区長メッセージ 第28号 平成20年4月7日 在日米海軍司令官が謝罪のため、品川区役所に来訪しました

更新日:平成26年7月10日

濱野区長画像

 在日米海軍司令官が、謝罪のため
 品川区役所を来訪しました

 

  平成20年 4月 7日
品川区長

濱 野  健

  (はまの たけし)

 

 4月4日(金)午後1時、在日米海軍司令官のジェームズ・D・ケリー海軍少将と、第五空母打撃群司令官のリック・レン海軍少将ら一行7人が、品川区役所を来訪しました。現在、新聞・テレビなどマスコミでも取り上げられております、米国海軍兵士によるタクシードライバーの高橋正昭さん殺傷事件に対する謝罪のための訪問でした。
 外務省、神奈川県、横須賀市、高橋さんが所属しておられたタクシー会社、そして、高橋さんが品川区内にお住まいであったことから、品川区民の皆さんにも謝罪の気持ちを伝えたいとのことで訪問したいとの申し出があり、区としてそれを受け入れたものです。

 区民の皆さんを代表して、区長である私が、ケリー海軍少将から謝罪のメッセージを受けるとともに、このような迅速かつ誠意ある行動に敬意を表しながらも、慙愧(ざんき)に耐えない思いや、遺族や関係者への謝罪や補償への要請、再発防止に向けた軍の規律の徹底などを強く要望しました。

 その時のやり取りの内容は、次のとおりです。


○ケリー海軍少将が読み上げた文書の日本語訳(原文のまま)

東京都品川区役所
濱野健区長 様

拝啓
 2008年4月3日、米軍並びに日本の警察当局が緊密に調査した調査に基づき、
米海軍水兵が同年3月19日の高橋正昭さんが横須賀で殺害された事件の容疑者であることが明らかになりました。

 この残酷で恥ずべき事件、そしてこの事件が引き起こした苦しみや恐怖と悲しみに対し、米海軍を代表して心よりお詫び申し上げます。私たち米海軍の全員が、このような恐るべき犯罪に絶対的に圧倒され、強くこの犯罪を非難していることは間違いのないことです。

 悲しみへの深い共感と哀悼の意を高橋さんのご家族、ご友人、そしてご同僚の皆様へ捧げます。高橋さんは、プロフェッショナルであることに対する真摯な態度で業務に従事されていただけであり、襲いかかったこのような恐るべき運命に遭遇しなければならないいわれはまったくありません。

 わたくしは、このような凶悪犯罪お再発防止に向けて最大限の、そして継続的な努力をはらうことをここに固くお約束いたします。

敬具

在日米海軍司令官        
ジェームズ・D・ケリー海軍少将


○品川区長としてのコメント

 ケリー在日米海軍司令官におかれましては、わざわざ品川区役所まで足を運んでいただきましたことに、敬意を表したいと思います。
 と同時に、貴職の指揮下にある兵士の手によって、私ども品川区の区民である高橋正昭さんが惨殺されたことについては、まことに慙愧に耐えない思いであります。
 高橋さんは私と同じ年代、まだまだ頑張って生きていこうと、ひたむきに仕事に打ち込んでおられたことでしょう。遠い距離を運転して横須賀に到着し、料金を頂こうというそのときに刃物で刺された、身の凍るような驚きと無念さの中で死んでいかれたと思うと、言葉に尽くせない悲しい思いがいたします。ご遺族や関係者への謝罪や補償について十分な配慮と誠意を尽くしていただきたいと思います。

 しかも、この無念さは一人高橋さんだけのものではありません。と申しますのは、品川区は、東京の都心の玄関口として交通の重要なポイントであります。たくさんのタクシー会社や営業所があり、多くの運転手さんが働いております。そして、これらの運転手さんにとっては、品川駅から神奈川方面へお客様をお送りするのは、もっとも大切な仕事なのです。
 その仕事をしている最中に殺されたということは、品川区内の運転手さんにとっては大変なショックなのであります。

 繰り返しになりますが、ご遺族や関係者への謝罪や補償について十分な配慮と誠意を尽くしていただきたいと思います。そして、二度とこういうことが起きないよう、貴職の最大限の努力をお願いいたします。

品川区長 濱野 健


 
     

 このやり取りの後、ケリー海軍少将は、タクシー会社訪問の際、高橋さんが40年間も一生懸命に働き、若い運転手の指導的な役割を果たす優しい先輩であったことなどを聞き、さらに悲しみの気持ちが強くなったこと、品川区は東京の玄関で沢山の交通機関が集中していることへの理解を示し、今後、日本政府と迅速に協力して、賠償もできるよう努めると、誠意ある態度で、何度も固く約束をし、品川区役所を後にしました。