あっ旋は、昨年末までに約5千件、370億円に上る融資が実行され、大きな成果を上げるとともに、プレミアム付区内共通商品券についても、この2年間で発行総額は12億円を超え、大きな経済効果を生み出してまいりました。 大企業においては景況感に回復の兆しがあると言われているものの、中小企業は依然として厳しい状況に置かれており、経営を支えるための実効ある経済対策が必要であります。

  そのため、緊急特別支援資金融資あっ旋を継続し、利子補給など予算額として約13億円規模の融資あっ旋事業を実行するとともに、プレミアム付区内共通商品券についても、春と秋に計6億円分を発行し、地域経済の活性化を進めてまいります。

 さらに、公共事業等の前倒し発注や中間払い金制度の活用などを行い、区内中小企業の経営を支えていきます。 また、地域経済を前進させるための取り組みも重要であり、区内中小企業の経営基盤をしっかりと支え、チャレンジ精神や高い技術力を有する中小・零細企業を支援してまいります。 そのための一つとして、ものづくり地域企業ネットワーク再生事業を創設し、区内中小企業間の新たな取引を支援することで、受発注の機会を拡大し、ものづくりの区内ネットワークを確立してまいります。

  そして、区内産業の動向を踏まえ、情報通信業の区内参入や成長を促すべく、ソフトウェア開発への助成を新設し、区内における新たな業種への支援を行ってまいります。

  中小企業の海外進出支援についても、バンコクビジネスサポートセンターの本格的な稼動や、品川パビリオン共同出展、ビジネスマッチングなどを推進いたしまして、積極的に取り組んでまいります。 また、商店街実態基礎調査を実施し、商業環境の変化を踏まえ、新規顧客開発と商店街の抱える課題解決のための戦略的な調査・研究を進め、商店街の振興を図ってまいります。

≪総合的な待機児童対策の推進≫

 第二に、待機児童対策についてであります。

  平成22年度は、既存施設を最大限に有効活用することを基本として、区立保育園の定員拡大をはじめ、小学校施設などの活用、幼保一体施設や認証保育所の開設などにより、待機児童数を半減させることができました。

  区内の未就学人口の動向を考えますと、待機児童対策は引き続き取り組まなければならない緊急課題であると認識しておりますが、一方で、中長期的な視点のもとで、需要動向を踏まえ、財政負担とバランスのとれた施策を総合的に展開していくことが必要であります。

  平成23年度は、既存施設の有効活用に続き、社会福祉法人や株式会社などの民間活力による保育施設の開設を誘致するための施策を積極的に展開することにより、受け入れ枠を約540人増やしまして、待機児童の解消を図ってまいります。

  都市部においては、民間事業者による賃貸借保育所の開設・運営が課題であり、そのためのインセンティブが強く求められております。 そこで、区は独自の助成制度を創設し、新規開設後の家賃の一部を助成するとともに、開設前の家賃を含めた準備経費も支援し、さらに事業者の負担を軽減するための上乗せの助成制度を創設いたしまして、民間事業者を誘致してまいります。 なお、平成23年度の受入れ枠540人増のうち新規開設による定員増は、私立認可保育園で3園、約270人、認証保育所で3園、約90人となっております。

  また、家庭的な雰囲気の保育を提供する保育ママ制度は、NPO法人や民間事業者などとの協働による待機児童対策の有効な施策の一つであり、積極的に推進してまいります。 その他にも、区立保育園4園において33人の定員を拡大、幼保一体施設である北品川すこやか園で定員51人の保育園を6月に開設し、あわせて、4園目となります短時間就労型保育も行ってまいります。 幼稚園預かり保育については区立浜川幼稚園の利用時間を拡大し、充実してまいります。

≪高齢期の住まいと安心対策≫

 第三に、高齢者の安心生活を支えるための基盤整備については、超高齢社会を目前に控えた今日において、その取り組みは急務であり、中長期的な視点のもと計画的に進めてまいります。

  特別養護老人ホームの整備については、区内8ヶ所目となる八潮南特別養護老人ホームを5月に開設し、快適な居住空間を確保した「個室的しつらえの多床室」を整備するなど、個人のプライバシーを尊重した介護を推進してまいります。

 さらに、平成25年4月に跡地となります杜松小学校は、小規模特別養護老人ホームを中心とした高齢者施設として整備し、平成26年度中の開設をめざしてまいります。

  また、高齢者の地域での生活を支えるための基盤整備も重要であり、見守り機能を備えた新しいタイプの高齢者住宅を旗の台と東大井に整備いたします。民間型の(仮称)ヘルスガーディアンは本年12月、区立型の(仮称)大井林町高齢者住宅は平成24年度の開設予定であります。

 そして、成年後見制度を活用した高齢者の住み替えも促進し、密集住宅市街地の整備とも連携させてまいります。 高齢者の孤立死については、これまで町会・自治会との協働による見守り活動を進めてまいりましたが、さらにこの活動が広がるよう地域とともに取り組んでまいります。

  平成23年度も、これら3つの重点施策をスピード感を持って取り組み、さらに長期基本計画で掲げる施策を着実に実現させ、区民の負託に応えてまいります。

23年度施政方針演説3

平成23年度予算 長期基本計画の着実な実現

長期基本計画も策定から3年目を迎え、この間、社会経済情勢や区民ニーズなども変化してきており、柔軟かつ的確に対応していかなければなりません。 そのためには各事業の実施状況や効果などを検証することが必要であり、事務事業評価とともに総合実施計画のローリングを行いました。

  平成23年度は、第二次総合実施計画のもとで長期基本計画に掲げる各事業を着実に推進し、実現してまいります。 それでは、新規および拡充する事業を中心にご説明申し上げます。


≪だれもが輝くにぎわい都市≫

  第一に、区民活動が活発な地域社会を築くために、活動拠点となる基盤整備を進め、協働を推進するためのしくみを充実させてまいります。

  今月1日にオープンしました「こみゅにてぃぷらざ八潮」は区民の活動や交流の場としての役割を担い、地域活動の核となる地域センターの整備については、荏原第三地域センターを100人規模の集会室を併設した施設へと改築し、平成24年7月にオープンいたします。 また、荏原第五地域センターについては、豊葉の杜学園との複合施設として、平成24年9月に下神明駅前に移転し、より快適で利便性の高い施設へと生まれ変わります。

 次に、協働を推進するための取り組みについては、協働事業提案制度と地域振興基金を活用した区民活動助成制度のそれぞれの役割を明確にすることで、より効果的な制度とし、あわせて「こみゅにてぃぷらざ八潮」に協働推進室を開設いたしまして、区民相互の協働も推進してまいります。

  次に、産業振興に向けた取り組みについてであります。 中小企業を取り巻く環境は非常に厳しく、不況からの脱却に向けて懸命に努力し前進を試みる企業を支援するために、緊急経済対策とともに、区内企業のネットワークを再構築するなどの総合的な経済対策を推進してまいります。

 また、まちのにぎわいの原動力であります商店街の活性化支援についても、これまで課題となっておりましたイベント事業の円滑な実施に向けて、イベント資金貸付事業を創設いたします。

  さらに、空き店舗の有効活用を図るために、店舗と住居を分離するためのトイレや出入口等の整備にかかる経費の一部を助成してまいります。

  次に、観光と国際化への取り組みについてであります。 待望の羽田空港の国際化もスタートし、国際都市東京の表玄関としての品川区の発展の可能性はますます高まっております。 今後は、品川区の魅力を広く発信することが重要であり、都市型観光アクションプランに羽田空港国際化対応事業を盛り込み、新国際ターミナル内の観光情報センターや区内ホテルと連携いたしまして、世界へと発信してまいります。 あわせて、観光協会の観光案内拠点を大井一丁目共同ビルの1階に開設いたしまして、情報発信基地としての機能を充実させてまいります。

 次に、文化芸術・スポーツの振興についてであります。 文化芸術・スポーツのまちづくり条例を制定以来、平成21年度には振興ビジョンを策定し、平成22年度には第一回区民芸術祭を開催することで、条例の基本理念は大きな実を結びました。 今後も、より質の高い文化芸術に多くの方が親しんでいただけるよう取り組んでまいります。

  一方で、活動拠点の整備も着実に進めており、昨年オープンいたしました五反田文化センターは利用者からも好評をいただいております。 そして、荏原地区の旧平塚小学校跡を活用した文化・スポーツ施設についても、平成25年3月のオープンをめざし、いよいよ本体工事に着手いたします。

  また、昨年から始めました図書の取次ぎサービスは大変好評であり、武蔵小山に続き、大井町サービスコーナーにおきましても開始してまいります。

≪未来を創る子育て・教育都市≫

 次に、「未来を創る子育て・教育都市」についてであります。 社会構造の変化に伴い、家庭での養育機能や地域の子育て力の低下を危惧する声を耳にいたします。 これまで若い世代が安心して子どもを産み育てられる環境を整えるために、成長段階にあわせた子育て支援を推進し、親と子がともに学び育つことのできる地域社会の形成に取り組んでまいりました。

  待機児童対策は喫緊の課題であり重点施策として取り組むことはすでにご説明いたしましたが、子どもたちの健やかな成長を、家庭だけではなく、地域社会全体で見守ることのできる環境整備に努めてまいります。 在宅子育ての課題は、育児への不安や孤立感などを解消することであり、そのために、すくすく赤ちゃん訪問事業や親子サロンの充実、そして乳児との外出が気軽にできるよう授乳やおむつ交換のスペースを公共施設などに設置し、在宅子育て支援を推進してまいりました。 平成23年度もこれらの事業を着実に進めるとともに、中高生と乳幼児親子との交流を促進するなど、地域の子育て力の底上げにも取り組んでまいります。

  また、青少年の健全育成において、自立を見守ることは私たち大人の責任でもあり、地域との協力のもとで社会貢献活動などを通じ、地域社会の一員であることを自覚させ、主体的な自立を促してまいります。 続きまして、学校教育についてであります。

  品川区は学校の経営改革や教員の資質向上などを目標に、教育改革にいち早く取り組み、公教育の責務を果たしてまいりました。 全国の先駆けとなりました小中一貫教育については、施設一体型の一貫校であります品川学園が4月に開校いたします。教育環境の向上を図るため、隣接する約7,000平方メートルの土地を購入し、校庭として整備することで、学校教育の充実とともに、少年少女のスポーツ活動にも広く開放いたしまして、地域に親しまれる学校をめざしてまいります。 さらに、6校目となります豊葉の杜学園についても平成25年4月の開校に向けて本体工事に着手いたします。

  また、本年4月からの新学習指導要領の実施に伴い、品川区においても新しい小中一貫教育要領の改訂などを行うとともに、全国学力・学習状況調査を全校で実施するなど、学力向上プランを推進してまいります。

  小一プロブレムを解決するために、区は独自の就学前乳幼児教育を進め、保幼小ジョイント期カリキュラムを策定いたしました。 平成23年度は、このカリキュラムを本格的に実践し、さらに区立保育園5歳児が近隣小学校で教育時程を体験するスクールステイ事業をモデル実施いたしまして小学校への円滑な接続をめざしてまいります。

  また、子どもたちの輝く未来を築くためには、平和で人権が尊重される地域社会の形成が何よりも大切であります。人権尊重都市品川宣言のいっそうの普及に努めることはもとより、しながわ見守りホットラインにおいて子どもや高齢者などへの虐待の未然防止と早期発見に努め、さらにDVに関する相談機能の充実を図ってまいります。

≪みんなで築く健康・福祉都市≫

 次に、「みんなで築く健康・福祉都市」についてであります。 高齢者や障害のある方が住み慣れた地域でいきいきと安心して暮らし続けるためには、自助・共助・公助のしくみがバランスよく機能することが不可欠であります。そのため町会・自治会やNPO法人などとの協働を積極的に推進し、公的サービスと共助の重層的な連携により地域の課題解決のために取り組んでまいりました。 こうした点を踏まえ、今般改訂いたしました地域福祉計画では、区民と区との協働を基本方針に、相談・支援・情報・基盤の4つを施策の柱として、それぞれの分野における福祉施策を総合的に展開することとしております。

 高齢者福祉については、先ほどご説明いたしました重点施策のほか、ひとり暮らし高齢者の生活を支えるために、その入り口となる相談機能を地域センターに設置いたします。すでにモデル実施しております品川第二地区に、荏原地区1ヶ所を加えまして機能の充実を図るとともに事業効果の検証も行ってまいります。

  次に、障害者福祉については、地域での生活や社会参加を支えるためのしくみを整備していくことが重要であります。 これまで、知的障害者の外出をサポートするふれんどりー事業や発達障害児の自立支援のための思春期サポート事業などをNPO法人と協働して取り組んでまいりました。 平成23年度は、知的障害などのある児童や生徒の放課後の日中一時支援事業を拡大いたしまして、家族の就労支援や介護者の負担軽減を図ってまいります。 次に、重症心身障害児(者)への支援については、在宅療育の質の向上と介護者の負担軽減を図るために、日中の活動の場を身近な地域に確保することが必要であり、平成24年度からの通所事業の実施に向けて、その準備を進めてまいります。

  また、高次脳機能障害者への支援にも取り組むことといたしまして、心身障害者福祉会館に専門相談員を配置し、専門的見地からの助言などを行ってまいります。 さらに、精神障害者の地域での安定した生活を支えるために、治療中断の防止と服薬・通院の見守りをNPO法人と協働して進めてまいります。

  健康づくりについては、区民一人ひとりが継続して取り組むことが大切であり、とりわけ生活習慣病は、適度な運動と生活習慣の改善により、未然に防ぐことが可能となります。 そのため、健康づくりに気軽に参加できる環境を整備するとともに、各種がん検診や予防接種などの充実を図ることで、予防と早期発見に努めてまいります。

  なかでも予防接種については区民の関心も高く、効果も見込まれることから積極的に取り組みを進めております。 平成21年度は他区に先駆けてヒブワクチン予防接種、平成22年度には高齢者肺炎球菌予防接種と子宮頸がんワクチン予防接種を始めておりますが、平成23年度には小児肺炎球菌予防接種を開始いたします。 また、各種がん検診についても受診機会の拡大を図るなど、受診率の向上に努めてまいります。

  一方で、自殺予防やうつ病予防対策については、専門医によるうつ相談や講演会などの自殺予防啓発活動を進めてまいりました。 平成23年度は、パソコンや携帯電話からメンタルヘルスチェックができる「こころの体温計」サイトを開設するとともに、地域や職場などで自殺のサインに気づき専門相談機関につなげることのできる人材を養成するためのゲートキーパー養成研修を開催いたします。

≪次代につなぐ環境都市≫

 次に、「次代につなぐ環境都市」についてでありますが、環境への取り組みは継続が何よりも大切であります。

 環境に対する意識や行動も区民や事業者に定着してきており、それぞれの役割のもとで、地球環境にやさしい地域社会づくりを進めております。 今後も地球温暖化対策をはじめとする各施策を着実に進め、区民の行動をさらに一歩進めることを目標に取り組んでまいります。

  自動車の環境性能も著しく向上しておりまして、ハイブリッドカーの普及も急速に進み、電気自動車も性能や価格の面などで実用段階に入っており、今後の市場拡大が見込まれております。 そこで、事業者へのエコカー導入を促進するための支援を拡充するとともに、充電用コンセントの設置に対する助成も開始いたします。

  その他、中小事業者に対しましては、経費削減や商取引の拡大に効果があり、簡易な環境管理システムであるエコアクション21の認証取得支援を行い、加えて太陽光や太陽熱の発電システムなどの新エネ機器の設置支援も行ってまいります。

  また、区民への支援といたしましては、これまでの取り組みをいっそう推進するほか、省エネ効果を直接体験できる簡易型電力量表示器「エコワット」を活用いたしまして、暮らしの中の電力シェイプアップ作戦を進めてまいります。

  そして、清掃事業については、「陶器・ガラス・金属ごみ」の排出実態を踏まえ、4月から収集回数を週1回から月2回へと変更いたします。 また、リサイクルの推進については、昨今のガーデニングブーム等により、家庭で不用となった園芸土の処理が課題となっていることから、26ヶ所の拠点で回収することといたします。なお、回収した園芸土は再生いたしましてイベント等で配布してまいります。

  次に、水とみどりの豊かな都市を実現するための取り組みについてであります。 昨年10月に名古屋市で生物多様性条約締約国会議が開催され、多様な生き物やその生息環境を守り、未来へとつないでいくことの大切さを改めて考えさせられました。そこで、品川区の生き物の生息状況や公園の樹木の実態調査を行い、身近な自然の大切さを再認識するきっかけづくりとしてまいります。

  また、水辺を活用したイベントなどの取り組みも進めてまいります。 しながわ水族館が開館20周年を迎えることから「エンジョイ!しな水48」を合言葉に東京湾クルーズや飼育ガイドツアーなどの大小48のイベントを開催いたします。あわせて隣接する勝島の海に桟橋を設置し、ボート遊びのできる新たな水辺のスポットとして広く開放してまいります。 さらに、五反田ふれあい水辺広場を中心とした目黒川活用交流イベントを開催し、身近な水辺である目黒川に親しんでいただき、水辺空間の活用に向けた意識の醸成を図ってまいります。

  一方、公園整備については、公園施設長寿命化計画策定のための基礎調査を行い、公園・児童遊園の計画的な改修とその財源の確保に努めてまいります。 そして、平成23年度は(仮称)鮫洲入江埋立公園の整備に着手するほか、東品川海上公園に世界的な人気キャラクターのミッフィーの広場を設置するなど、魅力ある公園づくりを進めてまいります。

  次に、都市景観の形成については、4月より品川区都市景観計画の運用が始まることから、今後は景観まちづくりへの理解や行動を区民や事業者に浸透させていくことが肝要であります。シンポジウムの開催や景観アドバイザーを配置し、啓発を進めてまいります。 なお、北品川地区における商店街電線類地中化事業は完了の予定であり、今後は石畳などの景観に配慮した舗装を進めてまいります。

≪暮らしを守る安全・安心都市≫

 次に、「暮らしを守る安全・安心都市」についてでありますが、安全で安心なまちづくりには、地域の防災力の向上と利便性や快適性の高い都市基盤の整備が必要であります。

  防災対策については、住宅・建築物の耐震化を促進するために支援制度を拡充いたします。 無料簡易診断の導入をはじめ、補強設計助成の新設、改修・建替え助成の拡充などを行うとともに、品川シェルター設置助成の要件を緩和いたしまして、普及拡大を図ってまいります。

  次に、災害に強いまちづくりについてでありますが、密集住宅市街地整備促進事業では中延5丁目の広場整備と二葉3丁目の用地購入などを進め、防災生活圏促進事業では戸越と豊町の3ケ所で防災広場の整備に着手いたします。

 滝王子通り避難道路機能強化事業についても地域と連携しながら進めてまいります。

  また、地域の防災力の向上については、消火ポンプの中学校への計画的な配備とともに、操法マニュアルやDVDを作成し、操作方法の周知を図りながら、防災訓練への中学生の参加も促進してまいります。

  次に、都市基盤整備については、区のまちづくりの指針となります「まちづくりマスタープラン」の策定を進めてまいります。 都市計画道路の整備については、補助163号線第二期区間が12月に完了の予定であり、補助205号線においては用地取得と整備を進めてまいります。

  そして、再開発事業についても地域特性に応じた魅力ある都市空間の形成に向けて促進してまいります。 また、橋梁長寿命化計画に基づく計画修繕については、荏川橋をはじめ、浜川橋、弁天橋、市場橋などで着手し、下水道管の耐震化についても、避難所施設内の排水設備の耐震化とともに計画的に推進してまいります。

  やさしいまちづくりの推進については、東急線大井町駅での可動式ホーム柵の整備費助成をいたしまして、転落や接触を防止するための安全対策に取り組んでまいります。

  次に、住宅対策についてでありますが、区内在住の親との同居や近居を誘導するための一つの方策として三世代すまいるポイント制度を創設いたします。 この施策は定住促進だけでなく、子育てや介護などを親子で助け合いながら行うきっかけをつくるとともに、商店街連合会や区内企業との連携によるポイント制度とすることで地域経済の活性化も図ってまいります。

  また、防犯や交通安全への取り組みは、地域や関係機関との協働により継続して進めていくことが大切であります。 そのため、これまで区内警察署と協議してまいりました区民の安全向上に関する協働宣言については、このたび締結に向けての協議も整いましたことから、この取り組みを安全・安心都市の実現に向けての大きな一歩としてまいります。 警察署をはじめ、町会・自治会やPTA、そして防犯協会などの関係団体等との連携を強化いたしまして、区内の刑法犯認知件数の減少を目標に、品川区セーフティアップ運動基本計画を策定し、区民の安全向上に向けた取り組みを推進してまいります。

  以上が平成23年度の新規および拡充する施策についてでありますが、これらを推進するための基本姿勢についてご説明申し上げます。

23年度施政方針演説4

区政運営の基本姿勢(平成23年度の行財政改革の取り組み)

不況の長期化、少子高齢化の進展などによる社会構造の変化など、区政を取り巻く環境はますます厳しくなっており、健全財政を維持しながら多様化する区民ニーズに応えていくためには、行財政改革のさらなる推進が必要であります。

 そこで、平成23年度は多角的に行政サービスのあり方を検証し、見直しを行う必要があると考えております。全庁的な検討を行い、より効率的で効果的な区政運営をめざしてまいります。 事務事業評価は、各事業を見直す有効な手法の一つであり、今後はさらに一歩進めまして、区民参加による評価制度の構築に取り組んでまいります。また、現在の厳しい経済環境のもとでは、区民の負担の公平性を図ることも大切であり、この点についても検証していきたいと考えております。

  施設運営については、保養施設等の今後のあり方についての検討を進めてまいります。 さらに、区有財産の有効活用についても検討を進めまして、その取り組みの一つとして、庁舎駐車場を民間事業者に運営させ、維持管理経費の削減と収入確保を図ってまいります。

 今後も、さらに区有財産の有効活用を推進いたしまして、区民サービスに還元してまいります。

  日曜開庁には開始以来、6万人を超える方が来庁され、窓口サービスの多様な展開の必要性を実感しており、いっそうの充実に向け引き続き検討してまいります。

  次に、地方分権と都区のあり方について一言触れさせていただきます。 国においては、基礎自治体への権限委譲に関する法案が今国会に提出される予定であり、このことは都区の事務配分とも密接な関連があることから今後の動向を見守ってまいります。 また、都区のあり方検討については、事務移管と配分の全項目の検討が終わりまして、今後は具体化に向けた検討を行うとしており、引き続きしっかりと取り組んでまいります。

23年度施政方針演説5

平成23年度予算の概要

平成23年度予算は、緊急課題への重点的な取り組みと長期基本計画の着実な実現を主眼に編成いたしました。

  全事務事業を対象とした事務事業評価において、必要性や効率性の観点から検証を行い、約2億5千万円を削減いたしました。 さらに業務執行体制の見直しなどにより職員定数を28名削減し、人件費等の義務的経費の抑制に努めるとともに、計画的に推進してまいりました小中一貫校や特別養護老人ホーム等の施設整備の完了などによる投資的経費の減によりまして、平成23年度一般会計予算は1,378億8,500万円余とし、平成22年度当初予算との比較では約13億円、0.9%のマイナスとなりました。

  この長引く不況の中で、区民の暮らしを守るための緊急的な施策と計画事業の推進のために、これまで蓄えてまいりました財政力を活用した予算編成としております。


おわりに

 平成23年度も、引き続き厳しい社会経済情勢のもとでの区政運営になると覚悟しておりますが、健全財政を堅持しつつ長期基本計画の着実な実現に向けて、力強く前進してまいります。

  以上、平成23年度における施政方針をご説明申し上げました。 議員ならびに区民の皆様のご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、発言を終わります。ありがとうございました。

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