区長メッセージ 第16号 平成19年7月23日 一人ひとりが自信をもって生きていけるような道筋を

更新日:平成26年7月10日

  一人ひとりが自信をもって

   生きていけるような道筋を

  平成19年 7月23日
品川区長

濱 野  健

  (はまの たけし)

 

 区には、お子さんの成長に悩みを抱えた方から相談が寄せられます。
 特に近年、落ち着きがない、周囲とのコミュニケーションが取れないといった相談件数が増えています。
 一方、学校や保育園等では、集団生活の流れに乗れない、友達とうまくいかない、落ち着いて授業が受けられないというお子さんの支援の必要性が高まっていました。

 このような相談の多くは、高機能自閉症や、ADHD、LDといった軽度発達障害の場合が多いのですが、軽度発達障害のお子さんに対する支援は、法制度もなく、従来の施策では十分な対応がなされていませんでした。
 平成17年に「発達障害者支援法」が施行され、障害の定義づけと、早期の段階からの発達支援を国や地方公共団体の責務とすることが明記され、都道府県では、「発達障害者支援センター」が設置されるようになりました。

 こうした背景をふまえ、品川区は、より身近な地域で、軽度発達障害で、悩み、苦しみ、具体的な支援を必要とするお子さんや親御さんのニーズに応えるべく、障害者自立支援法に位置づけられた「児童デイサービス」という枠組みで、根拠あるサービスを提供することといたしました。行政がこのサービスを始めるのは、都内では初めてのことです。


開所式のようす(6月27日)


 サービスを開始する場所は、品川児童学園の2階です。
 ここの歴史は古く、昭和33年に都が設置、昭和55年に区に移管されてから25年以上にわたって、知的障害児の早期療育に取り組み、着実な発達を促し、成長を支える役割を担ってきました。園庭や教室には、いつも元気な子どもたちの声が響いています。


 今回開始する児童デイサービスは、軽度発達障害児を対象として行われるもので、早期に障害を発見し、就学前の早い段階から専門的な療育を行い、幼稚園や小学校などの社会生活に適応できるように支援することを目的としたものです。
 軽度発達障害は、知的障害とは違い、なかなか周囲に理解されにくいので、軽度発達障害の啓発にも力を注いでいきたいと考えています。


 開所式の後、室内が公開されましたが、手触りの優しい人形や、動くおもちゃなどがあり、とても明るい雰囲気です。
 子どもたちには、ゲームや遊び、課題などをとおした集団プログラムなどにより、ルールを守ることや周りのとの関わり方など学び、自分に自信が持てるような体験を積み重ねることで、社会性を身につけていくことでしょう。
 このような集団になじみにくいお子さんの集団参加の支援を基本に、一人ひとりが自信をもって生きていけるような道筋をつくっていければよいと考えています。そして、品川児童学園から、一人でも多くの子が、輝かしい未来へ巣立って欲しいと考えています。
 今後とも、障害福祉行政へのより一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。