区長メッセージ 第66号 平成26年2月19日 平成26年度施政方針演説

更新日:平成26年2月19日

1.はじめに    品川区長  濱野 健

平成26年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針及び施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

先般、品川区長期基本計画改訂委員会より長期基本計画改訂素案の答申をいただきました。これは、平成21年度の計画策定から、リーマンショックに端を発する世界的な不況や東日本大震災の発生など、品川区を取り巻く社会経済環境が目まぐるしく変化してきており、これに対応していくため、中間見直しの議論をお願いしたものであります。

この答申は、改訂委員会で、区議会議員をはじめ、区内団体や公募区民の方々に、活発な議論をしていただき、さらにパブリックコメントなどを経て、多くの方の貴重な意見を伺い、まとめられたものであります。ここに改めて尽力いただいた方々に感謝申し上げるとともに、この長期基本計画の着実な実現に向け、一層の努力をしてまいる所存であります。

26年度施政方針演説1

2.平成26年度  区政運営の基本方針

さて、甚大な被害をもたらした東日本大震災から3年が経とうとしております。 しかし、その傷跡は今もなお残されており、我々はここからの教訓をしっかりと受け止め、安全・安心のまちづくりを進めていかなければなりません。

昨年12月には、政府の中央防災会議が首都直下地震などの被害想定を発表いたしました。これを受け、マグニチュード7クラスの地震による建物倒壊や火災、津波などに対処するためには、これまで区が行ってきた防災対策の見直しや強化を、さらに推し進める必要があると強く決意をいたしました。

一方で、平成26年の実質GDPの成長率を上方修正するなど、日本経済は回復の兆しを見せつつありますが、すべての区民や中小企業が、それを実感できるまでには至っておりません。加えて、消費税の税率改定による区民生活や区への影響も十分に見極める必要があるものと考えております。

このような中、昨年9月に2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催が決まり、将来を見据え、長期的視野に立った予算や事業展開が改めて求められてきております。

こうしたことから、平成26年度は引き続き防災対策の強化を重点課題として全力を注ぐとともに、オリンピック・パラリンピックなど将来的視野の事業も展開しつつ、改訂した長期基本計画に掲げる施策を着実に実現させてまいります。

3.平成26年度予算の重点課題 【防災対策の強化 災害に強いまちづくり】

はじめに、26年度も重点課題といたしました防災対策の強化についてご説明申し上げます。

まず、今般区議会定例会に上程しております「品川区災害対策基本条例」であります。この条例は、防災対策の基本である「自助」、「共助」、「公助」の考えを、区や区民、事業者などそれぞれの立場において、役割や責務として明確化し、主体的に行動するための指針となるものであります。是非ともご理解いただけるよう、その主旨の普及に努めてまいりたいと考えております。
そしてこれにあわせて、さらなる防災への意識向上を図るため、事業者向け防災ハンドブックを作成し、区内全事業者に配布してまいります。

次に、災害に強いまちづくりであります。
はじめに、木密地域不燃化10年プロジェクト事業の本格実施であります。

平成24年度に「東中延一・二丁目、中延二・三丁目」を先行実施地区として東京都より指定されたことに続き、25年度は「補助29号線沿道地区」、「豊町四・五・六丁目、二葉三・四丁目及び西大井六丁目地区」、「旗の台四丁目・中延五丁目地区」、「戸越二・四・五・六丁目地区」が本格実施地区として前倒しで指定を受け、事業展開をしてきております。

そして、26年度は「西品川二・三丁目地区」を本格実施地区として事業開始する予定であります。この事業を推進することで、長年の懸案である木造住宅密集地域の改善が、これまで以上のスピードで展開できるものと考えており、一層注力してまいります。

また、東京都道の特定整備路線整備事業につきましても、地域の方々のご意見を十分に聴き、理解を得ながら、震災時等の巨大火災の防止や避難道路機能の強化のため、不燃化特区事業と一体的に進める必要があります。 さらに、区内で初となる防災街区整備事業として、荏原町駅前地区の整備を平成28年の竣工をめざして進めてまいります。

次に、防災拠点の整備であります。

災害時に区の拠点となる防災センターですが、区民の防災意識向上を図るため、従来のコンセプトである「震災の恐ろしさを伝える」展示等から、体験型の訓練的な施設としてリニューアルをしてまいります。その内容といたしまして、室内における消火体験や災害弱者の避難疑似体験など、より実践に近い体験ができるようにいたします。

また、昨年JTより防災の目的で取得いたしましたJTアパート跡地は、本格整備に向け準備を進め、防災備蓄倉庫のほか、ヘリポートや仮設住宅の建設用地として機能できるよう準備をしてまいります。

次に、住宅の耐震化支援であります。

木造建物除却の全額助成を木造住宅密集地域全域に拡大し、地震による倒壊の危険を減らし、さらに延焼防止にもつなげてまいります。

次に、避難所機能の強化であります。

東日本大震災では、天井の落下による死傷者が出るなど、その教訓から区においても避難所を中心とした非構造部材の耐震化を進めてまいりました。26年度も引き続き、小中学校の非構造部材の耐震化を進めるとともに、庁舎や二次避難所なども調査を行い、順次改修を進め避難所機能の強化をしてまいります。
また、庁舎や地域センターなどに接続する下水道管の耐震化も東京都と連携して行い、トイレ等に通じる排水設備の耐震化を計画的に進めてまいります。

次に、津波等への対策であります。

東日本大震災の大きな教訓から、24年度より海抜標示板の設置や津波自主避難マップ作成など、津波からの被害を防ぐために様々な取り組みをしてまいりました。引き続き、自主避難マップ作成を促進し、あわせて津波避難施設の確保に向けた取り組みを強化してまいります。

また、都市型水害にも強い基盤整備として、浜川雨水排水管建設を都と連携して進め、下水道管の排水能力を高めることで浸水被害を抑えてまいります。

次に、災害対策基本条例で謳われております自助、共助の具体的な促進であります。
まず、初期消火体制の強化であります。

平成24年度より、区民消火隊・ミニポンプ隊を持つ防災区民組織を中心にスタンドパイプを配備してまいりましたが、地域での初期消火能力のさらなる向上をめざし、26年度は必要とされる防災区民組織に対してスタンドパイプ機材一式を増配備してまいります。 また、24年度より木造密集地域へ街頭消火器を増設しておりますが、26年度も火災危険度の高い地区を中心に増設してまいります。

一方で、帰宅困難者の問題は、この震災での新たな教訓であります。 東京都地域防災計画において帰宅支援対象道路と指定されている国道15号線は、徒歩帰宅者が大量に発生することが予想され、その方々が無事に区内を通過するためには、周辺の住民や事業者、関係機関との連携・協力が不可欠であります。このようなことから、平成25年に「徒歩帰宅者支援対策協議会」を設立させ、図上訓練を実施いたしました。26年度は、これをもとに地域ルールを決定し実地訓練を行います。

また、ターミナル駅における帰宅困難者対策も大きな課題であることから、25年度に目黒駅周辺での対策協議会を目黒区との連携により設置し、避難誘導ルートの確認訓練を実施いたしました。26年度も引き続き目黒駅周辺対策協議会での対応を行うとともに、区の中心核である大井町駅周辺での協議会設立に向け準備を進めてまいります。

以上が、26年度重点課題である防災対策の主なものであり、こうした取り組みを積極的に推し進め、災害に強いまちを築いてまいります。

26年度施政方針演説2

4.平成26年度予算 長期基本計画の着実な実現

次に、区民の生活と福祉を守るために、見直しを行った長期基本計画で掲げる施策も着実に実現してまいります。その取り組みにつきまして、新規及び拡充する事業を中心にご説明申し上げます。

(1)だれもが輝くにぎわい都市

はじめに、「だれもが輝くにぎわい都市」であります。

まず、地域における区民の活動支援であります。

中でも、町会・自治会は地域の核であり、地域の活性化だけでなく、防災への取り組みや高齢者支援など、長年、重要な役割を果たしてきております。しかしながら、法制度上、町会・自治会は単なる地縁組織のひとつでしかなく、その重要性が社会全体として十分認識されていないきらいもあります。 こうしたことから、地域社会における町会・自治会の意義や役割を改めて評価し、区民への啓発をしてまいりたいと考えております。

また、最近は、地域における課題は、ごみ屋敷などに代表されるように複雑化し、高度な法律知識を要するものなど、町会・自治会独自での解決が困難な事例も顕在化してまいりました。そのため、新たに弁護士など専門家の派遣や相談窓口を開設し、町会・自治会加入促進などの課題と合わせ支援してまいります。

また、町会・自治会の活動拠点となる町会会館について、耐震化などの整備の支援を拡充し、地域活動の活性化を促進いたします。さらに、地域の情報発信拠点である「ふれあい掲示板」は、設置から20年が経過し老朽化していることから、今後3年間で集中的に建替えを行ってまいります。

一方で、様々な活動をしている団体とも協働を推進し、暮らしの向上や多様化する課題の解決を行ってきております。そうしたNPOなどの自主的活動を支援するため、こみゅにてぃぷらざ八潮の施設を一部改修し、協働推進室の拡張整備を行います。
また、企業の社会貢献活動を推進するための「しながわCSR推進協議会」におきましても、各企業の関心の高い「防災」や「環境」などの課題について、新たに課題別分科会を開催し、企業と区との連携をさらに進めてまいります。

次に、産業振興であります。

これまで区では、地域経済の活性化に向け総合的な経済対策を進めてまいりました。プレミアム付商品券は発行総額が30億円を超え、中小企業への緊急特別支援資金融資あっ旋も約9,000件、640億円を超える融資が実行されるなど、一定の成果をあげてきております。しかしながら、区を取り巻く経済環境の先行きはまだ安心できるものとは言えず、区民や中小企業が景気の回復を実感できるものにしなければなりません。そのため、地域経済活性化のための施策を引き続き進めてまいります。

まず、商業振興であります。

プレミアム付区内共通商品券は、引き続き春と秋に計6億円を発行いたします。26年度は、消費税率の改定による影響も考慮し、春の販売額を4億円とするほか、より多くの方にご利用いただけるよう販売の方法など工夫をしてまいります。

また、商店街活性化に向けた新たな事業といたしまして、マイスター店等を活用し、商店主が講師となって商品やサービスについて、プロならではのコツを教える「まちゼミ」の開催支援や商店街の隠れた商品・サービスを発掘する商店街調査隊事業を行ってまいります。

次に、中小企業への支援であります。

これまで行ってきた事業資金融資あっ旋につきまして、信用保証料の補助率など利用条件の見直しを行い、さらに利用しやすいものといたします。 そして、区内に集積しつつある研究開発型企業や情報通信企業等が相互に連携し、交流や情報交換ができる拠点といたしまして、「品川産業支援交流施設」を平成27年6月に開設いたします。この施設において、様々な地域・業種の企業を呼び込み、異分野同士による連携を促進させ、新産業、新ビジネスを品川から創出してまいります。

また、中小企業の人材確保支援も重要であります。今回の長期基本計画の見直しにおきましても就業支援を新たに個別施策として立ち上げ、さらなる充実を図ってまいります。24年度に開設しました「品川区就業センター」では、昨年末までに約1万9千人の相談を受け、1,400件の就職が成立し、確実に成果をあげております。加えまして、今年度実施いたしました若者就業体験におきましては、27人の中小企業への就職が決定した実績から、26年度も継続してまいります。

あわせて、生活保護受給者の就職も大切であることから、被保護者への就労意欲の喚起、就労体験や職場定着支援など、総合的な就労支援を行い就職率の向上を図ってまいります。

次に、観光への取り組みであります。

オリンピック・パラリンピックの東京開催が決まり、品川区にも多くの方々に来ていただけるよう、観光にもさらに力を注ぐ必要があります。そのため、26年度もしながわ観光協会と連携し、都市型観光を推し進めてまいります。 新たな事業として、スマートフォンの普及が広がっていることを踏まえ、GPS機能を活用した観光ルート案内や観光スポットの動画など、観光情報発信のアプリを作成し、来訪者への情報提供を充実いたします。

また、今年度から実施しております「しながわみやげ」を発掘・発信する「しながわみやげコンペティション」事業の継続や外国人観光客向けに多言語対応の観光マップの作成などを行ってまいります。

さらに、水辺の観光資源として、目黒川の重要性が増してきていることから、船上からの景観の楽しみ方のひとつとして、船から橋梁名が見えるよう整備してまいります。

次に、伝統文化と芸術の振興についてであります。 まず、新たな品川区史の刊行であり ます。この区史は「歴史と未来をつなぐまち しながわ」と題し、区内各地域での人々の姿や歴史などをビジュアル重視で冊子に収め、伝統芸能や風景動画をDVDに収録するなど、従来の自治体史とは一線を画した内容で、次世代に地域の歴史や文化を分かりやすく継承するものといたします。

また、品川区民芸術祭ですが、26年度で5回目を迎えることとなり、区民の誰もが質の高い文化芸術に触れ、楽しみ、気軽に参加・鑑賞できる機会として、より一層充実したものといたします。


(2)未来を創る子育て・教育都市

第2に、「未来を創る子育て・教育都市」についてであります。
次代を担う子どもたちの健やかな成長を、地域社会全体で育んでいくことが大切であります。

まず、待機児童対策であります。

これまで区は、民間の力も活用しながら総合的な待機児童対策に取り組んできており、平成22年から25年度までに2,528人の受入れ拡大を行うなど、積極的な対応をしてまいりました。
一方で、将来人口の推計や保育需要の動向、さらに国の子ども・子育て支援新制度の動きなど、子育て支援の施策は大きく変動しようとしていることを踏まえ、将来的な財政負担も考慮した事業展開をしていく必要があります。

このようなことから、26年度におきましても民間事業者による認可・認証保育所の誘致を積極的に進めてまいります。 区独自の開設準備経費と賃貸借保育所への家賃助成などにより、26年度は、認可保育園4園、定員345人、認証保育所2園、定員80人の開設等を予定しております。
また、保育ママ事業におきましても、在宅型、事業所型をあわせて新たに6ヶ所開設し、定員を48人拡大いたします。以上のような待機児童対策を総合的に展開し、26年度は受入れ枠を473人拡大いたします。

さらに、その後も、南品川四丁目の国家公務員宿舎跡を活用し、民間事業者による保育所の27年度開設をめざすなど、様々な手法で対策をとってまいります。一方で、保育士の人材確保も課題でありあます。そのため、保育従事者への賃金改善を実施する施設に対し、その経費の一部を補助し、経験豊かな職員の定着を図ってまいります。

また、平成27年4月には、子ども・子育て新制度が本格施行されることから、「品川区子ども・子育て支援事業計画」を策定するとともに、安定的な施設運営と認可外施設が認可施設に移行できるよう支援してまいります。

子育て、親育ち支援におきましては、これまで、親育ち支援事業として、親育ちワークショップや一日保育士体験事業など様々な事業を行ってまいりました。しかしながら、今なお、子育て中の親が幅広い世代と交流することが難しい状況であることから、初めて親となった方などを対象に、子育て中の先輩ママとの情報交換や交流などを行う「プレママ・プチママタウン」事業を実施いたします。
さらに、乳幼児を持つ父親を対象に、育児への参加啓発講座や父親同士の交流の場を設ける「父親のための親育ちワークショップ」事業を行い、家庭における子育て力の向上を図ってまいります。

また、杉野服飾大学短期大学部と連携・協力のもと、中学、高校生を対象に、エコの理念を活かしたデザイン傘、バッグなどの作成やそれらを活用したファッションショーなど、ワークショップを実施し、青少年のものづくりへの興味や関心を喚起するとともに、進路を考える機会なども提供してまいります。

幼児教育の充実として実施しておりますスクールステイ事業も、保育園4園、幼稚園3園、小学校5校を新たに加え、20校27園まで拡大し、さらなる充実を図ります。

さらに、発達障害など配慮を要する子どもへの早期対応として、区立保育園や幼稚園への専門医等巡回相談の回数を増やすなど、その支援を充実してまいります。次に、学校教育の推進であります。

学校と地域とのさらなる連携の充実が必要であるという声がある中、町会・自治会と連携をしながら、児童・生徒の地元での地域活動参加の支援を行ってまいります。一方で、家庭の教育力向上も重要であり、保護者にしつけなどのチェックシートをつけていただくなど、いわば「大人の市民科」としての事業を展開してまいります。

また、いじめ防止につきましては、25年度重点的に行ってきており、改訂した長期基本計画においても個別施策として位置付けをいたしました。26年度におきましても、いじめ等発見のための学級診断調査などの事業を拡大し、その対策をさらに強化してまいります。

次に、学校におけるICTの推進であります。教室へのプロジェクタの設置やタブレットPCの活用など、学校のICT環境を整備し、質の高い分かりやすい授業を行うことで、学習意欲の向上や情報社会への適応力を向上させてまいります。
また、特別支援学級においてもタブレットPCを配備し、支援を要する児童・生徒の個々の状況に応じた学習活動に活用できる環境を整備いたします。

学校改築につきましては、現在御殿山小学校の改築工事を行っており、平成27年2月の新校舎竣工をめざし進めてまいります。

一方、区では、昭和49年より毎月第一日曜日を品川区「家庭の日」と定め、明るい家庭づくりを推進してまいりました。26年度は制定40周年にあたり、「家庭の日」写真コンテストなど記念事業も実施することで、その主旨の啓発に努めてまいります。平和で人権が尊重される社会の構築も大切であります。

26年度は、「非核平和都市品川宣言」制定30周年であり、記念事業を実施することで、改めて宣言の主旨である核兵器廃絶と恒久平和確立の精神を広く区民に普及してまいります。また、この非核平和宣言を契機に友好都市提携をした、ニュージーランド国オークランド市へ交流団を派遣し、平和交流を推進いたします。また、人権尊重都市品川宣言の普及を図る中で、26年度は人権意識調査を実施するなど、人権啓発施策を一層推進してまいります。


(3)みんなで築く健康・福祉都市

第3に、「みんなで築く健康・福祉都市」についてであります。

高齢者や障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らすためには、地域社会や行政の支えが重要であり、各福祉施策を総合的に展開する必要があります。

はじめに、高齢期の住まいと安心を守るための取り組みであります。

将来人口の推計では、高齢者人口はさらに伸び続け、約20年後の平成47年には高齢化率26%以上という予測であり、高齢化への対応は今後も計画的に取り組まなければなりません。とりわけ入所・入居系施設の整備は重要であり、中でも、特別養護老人ホームは、在宅介護の重要なセーフティネットであることから、計画的に整備しているところであります。

学校跡地を活用した杜松小学校跡特別養護老人ホームは、定員29人で、26年12月開設予定であります。この施設は、小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者グループホームもあわせて整備いたします。また、西中延区営住宅の建替えに合わせ、併設の平塚橋会館を定員100人の特別養護老人ホームとし、多世代が交流できるシルバーセンターなどの複合施設として、平成28年度の開設に向け整備をしているところであります。さらに、上大崎の旧「みやこ荘」の跡地についても定員100人程度の特別養護老人ホームと、地域交流施設などの複合施設として、平成29年度の開設をめざします。

次に、現在改築を行っております御殿山小学校の西側敷地におきまして、再開発組合からの寄付を受けた土地なども活用し、長年の懸案でありました区内2か所目となる老人保健施設の開設に向け準備をしてまいります。

また、地域での高齢者を支えるサービス付高齢者住宅についても、現在民間医療法人が西五反田三丁目に整備中の住宅を支援してまいります。住宅の戸数は21戸、認知症高齢者グループホームや訪問看護ステーションなどの複合施設として、平成27年2月の開設予定であります。 次に、区立型の認知症高齢者グループホームについても、寄付を受けた土地や国有地の活用などにより、新たに2ヶ所整備いたします。
このほか、民間の認知症グループホームの整備助成を2ヶ所、小規模多機能型居宅介護施設助成を1ヶ所行い、各種施設の充実を図ってまいります。

次に、障害者福祉についてであります。

昭和55年以来の障害児療育施設であります品川児童学園ですが、施設の老朽化に加え、療育機能の拡充や障害者の高齢化、重度化への対応も急務であることから、今後求められる障害福祉サービスを総合的に提供できる施設となるよう、改築に向けた基本計画を策定してまいります。

また、療育に関する相談やそのニーズが増加していることから、戸越ひまわり保育園跡を利用し、荏原地区における品川児童学園の分室として、サテライト型発達療育相談室を開設いたします。

さらに、発達障害への取り組みとして、財団法人鉄道弘済会所有のアフターケアセンター跡を活用し、26年4月に品川区立発達障害者支援施設を開設いたします。この施設は、就労をはじめ思春期から成人期の支援の新たな拠点とするほか、知的障害者のグループホームも併設し、親亡き後も安心して地域で暮らし続けられる支援を行ってまいります。

次に、健康づくりについてであります。

まず、地域医療の課題への対応であります。病院と診療所の連携、救急医療や災害時の医療体制、新型インフルエンザ対応など課題は様々であり、いずれも区民生活に直結するものです。このようなことから、これらの課題解決に向けて地域医療連携会議を設置し、その検討や情報共有の場を作ってまいります。
また、新型インフルエンザなど新興感染症対策として、行動計画を改訂し、医療機関と連携した対策の強化を行い、健康危機管理体制の充実を図ります。

次に、乳幼児が感染すると慢性肝炎等に移行する危険が高いといわれるB型肝炎について、そのワクチン接種の一部費用を助成し、肝炎や肝臓がんの予防などにつなげてまいります。
さらに、介護予防や健康づくり事業などの充実を図りながら、健康寿命の延伸についても努力してまいります。

次に地域福祉への取り組みであります。

少子高齢化や核家族化が進む中、すべての区民が家族や地域とつながりを保ち安心して暮らすためには、地域福祉の推進が大切であり、従来からの事業をより効果的に展開できるよう検討を進めてまいります。

また、高齢者の地域での見守り活動は今後ますます重要であり、これまでの町会・自治会の活動支援について、6年目以降の助成も新たに行い、その活動を継続支援してまいります。さらに、国が低所得者や子育て世帯向けに「臨時福祉給付金」や「子育て世帯臨時特例給付金」の給付を決めたことから、区といたしましても着実な対応をしてまいります。


(4)次代につなぐ環境都市

第4に、「次代につなぐ環境都市」についてであります。
地域特性を活かし、自然との調和を図りながら、環境負荷を軽減した都市を作り、それを次代につないでいくことは、我々の責任と使命であります。

はじめに水辺空間とみどりへの取り組みであります。

水辺の環境改善の一環といたしまして、東京都と連携し昨年3月から、汚れた雨水を勝島運河に流さないようにする勝島運河雨水貯留施設建設工事を、平成28年度の整備完了に向け進めており、浸水対策ともあわせながら、運河周辺の良好な水辺環境を創出してまいります。

次に、しながわ区民公園は、段階的に再整備をしておりますが、東京オリンピック・パラリンピックの開催決定に伴うスポーツ需要の高まりも視野に入れ、クラブハウスの改築やランニングコースの拡幅、屋外プールの改修等も行ってまいります。
また、東品川公園は、子どもたちのアイデアを活かした第3号の公園として、老朽化した弓道場もあわせて、26年度より改修してまいります。
さらに、しながわ花海道に新たにLED公園灯を設置し、節電の啓発とともに、観光面のシンボルとしてまいります。

次に、環境対策であります。

東日本大震災を契機に、区民の環境意識や省エネルギーへの関心が高まってきております。その意識を今後も持続させていくために、新たに「エコライフ アイデアコンテスト」を実施し、優れた取り組みについては広く周知を行うことで、環境への意識をさらに高めてまいります。

また、商店街と連携した、節電啓発事業や国産間伐材を活用した事業も引き続き実施してまいります。さらに、都のディーゼル車規制に伴い、平成18年から低公害車への導入助成を都の上乗せとして行っていましたが、それらの車が今買換えの時期となってきていることから、新たな低公害車への導入支援も開始いたします。


(5)暮らしを守る安全・安心都市

第5に、「暮らしを守る安全・安心都市」についてであります。
魅力的で住みやすい市街地の整備や便利で安全な交通環境、犯罪に強いまちづくりなどは、安全で安心のまちづくりには欠かせないものであり、今後も、まちの活性化、災害に強いまちといった観点に立ち、地域の特性を十分に活かしながらまちづくりを進めてまいります。

はじめに、市街地再開発事業であります。

大崎駅周辺地区では、北品川五丁目第1地区において、産業支援交流施設や子育て支援施設などを配置しながら、平成27年5月竣工をめざして進めております。

目黒駅前地区は26年度より工事着工し、行政サービスコーナーなども配置もしながら、平成29年度竣工をめざします。
さらに、区のにぎわいを創出している大井町駅周辺地区や武蔵小山駅周辺地区などの商業地につきましても、まちのリニューアルをすることでさらなる活性化を図ってまいります。
また、平成24年より検討を進めております品川駅周辺のまちづくりについても、リニア中央新幹線のターミナル駅など、品川駅の交通結束機能の高まりに加え、国の特区指定なども視野に、引き続き検討を進めてまいります。
今年度から検討しております八潮地区の道路バリアフリー化についても、26年度より本格整備を進めてまいります。

一方で、住環境の整備を進めるため、現在増えてきている空き家等の実態調査を行い、空き家やごみ屋敷などへの対策に活用してまいります。

次に、交通環境の整備であります。

26年度は、JR駅へのホームドア設置に向けた支援について関係機関と調整してまいります。また、大森駅水神口自転車等駐車場の拡張工事を行い、放置自転車の対策のさらなる充実を図ってまいります。
26年度施政方針演説3

5.オリンピック・パラリンピックに向けて

昨年9月に、2020年オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定いたしました。かねてより、この東京への招致活動は、子どもたちに夢や希望を与える、いわば「子どもたちへの夢のバトンタッチ」であるということ、また、品川区をさらに安心して暮らせるまちにするためにスピード感を上げたいという思いから、積極的に取り組んでまいりました。

開催が決定したこれからは、これまでの思いに加え、今の子どもたちが2020年に選手はもとより、様々な形でこの世界的イベントを体感できるようにするとともに、世界の方々が品川区に来て「すばらしいまち」と言っていただけるような取り組みをしてまいります。

まず、国際化に向けた対応であります。

中でも、英語など国際的に使用される言語を身に付け、外国人とのコミュニケーション能力を高めることが大切であります。そのため、国際社会において活躍できる人材の育成を視野に、小学校では英語教育に特化した指導者の配置やイングリッシュキャンプを実施し、中学校ではグローバル人材養成塾を開設するなど、子どもたちの英語の能力を高めてまいります。

また、商店街では、今後外国人訪問客が見込まれることから、英会話講座などの開催や外国語表記の準備など、「英語少し通じます商店街」事業を展開いたします。 次に、スポーツ振興による気運の醸成であります。

オリンピックやパラリンピックを身近なものと感じてもらえるように、トップレベルのアスリートによる競技の観戦ツアーやブラインドサッカーフェスタなど、選手との触れ合いなどを行いながら、体感してもらえる事業を展開いたします。さらに、スポーツ協会と連携し、障害者水泳大会の開催などにより、その気運を醸成してまいります。

次に、施設のバリアフリーやインフラ整備も重要であります。

区の主催するスポーツイベントなどにおいて、車いすや白杖などの体験をしていただく機会を設け、やさしいまちづくりの考えを理解していただくようにいたします。 また、都がオリンピック会場付近の無電柱化を推進していることから、ホッケー会場として予定されている大井ふ頭中央海浜公園に至る周辺の無電柱化及びバリアフリー化を検討いたします。

以上が平成26年度の新規及び拡充する主な施策でありますが、これらを推進するための基本姿勢についてご説明申し上げます。

6.区政運営の基本姿勢

区政を取り巻く環境が今なお目まぐるしく変動する中、今後も不断の行財政改革が必要であり、事業のスクラップ・アンド・ビルドを進め、先駆的な施策展開をしてまいります。そして、見直しを行った長期基本計画に実効性を持たせ、実践していくことが重要であります。

そうした中、信頼される区政運営をする上で、26年度においても区民の方々とのタウンミーティングを実施し、様々な意見交換を行い区政に活かしてまいります。 また、品川区の魅力や情報を広く打ち出すことも大切であります。区の魅力を改めて掘り起し発信し、区のブランド力を高める取り組みとして、シティプロモーションを展開してまいります。

一方、行財政改革の視点におきましては、公共施設有効活用プランの考えのもと、定期借地制度などを活用し、税外収入も得ながら、区の行政需要を満たすなど、区有施設の多様な活用を進めてまいります。 さらに、昨年成立した社会保障・税番号制度、いわゆる番号制度につきましても、区民に有益な制度となるよう、しっかりと対応してまいります。

そして、最後に都区のあり方についてでありますが、地方自治の本旨に基づいた主体的な区政運営を行うために、本来あるべき都区関係を確立し、事務配分の見直しや、財政調整の面で23区の自主性、自立性を高めていく取り組みを今後も着実に進展させることが重要であります。
また、昨年6月に出された第30次地方制度調査会の答申においても、特別区へのより一層の権限拡充の方向が示されており、特に児童相談所につきましては、都から区へ移譲すべき事務として具体的に挙げられていることから、その実現に向けて協議を進めてまいります。


7.平成26年度の予算の概要

このようなことから、平成26年度予算は、重点課題であります防災対策の強化をはじめ、オリンピック・パラリンピック関連などの事業も盛り込み、改訂した長期基本計画の着実な実現をめざす予算といたしました。

編成にあたりましては、委託事業や情報機器リースのさらなる見直しに加え、業務執行体制の見直し等により職員定数を6名削減しながら、約1億3,000万円の経費削減を行いました。
そして、これまで培ってまいりました財政力も活用しながら、一般会計予算を1,462億3,700万円余、前年度比プラス9.8%とし、必要な施策を着実に実現しながら、将来も見据えた予算としたものであります。


8.おわりに

今後も効果的・効率的な区政運営に努め、健全財政を堅持しながら、区民が真に必要とする施策を迅速かつ的確に推進し、「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」をめざし、改めて不断の努力をしてまいる決意であります。

以上、平成26年度における施政方針をご説明申し上げました。議員ならびに区民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、発言を終わります。ありがとうございました。
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企画財政課
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