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区長メッセージ 第61号 平成25年2月20日 平成25年度施政方針演説
更新日:平成25年2月20日
はじめに 品川区長 濱野 健
東日本大震災の発生から2年が経とうとしておりますが、被災地では復興に向けた営みが動きだしてはいるものの、今なお不自由な生活を余儀なくされている方も数多くおられ、改めて心からお見舞いを申し上げるものであります。
この震災の教訓から、区といたしましても、地域防災計画の改訂や津波自主避難マップの作成など、防災対策を最重点課題として積極的に取り組んでおります。
一方、昨年実施いたしました品川区世論調査において、この品川区に住み続けたいというお答えが初めて9割を超えました。
これも区議会をはじめ、町会・自治会、商店街などの各種団体、企業、そして区民一人ひとりのご理解とご協力によるものと深く感謝申しあげます。
こうした結果について、大変うれしく思いながらも、区政を担うものとして、その責任の重大さを改めて認識をしたところでございます。
ところで、品川区の長期基本計画は、平成21年度を初年度とする10年間の計画であります。
この間、リーマンショック、東日本大震災、2度の政権交代と、社会は目まぐるしく変化してまいりました。このため、策定から5年目を迎える長期基本計画の中間見直しを行い、施策の再構築を行ってまいります。
平成25年度 区政運営の基本的な考え方
一方で、区政を取り巻く社会経済情勢は今なお厳しい状況にあり、国も新政権のもと、デフレと円高からの脱却に向け、金融緩和をはじめ、緊急経済対策を打ち出すなど、新たな局面を迎えており、政策変更の先行きと区への影響を見極めていかなければなりません。
また、最新の品川区将来人口推計では、総人口は平成35年をピークに、緩やかに減少すると予測をいたしましたが、高齢者人口だけは今後も増え続けるといった状況で、少子高齢化がより顕著になるものと見込んでおります。
これにより、社会保障費の増や介護基盤の整備など歳出圧力の高まりに加え、将来的な生産年齢人口の減による税収等への影響が益々懸念され、先を見据えた施策展開が求められてまいります。
こうした状況のもと、平成25年度は引き続き防災対策の強化を最重点課題として全力を注ぐとともに、この4年間積極的に取り組んできました3つの緊急課題への対応をさらに推進し、長期基本計画で掲げる施策を着実に実現させてまいります。
平成25年度予算の最重点施策 【防災対策の強化 災害に強いまちづくり】
まず、防災拠点の整備であります。
区役所に隣接した、しながわ中央公園は、木造住宅密集地域に近く、避難スペースとして相当規模の広さを有し、防災上大変重要な役割を担っております。
この度、西品川一丁目のJTアパート跡地を取得し、公園との一体的な整備をすることで、区民がより迅速かつ安全に避難できる広場空間を確保してまいります。
次に、木密地域不燃化にかかる事業であります。
昨年、東京都が防災対策の最重点事業として「木密地域不燃化10年プロジェクト」を打ち出し、先般制度案が公表されました。
品川区も東中延一丁目・二丁目、中延二丁目・三丁目をその先行実施地区として、いち早く名乗りを上げ選定されたところであります。
このプロジェクトの推進により、木造住宅密集地域の改善をこれまで以上に踏み込み、よりスピード感を持って事業展開できるものと考えております。そのため、本格実施に向け二葉、豊町、戸越など他地区も、今後積極的に手をあげてまいります。
また、このプロジェクトにより、都道である都市計画道路補助29号線、放射2号線ならびに補助28号線が特定整備路線に指定されました。
これらの路線は、東京都が事業主体となって道路の整備を進めるものですが、震災時等における市街地大火からの延焼拡大防止や広域避難所等への安全な避難路確保などのために、ぜひとも進めていかなければならない事業であります。
地域の方々の意見を十分に聴き、理解を得ながら、区が実施する木密不燃化事業と一体的に進められるよう、東京都への連携、協力を図ってまいります。
次に、住宅建築物への耐震化支援であります。
平成23年度より実施をしております木造建物除却助成につきまして、全額助成を密集事業地区まで広げてまいります。また、マンションの耐震化助成についても、災害時に、優先的に復旧させなければならない道路沿いの建物の助成要件を緩和し、対象を広げ、耐震化をより推進いたします。
さらに、建築士事務所協会品川支部と区内建設組合4団体との連携により設立いたしました「品川区住宅耐震化促進協議会」での、個別訪問や相談会も充実をしてまいります。
次に、災害時における情報伝達であります。
災害時の情報伝達は、その迅速さと正確さが求められ、防災上重要な視点であります。
そこで、避難所運営など重要な役割を担っていただく町会長・自治会長に配備している「防災テルてる」と「防災伝言板」につきまして、その機能を統合し充実させた、新たな機器に変更をしてまいります。
さらに、防災行政無線の商店街放送設備への接続につきましても、新たに3商店街を選定し拡充してまいります。
次に、避難所機能の強化であります。
東日本大震災では、天井の落下による死傷者が出るなど、改めて天井、外壁、照明器具など、いわゆる「非構造部材」の耐震化が注目されております。
特に、避難所である小中学校におきましては、児童・生徒の安全確保はもとより、避難所としての機能強化が必要であることから、今年度小中学校全校で非構造部材の点検を行い、一部改修を行いました。平成25年度は、点検により補強が必要と判断された学校の改修を実施してまいります。
さらに経年劣化の進んだ小学校の擁壁改修も計画的に実施することで、避難所機能の強化を図ってまいります。
また、災害時におけるトイレの問題は、衛生面などにおいて非常に重要であります。
避難所等に接続する下水道管の耐震化については、東京都と連携し、平成25年度までに完了させるとともに、避難所施設内の排水設備の耐震化も計画的に進めてまいります。
この他、清掃作業車によるごみの収集は、上下水道等と比較し早期に復旧が見込まれることから、処分が比較的容易な避難所用簡易トイレの備蓄も計画的に行ってまいります。
さらに、災害時初動医療の最前線となる救護所13ヶ所に、医師会との連携のもと、災害用医療資機材を配備し、医療体制の充実も図ってまいります。
次に、火災時の初期消火体制も減災面で重要であります。
昨年7月の補正予算では、火災危険度の高い地区に街頭消火器の増設を行いましたが、平成25年度も継続してまいります。
道路陥没による震災後の救急活動等への支障も、今回の震災で学んだところであります。そのため、道路陥没の原因となる空洞の補修工事を実施し、震災時の通行の安全性を確保してまいります。
そして、東日本大震災で大きくクローズアップされました津波への対応であります。
今回の震災の大きな教訓から、想定を上回る被害に対しての備えも必要であり、昨年より海抜標示板の設置や津波自主避難マップ作成などを行ってまいりました。
平成25年度は、自主避難マップ作成を促進するために、作り方の講習会など、その普及に向けた取組みを強化してまいります。
また、都市型水害にも強い基盤整備を実施してまいります。雨水を速やかに排水する下水道の整備として、浜川雨水排水管建設を進め、下水道管の排水能力を高めることで、浸水被害を抑えてまいります。
こうした取組みを平成25年度も積極的に推し進め、災害に強いまちを築いてまいります。
3つの緊急課題への継続した取り組み
次に、3つの緊急課題への取り組みについてご説明いたします。
1 緊急経済対策
はじめに、地域経済の活性化に向けた総合的な経済対策であります。
緊急特別支援資金融資あっ旋では、これまでに約7,500件、500億円を超える融資が実行され、区内中小企業の経営を支えてまいりました。しかしながら、中小企業の経営は未だ厳しい状況にあります。
昨年、長期の融資を求める声を受け、返済期間を10年以内とする経営安定化資金を新設し、これまで約300件余、50億円を超える融資を行い、成果をあげていることから、平成25年度も継続してまいります。
さらに、3年間無利子の緊急特別支援資金融資あっ旋も継続することで、これからも中小企業の経営を支援してまいります。
また、本年3月で中小企業金融円滑化法が終了することを受け、経営相談の充実を図るとともに、資金繰りに苦慮する中小企業に向けて、事業設備資金や事業運転資金のあっ旋限度額を引き上げてまいります。
次に、商業振興策としてのプレミアム付区内共通商品券につきましても、引き続き春と秋に計6億円を発行いたします。これにより、発行総額は30億円を超え、地域経済の活性化をさらに進めてまいります。
そして、中小企業が今後も経営を維持していくためには、企業活動の基本となる人材への支援が重要であり、昨年より就業支援についても取組みを始め、その第一歩として「品川区就業センター」を開設いたしました。
このセンターには、昨年末までに約1万8千人の方が訪問され、当初の予想を上回る500件の就職が成立し大きな成果をあげております。
平成25年度はさらに、合同就職説明会や企業の魅力発信イベントなど、政策課題研修による職員のアイデアも取り入れた求人企業支援や若者の就職活動サポート事業などにも取り組んでまいります。
2 総合的な待機児童対策
次に、総合的な待機児童対策ですが、この3年間で2,000人を超える受入れ枠拡大を行い、大きな成果をあげてまいりました。
待機児童対策は引き続き取り組むべき課題ではありますが、人口推計や保育需要の動向、さらに子ども・子育て関連3法による国の制度改正の動きも捉えながら、将来的な財政の負担も考慮した施策を展開していくことが重要であります。
そのため平成25年度においても民間事業者による認可・認証保育所の誘致を積極的に進めてまいります。
区独自の開設準備経費と賃貸借保育所への家賃助成などは、民間事業者の誘致に成果を上げており、認可保育園7園、認証保育所2園、あわせて定員511人の新規開設へと結びつけました。平成25年度は、認可保育園5園定員302人、認証保育所1園定員40人の開設等を予定しております。
保育ママ事業では、在宅型、事業所型を合わせて新たに3ヶ所開設し、定員を21人拡大いたします。
さらに、幼保一体施設・平塚すこやか園は、平塚幼稚園が昨年10月末に改築したことに続き、本年4月には88人新規増の保育園を開設いたします。
また、二葉すこやか園につきましても23人の定員拡大などにより4月に開設いたします。
以上のような待機児童対策を総合的に展開し、平成25年度は、受入れ枠を484人拡大いたしまして、待機児童の解消に努めてまいります。
3 高齢期の住まいと安心対策
次に、高齢期の住まいと安心を守る取り組みについてであります。
新しい将来人口推計では、高齢者人口は今後も伸び続け、平成47年には9万人を超え、高齢化率は26%以上になると予測しており、高齢化への対応は今後も計画的に取り組まなければなりません。
とりわけセーフティネットとしての入所・入居系施設の整備は重要であります。
そのため、学校跡地を活用した特別養護老人ホーム等の整備を進め、平成26年度には杜松小学校跡に開設する予定であります。
また、西中延区営住宅の建替えに伴い、併設する平塚橋会館を定員100人の特別養護老人ホームをはじめ、多世代が交流できる新しいタイプのシルバーセンターなどの複合施設として整備いたします。平成27年度の開設をめざし、本年秋には整備を開始いたします。
さらに、上大崎の国有地、旧最高裁判所宿泊所「みやこ荘」跡地を取得し、区内11カ所目となる特別養護老人ホーム等複合施設として整備いたします。定員は100人程度の規模とし、平成28年度の開設をめざします。
次に、高齢者の生活を地域で支えるための基盤として、高齢者住宅の整備も重要であります。民間医療法人が西五反田三丁目に介護と医療サービスの提供を付加した、サービス付高齢者住宅を整備するにあたり、これを助成してまいります。
住宅の戸数は21戸、認知症高齢者グループホームや訪問看護ステーションなどの複合施設として、平成26年度の開設予定であります。
また、この他民間の認知症グループホームの整備助成につきましては2カ所、小規模多機能居宅介護施設助成を1カ所行い、各種の施設の充実を図ってまいります。
以上が平成25年度の最重点課題であります防災対策の強化と3つの緊急課題への取組みについてでありますが、区民の生活と福祉を守るために長期基本計画で掲げる施策も着実に実現してまいります。
25年度予算 長期基本計画の着実な実現
長期基本計画への取組みにつきまして、新規および拡充する事業を中心にご説明申し上げます。
1 だれもが輝くにぎわい都市
はじめに、「だれもが輝くにぎわい都市」の実現であります。
区ではこれまでも、町会・自治会をはじめ、NPOや企業による社会貢献活動など様々な地域の活動に対して、積極的に支援をしてまいりました。
こうした活動は、地域の活性化だけでなく、災害時においては共助の源となり、大変重要であります。
そこで、地域の活動で最も基本となる町会・自治会活動の支援を引き続き行ってまいります。
昨年9月に地元の不動産業界の協力を得て始めました、加入申込みはがきの配布につきましては、区内全域に拡大しまして、町会・自治会の認知度を上げ、加入を促進してまいります。
また、ホームページを開設した町会・自治会に対し、継続的な情報発信ができるよう、情報交換の場の設置や専門家によるアドバイス等の支援を進めてまいります。
次に、社会貢献団体の活動促進も重要であります。地域貢献活動を行う団体の顕彰や社会貢献活動団体の紹介展などを実施し、区民や団体による社会貢献の連携と交流を強めてまいります。
さらに、企業の社会貢献活動を推進するため発足しました「しながわCSR推進協議会」におきましても、その会員数を増やし活動を充実させるほか、会員が合同で貢献活動ができるよう、合同活動を推進してまいります。
次に、産業振興であります。
品川区内において急速にその数を増やしているソフトウェア会社などの情報通信業は、品川の新たな産業の顔として、今後の事業展開が大いに期待されるところであります。
そこで、この分野の展示会への出展助成や品川パビリオンの共同出展など、新たな品川技術ブランドのPRを強めてまいります。
加えて、ソフトウェアに関する知的財産権取得の経費につきましても助成し、その成長を支えてまいります。
また、品川の都市型先端産業の発展にその役割が期待される、一般財団法人品川ビジネスクラブにつきましては、これまでの運営支援に加え、平成25年度は出捐金を拠出し相互の連携を一層強化することで、品川発の新たなビジネスモデルを創出してまいります。
次に、商店街への支援であります。商店街は、区民が日々買い物をする場というだけに留まらず、人々が集うことで、コミュニケーションを広げていく、いわばまちの活性化に欠かせないインフラであり、その支援は地域の活性化に直結するものであります。
このような視点から、平成25年度は、食料品購入は地元商店の利用が多いという商店街実態調査や世論調査の結果を踏まえ、生活に欠かせない生鮮三品を取り扱う商店の支援を新たに行ってまいります。
また、マイスター店等の情報発信強化や買物弱者支援事業なども引き続き行い、商店街の活性化を図ってまいります。
次に、観光への取組みにつきましては、しながわ観光協会と連携し、品川区の魅力を国内外に広く発信することで、来訪者の増加とにぎわいの創出をしてまいります。
平成25年度は、新たな「しながわみやげ」を発掘・発信する「しながわみやげコンペティション」事業をはじめ、区内商店街や各駅への街角観光案内所の設置などを実施してまいります。
さらに、品川区の観光資源である水辺を活用し、屋形船などを利用したイベント実施のほか、外国人向けに多言語のパンフレットを作成し、現地の旅行社に配布するなどPRを充実してまいります。
また、被災地応援ツアーについても引き続き実施し、被災地への観光による経済的復興支援を継続してまいります。
次に、文化芸術・スポーツの振興であります。
平塚小学校跡地を有効活用した、区民の文化芸術・スポーツ活動の総合施設である、荏原平塚総合区民会館「スクエア荏原」が、本年4月にオープンいたします。
ホールは362席、アリーナは756平方メートル、イベントホールは457平方メートル、その他スタジオ、会議室、カフェ、広場など、荏原、平塚地域における文化芸術、スポーツやコミュニティの活動拠点とし、にぎわい創出の場といたします。
さらに、災害時には防災拠点としても活用することで、地域に密着した総合区民会館としてまいります。
スポーツの分野では、東京国体「スポーツ祭東京2013」において、品川区では正式競技のハンドボールとデモンストレーション行事のグラウンドゴルフの開催を予定しており、生涯スポーツ社会への気運が高まっていくものと期待しているところであります。
そして、本年9月には2020年オリンピック・パラリンピックの開催地が決定されます。これまで品川区は、東京をその候補地として、積極的に気運醸成に努めてまいりました。
オリンピックを招致することで、「子どもたちへの夢のバトンタッチ」「東京の防災力の更なる向上」といった、品川区が大きく躍進する契機と捉え、今後も招致への気運醸成を積極的に推し進めてまいります。
2 未来を創る子育て・教育都市
第2に、「未来を創る子育て・教育都市」についてであります。
次代を担う子どもたちの健やかな成長は、我々地域社会全体で育んでいくことが重要であります。
このような中、子ども・子育て関連3法が昨年公布され、一定の質が確保された教育・保育の提供と量的な拡大が求められていることから、区もこれまで行ってきた施策をさらに充実させる必要がございます。
そのため、子ども・子育てに係る需要の見込みや方策を内容とした「品川区子ども・子育て支援事業計画」を策定することとし、その準備として、ニーズ調査を行い、子ども・子育て会議を設置してまいります。
また、気軽に子育ての不安や悩みを相談でき、交流もできる身近な場として、児童センターがその役割を担っておりますが、児童センターが身近にない地域においても、新たに「子育て交流サロン」を2ヶ所開設することで、交流機会の充実を図ってまいります。
一方、これまで親育ちの観点から、1日保育士体験事業を行ってきておりますが、シニア世代にも子育て支援に参加してもらうために、子どもへの接し方や遊びの技術を習得してもらう「悠々ボランティア」育成事業を実施してまいります。
また、幼児教育の充実として実施をしておりますスクールステイ事業も、保育園6園、幼稚園2園、小学校3校を新たに加え、15校20園まで拡大し更なる充実を図ります。
次に、学校教育の推進であります。
昨年9月に、区立中学生が自ら命を絶つといった痛ましい出来事がございました。改めて、亡くなられた生徒さんのご冥福をお祈りするとともに、ご家族に哀悼の意を表します。
これからの未来を創っていく子どもたちが、安心して教育を受け育っていくためには、我々大人が一丸となって問題解決に取り組んでいかなければならず、「いじめ」や「不登校」などの問題について、その背景や対応等を明らかにし、各学校において問題発生を未然に防止していかなければなりません。
特に、喫緊の課題である「いじめ」の防止および早期発見・解決につきましては、昨年10月に提出されたいじめ等の調査対策委員会の報告書の提言を受け、いじめ等根絶に向けた対策を強く進めてまいります。
具体的事業として、仮称「品川区いじめ等根絶連絡会議」やいじめ等対策チームの設置など、組織的な対応と共に、地域や関係団体とも情報を共有し、学校と地域が一体となった取組みを進めてまいります。
また、学校への支援といたしまして、児童・生徒向けのいじめ等防止プログラムなどの充実をはじめ、スクールカウンセラーの増員やスクールソーシャルワーカーの新規配置による相談体制の強化、さらに、学校経営コンサルタントの派遣など、民間の力も取り入れるなど、様々な取組みを進めてまいります。
また、いじめの未然防止につきましては、いじめ防止に関する手引書などを活用した啓発活動の充実やいじめ根絶宣言の採択による決意表明、さらに、児童・生徒の声を直接得るための目安箱等を全校に設置するなど、取組みを強めてまいります。
ところで、教育の目的は、一人ひとりの子どもが、生きる力と知恵を育むことと、人づくりを通して、次の社会を形成していくことにあります。
次の社会、次の品川区とはどのようなもので、これを担う人材を、どのように育むのか、首長としても積極的に関心を持つ必要があります。そこで、平成25年度より、新たに区長と教育委員の懇談会を実施してまいります。
次に、小中一貫教育の推進についてであります。
本年4月には、施設一体型一貫校として6校目となる豊葉の杜学園が開校し、小中一貫教育をさらに充実してまいります。
また、学校改築では、御殿山小学校が昨年より改築工事に入り、平成27年3月の竣工をめざし進めてまいります。
次に青少年の健全育成の取組みであります。
昨年より取り組んでおります地域で役立ちたいと思う青少年の力を活用する「役立ち隊」については、区の様々な事業に参加してもらうよう、さらに発展させてまいります。
また、毎月第一日曜日の品川区「家庭の日」に、離れて暮らしている家族へ直接連絡をすることを奨励し、家族の絆を深めるとともに、詐欺犯罪防止の一助にもしてまいります。
さらに、将来を担う子どもたちのために、平和で人権が尊重される社会の構築も大切であります。平成25年度は、「人権尊重都市品川宣言」制定20周年であり、改めてその主旨を広く周知し、人権意識の高揚を図る良い機会であります。「人権のつどい」の拡充など、幅広く宣言の普及に努めてまいります。
3 みんなで築く健康・福祉都市
第3に、「みんなで築く健康・福祉都市」についてであります。
高齢者や障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らすためには、地域社会や行政の支えが必要であります。
また、高齢者の人口増という見込みのもとでは、新たな課題に柔軟かつ的確に対応することも重要であり、各福祉施策を総合的に展開してまいります。
介護保険事業でありますが、現在の制度では特別養護老人ホーム等の施設において、質の高いケアによって入所者の状態が改善し要介護度が低くなると、介護報酬が低下する仕組みとなっております。
努力の結果が収入減では、施設の意欲があがりません。
そこで、健全な施設運営や介護スタッフのモチベーション向上を図るため、要介護度が改善された場合は、その成功報酬として、奨励金を交付することといたします。
次に、障害者福祉につきましては、発達障害の取組みにおいて、財団法人鉄道弘済会所有のアフターケアセンター跡を区立施設として借り受け、就労型支援事業を中心とした新たな拠点とするほか、知的障害者のグループホームの設置など、平成26年4月開設に向け準備を進めてまいります。
また、児童福祉法の改正により品川児童学園は、知的障害児通園施設から児童発達支援センターに移行し、さらに保育所等訪問支援など、新たな療育事業も開始することから、その体制の充実を図ってまいります。
さらに、知的障害者等の就労の場拡充を図るため、品川区社会福祉協議会が運営しております「ふれあい作業所」の再編を行い、定員の拡大等を行ってまいります。
地域福祉の推進では、ひとり親家庭の教育面での不安軽減や自立支援に向けた取組みとして、個別の学習指導や進路相談を行い、学習の習慣付けや進学意欲の向上をめざします。
次に、健康づくりでありますが、20歳代、30歳代女性のがん罹患率第1位である子宮頸がんにつきまして、ワクチンの接種を現行の中学1年生から中学生全学年と高校1年生まで拡大し、全額助成をいたします。
また、低年齢化傾向にある高血圧や糖尿病などの生活習慣病予防の意識付けを強めるために、新たに30歳代後半の区民を対象にした健康診査を実施し、40歳からの特定健診受診への習慣化を図ってまいります。
さらに、増え続ける糖尿病につきまして、新たに糖尿病等重症化予防事業を実施し健康寿命の延伸と医療費の適正化につなげてまいります。
4 次代につなぐ環境都市
第4に、「次代につなぐ環境都市」であります。
地域特性を活かし、自然との調和を図り、環境負荷を軽減することが環境都市の実現には不可欠であります。品川区の特性や個性を十分に活かした環境にやさしいまちづくりを進めてまいります。
はじめに水辺空間とみどりへの取組みであります。
水辺の環境改善の一環としまして、汚れた雨水を勝島運河に流さないようにする勝島運河雨水貯留施設建設を、平成27年度の整備完了に向け進めており、東京都と連携しながら、浸水対策も合わせ、河川・運河の水質改善に努めてまいります。
次に、しながわ区民公園におきましては、開園から約30年が経過しており、施設老朽化対応のため、下水道事業とも連携しながら、屋外プール等の改修を行ってまいります。
また、平成20年度に実施をいたしました「公園づくりワークショップ」において、区内小学生から提案されたアイデアを取り入れた、3カ所目の公園として、東品川公園を改修し、同時に老朽化した弓道場等も改築してまいります。
次に、環境対策であります。
東日本大震災により節電への意識が高まっている中、節電対策の一環として、商店街と連携し、時短クッキング選手権や商店主向け節電セミナーなど新たなメニューへの支援により、省エネ、節電啓発を推進してまいります。
また、太陽光発電設備につきましても、新たに中小企業センターに設置するなど、区有施設への設置に努めてまいります。
次にリサイクルでありますが、平成25年度より小型家電も資源として回収することで、ごみの減量と資源の有効活用を図り、循環型社会をさらに促進してまいります。
また、アスベストを使用した建築物が改修の時期を迎えており、工事の際には飛散防止対策を確実に行わなければなりません。
そのため、これまでのアスベスト調査助成に加え、除去助成についても実施をし、確実な対策工事の促進と区民の不安解消に努めてまいります。
5 暮らしを守る安全・安心都市
第5に、「暮らしを守る安全・安心都市」についてであります。
防災対策をはじめ、魅力的で住みやすい市街地の整備や便利で安全な交通環境、犯罪に強いまちづくりなどは、安全で安心のまちづくりに欠かせないものであります。
これまでも、まちの活性化、災害に強いまちといった観点に立ち、地域の特性を十分に活かしながらまちづくりを進めてまいりました。
そのようなことから、市街地再開発事業では、西品川一丁目地区について、防災性の向上や大崎駅周辺地区の機能補完等のため、平成29年度の竣工をめざし、準備を進めてまいります。
また、昨年より検討を進めている品川駅周辺のまちづくりにつきましても、羽田空港の国際化や24時間化、リニア中央新幹線のターミナル駅など、品川駅の交通結束機能の高まりが益々期待されており、国際都市東京の表玄関であります品川区の新たな拠点整備に向け、国際戦略総合特区の拡大なども視野に入れたまちづくりを進めてまいります。
一方で、八潮地区はまちが形成されてから30年が経過し、当初の都市計画と高齢化が急速に進行している現在のまちの状況との齟齬が課題となっております。
そこで、道路に関しましては、今後歩道の幅を広げるなど、人々が歩きやすい道路への改修を進めてまいります。
次に、交通環境の整備であります。
平成25年度には、東急線下神明駅にエレベーターの設置助成を行い、区内40のすべての駅において、バリアフリー化が完了いたします。
また、長年の懸案でありました東急線戸越公園駅のホーム延伸は、品川区も道路の付替え等を行いまして、本年2月末には供用開始となり、利用者の利便性が図られます。
次に、防犯対策については、防犯設備の整備として、区が指定する「安全安心まちづくり推進地区」における、防犯カメラなどの整備補助を拡充し、自主的防犯対策の向上を支援してまいります。
以上が平成25年度の新規および拡充する主な施策でありますが、これらを推進するための基本姿勢についてご説明を申し上げます。
区政運営の基本姿勢と平成25年度予算の概要
区政運営の基本姿勢
未だ先行きが不透明な経済情勢など、区政を取り巻く環境は依然として厳しいことから、行財政改革の取組みはなお一層強く進めていくことが重要であります。
さらに、長期基本計画の中間見直しをする上で、計画の後期5ヵ年をどのように進めるか、様々な角度で検証していく必要があります。
こうしたことを踏まえ、跡地等も含めた区有施設の有効活用は重要な視点であります。
公共施設有効活用プランの考えのもと、施設の改修等に合わせて用途転用や複合化など有効活用を図るほか、旧第一日野小学校跡地などのように、民間に一定期間貸付けを行い、税外収入も得ながら新たな活用を検討するといった、資産としての考えも合わせながら活用を進めてまいります。
窓口サービスの向上も大切な取組みであります。
日曜開庁は開始以来、多くの方にご利用いただき、昨年、来庁者が10万人を超え、サービスの向上に大きく寄与してまいりました。
今後も、区民の利便性向上と窓口サービスのさらなる充実のため、窓口業務の新たな課題についても検討してまいります。
次に、区民の方々と私とが直接意見交換を行うタウンミーティングでありますが、平成25年度は公募方式とテーマを設定し関係した方々と行うテーマ別方式の二種類で実施し、多様な意見交換を行い区政に活かしてまいります。
次に、協働による区政運営であります。
区民のライフスタイルの変化や価値観の多様化が進む中、町会・自治会の活動をはじめ、NPOやボランティア団体の自主的活動、さらに企業などによる社会貢献活動の高まりなどが、品川区の大きな力となっています。
このような力をもとにした、協働による区政運営により、私たちのまち・品川を区民と区が一体となり、作り、支えていけるよう努めてまいります。
そして、最後に都区のあり方についてですが、平成12年の都区制度改革の考えのもと、本来あるべき都区関係を確立し、事務配分の見直しや、財政調整の面で23区の自立性、自主性を高めていく取組みを着実に進展させていくことが今後も重要であると考えております。
平成25年度予算の概要
このようなことから、平成25年度予算は、最重点課題であります防災対策の強化をはじめ、3つの緊急課題への継続した取組みと長期基本計画の着実な実現を主眼とした予算であり、編成にあたりましては、昨年実施をいたしました事務事業評価の結果も踏まえ、マイバック運動事業や生活保護の法外援護事業、衛生検査事業など、127事業の見直し等により、1億2,000万円余の削減を行い、予算へ反映をいたしました。
また、業務執行体制の見直しなどにより、職員定数を11名削減し、人件費等の義務的経費の抑制にも努め、一般会計予算は、1,331億5,000万円余といたしました。
昨年度対比では、約5億6,000万円増、プラス0.4%となり、最重点課題である防災対策の強化には41億円余を充当いたしました。
昨今の厳しい社会経済情勢におきましても、これまで培ってまいりました財政力を活用し、必要な施策を着実に実現するための堅実な予算としたものであります。
おわりに
今後も効果的・効率的な区政運営に努め、健全財政を堅持しながら、区民が真に必要とする施策を迅速かつ的確に推進し、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」をめざし、改めて不断の努力をしてまいる決意であります。
以上、平成25年度における施政方針をご説明申し上げました。
議員ならびに区民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、発言を終わります。ありがとうございました。
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企画財政課
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