区長メッセージ 第13号 平成19年6月13日 「東京富裕論」への反論

更新日:平成26年7月10日

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「東京富裕論」への反論

 「東京だけ豊か」
   との主張は 一方的です

  平成19年 6月 13日
品川区長

濱 野  健

  (はまの たけし)

 

 現在、「経済財政諮問会議」や「財政制度等審議会」など、国の検討機関において、地方法人関係税の見直しや「ふるさと納税」など、東京をはじめとする大都市部の税源を吸い上げる主張が繰り返されています。
 このことは、新聞の記事等でも取り上げられており、関心をお持ちの方も多いと思います。特別区の区長会としても、このことを重大な問題と受け止め、地方都市とは異なる大都市特有の事情について、国に理解を求めねばならないと強く感じています。
 国側の主張は、東京が富裕であるという一方的な見方に基づき、国の責任で解決すべき地方財源の確保の問題を、地方自治体同士の税収格差の問題にすり替えるものです。

真に見直すべきは国と地方の関係です

 品川区をはじめ東京23区は、人口や様々な都市機能が極度に集中する中で、福祉や防災対策をはじめとして膨大な行政需要を抱えており、限られた財源のもとで必死の改革努力を積み重ねながら行政サービスの充実に取り組んでいます。
 東京は、地方交付税を含めると、ひとり当たりの税収が全国22位に過ぎず、人口の集中する特別区は福祉や防災対策に費用がかかります。そもそも地方都市の財源不足は、地方分権の推進を目的に実施された三位一体改革の中で、地方交付税の財源が大幅に削減されたことに原因があります。

 こうしたことから、今後の税制改革において、東京固有の地方税収を地方間の財政調整の財源として用いたり、地方税の受益と負担の原則をゆがめ、東京の自治を奪うようなことは断じて容認できるものではありません。
そこで、この度、こうした東京23区の統一した意見を「東京富裕論への反論」として取りまとめましたので、区民の皆さまにお知らせします。なお、東京23区の区長会では、この反論をもとに国等の関係機関への申し入れを行っています。特別区長会がまとめた「東京富裕論」への反論は以下のとおりです。

 

特別区長会「東京富裕論」への反論(概要)

     
 

1.実情に合わない富裕論

経済財政諮問会議をはじめ、国の様々な検討機関の議論において、地方税の偏在を是正すべきとの意見が出されています。しかし、東京が富裕だとするのは、実情を見ない乱暴な議論です。地方税に地方交付税等を加えれば、東京の順位は22位です。

2.税源偏在は地方交付税等で調整されています
   ~地方自治体の財源保障は国の責任です~

地方交付税の財源の多くは、東京をはじめ大都市部から収入されたものです。地方交付税が交付されない特別区は、基金の活用等で自ら景気変動に対処しなければなりません。

3.特別区は膨大な行政需要を抱えています
   ~特別区の財源に余裕はありません~

特別区の区域には、極度の企業の集中や人口流入(昼間人口)等により、交通、都市基盤、福祉など膨大な行政需要があります。

4.特別区は行財政改革を率先して進めています
   ~特別区の職員数が必要以上に多いとする見方は一方的です~

特別区は、早くから職員数の削減など、徹底した行財政改革に取り組んできました。

5.より一層の地方分権改革こそが必要です

「東京富裕論」は、国の責任で解決すべき地方財源の確保の問題を地方自治体同士の税収格差の問題にすり替えるものです。
一日も早く国と地方の役割分担を見直し、地方交付税による財源保障も含め、国から地方へ実質的な権限と財源を移譲する地方分権改革を進めることこそ、今必要なことです。