区長メッセージ 第75号 平成28年2月17日 平成28年度施政方針演説

更新日:平成28年2月17日

1.はじめに    品川区長  濱野 健

平成28年第1回区議会定例会の開会にあたり、区政運営の基本方針及び施策について、所信と決意を申し述べ、議員各位ならびに区民の皆さまのご理解とご協力をお願い申し上げます。

「わ!しながわ」
品川区は昨年よりシティプロモーション事業をスタートさせ、このキャッチコピーをはじめロゴマークなどを決め、区の魅力を全国に発信し始めました。特に音感と広がりを持つこの言葉は、品川区への興味や好奇心を大きく広がらせ、この後に続く言葉を区民の方々がそれぞれの自由な発想で思い描き、品川区の魅力をすべての方々から発信していただきたいという思いであります。

この「わ!しながわ」を合言葉に、区民の方々が区に一層の誇りと愛着を持ち、住み続けたいと感じ、さらに、区外の方々が品川区への興味を抱き、訪れ、住んでみたいと思えるまちを、皆さまとともに作り上げてまいります。


28年度施政方針演説1

2.平成28年度  区政運営の基本方針

~社会経済環境の変化を先取りした実効性のある区政運営~
さて、品川区を取り巻く社会経済環境の変化は、ますます早く、大きく、そして複雑化しており、それらへの対応は時機を捉え、迅速に進めなければなりません。

国が掲げる「1億総活躍社会」に向けての施策は、地域経済、子育て、福祉の分野などにおいて、区への影響も大きなものがあります。また、東京都も4年後のオリンピック・パラリンピックの開催を見据え、事業を本格化させるなど、区としてもこれらの施策の効果的な活用や連携が必要であります。

さらに、東日本大震災から5年が経過しようとしています。区からも被災地に職員を派遣し、復興に向けた支援を続けておりますが、この震災からの教訓を決して風化させることなく、区の防災対策に着実に生かしていかなければなりません。
また、昨年実施いたしました最新の人口推計では、平成39年までの人口増を予測し、中でも年少人口は平成38年まで伸び続けるもので、そこから見込まれる行政需要への対応を急ぐ必要があります。

一方、景況に目を向けますと、日本の経済は回復しつつも、世界経済の不透明感が増し予断を許さない状況であり、特に景気の影響を大きく受ける中小企業においては、先行きは楽観できるものではありません。さらに、平成29年4月からの消費税税率改定の影響をいち早く見極め、区としての時機を捉えた的確な対応が求められます。

こうした課題に対応するため、区民と区との協働による区政運営がますます重要であり、今定例会に23区としては初となる「品川区町会および自治会の活動活性化の推進に関する条例」をご提案申し上げ、地域コミュニティの核として重要な役割を果たしながらも、法的な根拠が明確でない町会・自治会の位置づけを品川区として明らかにするとともに、区の責務や区民、事業者の役割などもお示しした上で、活動支援の拡充と地域課題の解決に向けた取り組みを一層充実させてまいります。

そして、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、国際化への対応や観光、文化・スポーツの振興、すべての人にやさしいまちづくりなどを積極的に推し進め、その先の未来に向け、子どもたちへの夢のバトンタッチをいたします。

平成28年度は社会経済環境の変化を先取りし、実効性を持った施策を行いながら、区民と区との協働をより一層進め、未来に向けたチャレンジの施策に、引き続き積極果敢に取り組んでまいります。

3.平成28年度予算 4つの重点課題

平成28年度は、チャレンジの2年目として重点項目を大きく4点挙げ、積極かつスピーディな施策展開を行い、大きな飛躍の年としてまいります。

(1)オリンピック・パラリンピックを契機とした発展をめざして

2020年のオリンピック・パラリンピックの開催を契機とした、新たな施策とまちづくりであります。

品川区は、3つの競技種目の開催地として、スポーツの振興はもとより、多くの人々が来訪することが想定され、おもてなしを始めとする観光施策の推進や国際化への対応など、まちを発展させる好機であり、今、大きな一歩を踏み出す時であります。
そこで、この施策を具体化するための新たな事業などについて申し上げます。

まず、オリンピック・パラリンピック開催に向けた機運醸成とスポーツ振興であります。

区内で開催されるホッケー、ビーチバレーボール、ブラインドサッカーの3競技について、それぞれのキャラクターを公募、認定し、競技団体とも連携しながら、そのPR強化を図ってまいります。また、ブラインドサッカーのすばらしさや醍醐味をより区民が実感できるよう、天王洲公園を改修するなど、品川区での公式戦開催を誘致してまいります。
その他の競技種目におきましても、大会開催前の事前キャンプの誘致に努め、他国との交流を深める契機としてまいります。
また、子どもたちがスポーツなどの全国大会等へ出場する際に経費補助を行うことで、その活動意欲をますます高め、オリンピアンやパラリンピアンの輩出なども視野に、より高いレベルでの活躍を支援してまいります。

さらに、学校教育におきましても、品川区独自のオリンピック・パラリンピック教育プランを作成いたします。競技体験や競技選手との交流、国際理解の推進など独自教材などを活用して、オリンピック・パラリンピックの歴史や意義、その果たす役割などの理解に向け、この2月から他自治体に先駆け実施してまいります。

ハード整備におきましては、大井ふ頭中央海浜公園付近の無電柱化を引き続き進めるとともに、スポーツ施設の充実のため、しながわ区民公園の勝島の海の再整備を検討いたします。

次に、観光についてであります。

現在策定を行っている新たな「都市型観光プラン」に基づき、その推進を図るため、「(仮称)品川区観光振興協議会」を発足させ、関係団体との連携により観光振興の拡充に努めてまいります。
具体的な事業といたしまして、交通の要衝である品川区の特徴を生かし、鉄道や舟運事業者との連携イベントをはじめ、東京モノレール車内での多言語による全面広告の実施、さらに羽田空港国際線ターミナルでの新たな情報発信など、その充実を図ってまいります。

また、新たな水辺の交通拠点として進めている五反田リバーステーションの整備と合わせ、舟運事業についても国や都と連携し、特区の活用も視野に入れながら、その実現に向け推し進め、海辺や運河、河川を持つ品川区のポテンシャルを高めるとともに、区民や来訪者に区の水辺の魅力を発信してまいります。

さらに、外国人来訪者のための環境整備として、フリーWi-Fiの拡充に向け、交通拠点への整備や既存の民間アクセスポイントとも連携し「しながわWi-Fiスポット」事業を進めてまいります。また、外国人旅行者の宿泊への対応として、いわゆる民泊についても品川区版の制度整備を行ってまいります。
そして、シティプロモーション事業では、キャッチコピーの音感や響きを最大限活用した音と映像による魅力発信を新たに全国展開してまいります。

国際化への対応でありますが、引き続き英語少し通じますプロジェクトを進め、まち全体でのおもてなしを推進するほか、品川区の元気な商店街の魅力を海外の方にも知っていただくよう、外国語版の商店街情報紙を作成しPRしてまいります。
また、区内大使館、領事館と連携し、学校におけるグローバル給食事業を広げ、さらに、新たなイベントの実施や地域のお祭りへの参加を促進するなど、各国文化のPRに努めてまいります。

こうした事業をより確実に実現できるように、文化・スポーツに関する基金を新たに設け、重点的に施策展開をしてまいります。

(2)子どもを産み育てるなら品川区・教育都市品川区

子育て・教育についてであります。

品川区は、これまでも延長夜間保育や病後児保育、すまいるスクール、小中一貫教育の推進など、子育て、教育の分野で全国に先駆けた事業展開をしてまいりました。その結果、品川区の小中一貫校が全国モデルとなり、国の義務教育学校への制度化につながるなど、区は先駆的な役割を果たしてまいりました。

一方で、国が新たに希望出生率1.8をめざす背景には、人口の東京一極集中と東京の出生率の低さが原因とも言われ、品川区としてもこの出生率向上が今後の重要なポイントと捉えております。様々な分野の方々からのご意見をいただき現在策定しております「品川区総合戦略」におきましても、子育て・教育の施策を第一の戦略として掲げ、「子どもを産み育てるなら品川区」、「教育都市品川区」という評価をさらに高められるよう邁進してまいります。

はじめに、喫緊の課題である待機児童への対応であります。これまでも総合的な対策に取り組み、平成22年度から27年度までの6年間で3,624人の受入れ枠拡大を行い、積極的に対応をしてまいりました。しかし、待機児童解消に向けた施策は、人口増を見込む現況から、今後さらなる拡充が必要であり、「品川区子ども・子育て計画」での需要量の精査を行い、平成28年度も様々な方策を取りながら、全力をあげて取り組んでまいります。
具体的には、4月に、区では最大規模となる300人定員の区立ひろまち保育園を開設するほか、私立保育園では、区独自の新規開設支援や運営費補助などを引き続き行うことにより、新規開設6園と定員拡大で441人、また小規模保育事業では年度内に5ヶ所の開設により、46人の拡大を予定しております。加えて、認証保育所においても2園を開設し、定員を67人拡大いたします。
これらにより、平成28年度は受入れ枠を854人拡大いたします。

さらに、平成29年度に向けて、国家戦略特区の規制緩和を活用した公園内での保育施設の設置や区有地における保育施設整備も具体化に向けて進めるなど、今後も様々な手法で取り組んでまいります。

次に、平成27年度より一部先行実施いたしました「しながわネウボラネットワーク」でありますが、これを本格スタートさせ、妊娠・出産・育児の切れ目のない支援の仕組みを構築してまいります。

具体的には、妊産婦や子育てのためのネウボラ相談員を配置し、気軽に相談できる場を作り出すとともに、産後の家事育児支援ヘルパー利用への助成やオアシスルームの増設などを行い、それぞれの機能をつなぎながら、品川区を一層安心して子どもを産み育てられるまちにしてまいります。
また、すまいるスクールの運営時間の拡大を図り、引き続き学校との連携協力のもと、児童の健全な放課後活動と安全確保に努めてまいります。

次に、学校教育の推進であります。
現在策定中の「品川区教育大綱」において、品川区の教育の特徴である、小中一貫教育や保幼小等の連携という時間軸でのつながりと学校、家庭、地域が連携を図る面的なつながりによって、子どもたちの生きる力、生き抜く力を育てることが、品川区の教育の本質であるとしております。
そうした考えのもと、学校と地域とのつながりは、今後さらに重要なものとなります。現在、浜川中学校、浜川小学校、鮫浜小学校で進めている、品川版コミュニティスクールのモデル事業を、平成30年度までに全校展開し、地域全体で学校教育を支援する体制を作り、地域とのつながりを強めてまいります。

次に学校改築についてであります。
建物の老朽度はもとより、児童・生徒数の変化や擁壁など周辺環境の整備なども考慮した上で計画的に行ってまいります。平成28年度は、芳水小学校の改築と城南小学校の実施設計に加え、後地小学校の基本設計にも着手し、良好な教育環境の整備を着実に進めてまいります。

(3)高齢期をいつまでも住み慣れた地域で安心して暮らすために

高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための施策であります。

新たな人口推計においても、10年後の平成38年の高齢化率は21.8%、20年後には25.6%を見込むなど、高齢化はますます進展することから、その対応について先を見据えて進めることが改めて求められます。さらに、こうした課題に対応するため、地域包括ケアシステムの推進など、地域と一体となった施策展開がこれまで以上に重要であります。

このような状況において、ひとり暮らし高齢者等の生活支援として、身近な相談場所である「支え愛・ほっとステーション」を、新たに4つの地域センターに設置し、平成30年度までに全地域で展開することで、生活基盤の支援を拡充してまいります。
また、地域での支え合いの体制づくりも重要であります。4月より既存のふれあいサポート活動や支え愛・ほっとステーションを活用した、(仮称)支え愛活動推進委員会を介護保険法による協議体として位置付け、高齢者の生活支援体制を構築することで、地域包括ケアシステムを推進してまいります。

一方、住み慣れたまちでいつまでも住み続けるために、在宅介護のセーフティネットとして、入所・入居系施設の充実も必要であります。
特別養護老人ホームについては、現在も計画的に整備しているところであり、5月には平塚橋特別養護老人ホームを定員100人で開設するほか、上大崎三丁目で整備を進めている特別養護老人ホームは、定員を102人とし、地域交流施設なども併設しながら、平成29年度の開設をめざします。
また、区内2カ所目となる介護老人保健施設の整備につきましては、御殿山小学校の西側敷地を活用し、民間事業者の提案により、平成30年度の開設に向け準備を進めているところであります。

次に、認知症対策についてでありますが、今後のさらなる高齢化の進展に伴い、その対策は急務であります。区では、認知症対策プロジェクトとして、まちぐるみで対応する「くるみぷらん」を立ち上げ、事業展開を始めました。
平成28年度は、認知症の容態に応じた適切なサービスを提供する品川区版認知症ケアパスを作成するほか、地域での徘徊高齢者早期発見ネットワークを構築し、安心して生活できる環境の整備を進めてまいります。
また、認知症高齢者の住まいの確保と生活の支援に向け整備している認知症高齢者グループホームにつきましても、国より購入した東五反田四丁目の土地を活用し、平成29年度の開設をめざします。
この他、民間の認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護施設等の整備助成を行い、各種施設の充実を図ってまいります。

こうした施策を進める上で、社会問題ともなっている介護人材の不足は深刻な課題であります。区は、これまでも品川介護福祉専門学校の活用や初任者研修助成などを行ってきておりますが、さらなる支援策として、事業者に対し、人材確保のための住居の確保やそれに伴う引越代などの経費助成を行うなど、緊急介護人材確保支援を実施いたします。

(4)防災対策の強化 災害に強いまちづくり

防災対策であります。

区では、東日本大震災以降、特に重点課題としてその強化に努めてまいりましたが、震災から5年が経つ今、その教訓を風化させることなく、しっかりと受け止め、引き続き災害に強い安全なまちづくりに取り組んでまいります。

はじめに、JTアパート跡地を購入し拡張、整備しておりますしながわ中央公園は、避難所や仮設住宅用地としての機能だけでなく、区内では数少ないヘリポート機能を有し、有事の際の輸送拠点として大変重要な役割を果たすもので、12月の完成に向け整備を進めてまいります。

次に、区としても特に力を入れております木密地域不燃化10年プロジェクト事業でありますが、23区内では最多となる9地区を事業対象とし、木造住宅密集地域の改善を推し進めているところであります。
平成28年度は、老朽住宅除却促進のため、仮住まいへの引越経費や家賃助成、建替え時の不燃化にかかる費用助成など、期間を限定した新たな対策を始めるとともに、URとの連携強化により、迅速な用地の取得や活用を図ることで、事業の加速化を図ってまいります。
また、発災時の火災の約6割が電気に起因するものと言われており、復電時の火災を抑えるため、10年プロジェクトの地域を対象に、感震ブレーカーの設置補助をしてまいります。

3月に体験型施設としてリニューアルいたしますしながわ防災体験館は、スタンドパイプ等による消火や応急救護など、実践的な体験ができるほか、施設を活用したしながわ防災学校を開校し、防災区民組織や事業所、区民の方々に対し、防災に関する知識や技術の習得、向上に努めてまいります。

次に、津波や浸水等への対策であります。
津波への対応につきましては、引き続き、地域における勉強会や自主避難マップ作成支援、津波避難施設の確保に向けた民間施設との協定締結を進めてまいります。
また、都市型水害への対策として、東京都が50ミリメートル拡充対策地区と位置付けている戸越、西品川地区において、都との連携により新たに戸越拡充幹線の整備を行い、浸水リスクのさらなる軽減につなげてまいります。

以上が、平成28年度、4つの重点項目の主な事業であり、こうした取り組みを重点的に推し進め、社会経済環境の変化を先取りし、未来に向けた対応をしてまいります。

28年度施政方針演説2

4.長期基本計画の着実な実現

改訂した長期基本計画で掲げる施策は、かねてより着実に進めているものであり、その実現に向けて平成28年度の新たな事業等について申し上げます。

(1)だれもが輝くにぎわい都市

はじめに、「だれもが輝くにぎわい都市」であります。

条例提案を予定しております、町会・自治会への活動支援でありますが、これまでの各種支援を再構築し、町会・自治会がより主体的に活動しやすく、活性化するよう支援の充実を図ってまいります。
具体的には、加入促進活動に対する助成や新規自主事業への応援助成など、自主的活動への支援の創設をはじめ、会館修繕等における助成の要件緩和、さらに先駆的活動の事例紹介といった組織運営へのサポートなど、その支援を拡充してまいります。

次に、産業振興についてであります。
これまでも、地域経済活性化に大きな役割を果たしてきたプレミアム付区内共通商品券は、発行総額が50億円を超え、消費意欲の喚起に大きな成果をあげており、平成28年度もその効果を検証しながら引き続き実施してまいります。
また、区内中小企業の多くが、経営者の高齢化による後継者問題に直面していることから、その事業承継について専門家の派遣やセミナーなどを実施し、経営者の世代交代や雇用の維持拡大に努めてまいります。

(2)未来を創る子育て・教育都市

次に、「未来を創る子育て・教育都市」についてであります。

はじめに、保育園や幼稚園において、日常活動に配慮を要する子どもが年々増加していることを踏まえ、心理士による巡回相談を拡大し、特別支援保育の充実を図ってまいります。
また、ひとり親家庭への支援として、職業訓練等にかかる給付金の支給上限年数や対象要件を拡大し、親の経済的自立を促すとともに、子どもに対しても学習支援ボランティア事業の実施回数を増やすなど、学習に取り組める環境を整えてまいります。

いじめ防止についてでありますが、これまでも様々な取り組みを行いながら、いじめ根絶に向け対策を取ってまいりました。今定例会に「品川区いじめ防止対策推進条例」をご提案申し上げ、改めていじめ防止に対する意識の高揚と未然防止、早期発見、解決に向け、強く取り組んでいく決意であります。

全国的に増加傾向にある不登校の児童、生徒への対応であります。昨年4月に開設いたしました教育総合支援センターにおきまして、学校での集団生活に馴染めない中学生を対象に、基礎的な学習や悩み、不安の相談を受けるなど個別の支援を行う、(仮称)マイスクール五反田を開設し、既存のマイスクール八潮とも連携しながら、不登校の未然防止、解消に努めてまいります。
また、児童・生徒の健康管理において、現在の学校定期健診では脊柱側わん症の診断を漏れなく行うことが困難であることから、医師会からの要望も踏まえ、モアレ検査などを含めた効果的な検査を導入いたします。

次に、平和で人権が尊重される社会の構築も重要であります。
平和事業におきましては、平成27年度より開始いたしました「しながわ平和の花壇」事業を区立中学校などにも広げ、核兵器廃絶と恒久平和確立の精神を幅広く普及してまいります。
また、人権啓発事業におきましては、人権標語、ポスター展について、荏原文化センターのほか、きゅりあんでも実施するなど、人権尊重都市品川宣言の普及を広く進めてまいります。

(3)みんなで築く健康・福祉都市

次に、「みんなで築く健康・福祉都市」であります。

はじめに、シルバーセンターの改築に合わせ、高齢者多世代交流支援施設として整備しております「ゆうゆうプラザ」を大崎と平塚橋において、それぞれ5月に開設いたします。これにより、高齢者のさらなるいきがいづくりや健康維持、増進はもとより、妊産婦や子育て家庭、思春期の若者などへの多岐に渡る応援プログラムを実施しながら、世代間の交流も推進する、新たなコンセプトに沿った施設にしてまいります。

障害者福祉についてでありますが、4月より障害者差別解消法が施行されることに伴い、区もその責任と役割の強化が求められます。合理的配慮の提供に向け職員一丸となって推進するとともに、区民への障害者に対する一層の意識啓発を行ってまいります。
品川児童学園を改築し整備を進めている品川区立障害児者総合支援施設は、障害者のライフステージを通して総合的、継続的な支援を行う地域生活支援拠点として、平成31年の開設をめざします。

保健分野におきましては、感染力が非常に強く多くの乳幼児が感染し、急性胃腸炎の原因となるロタウイルスへの対応として、その予防接種を他区に先駆け費用助成を実施することとし、感染する乳幼児数の減少と子育て家庭の経済的負担の軽減を行いながら、子育てへの安心につなげてまいります。

(4)次代につなぐ環境都市

次に、「次代につなぐ環境都市」であります。

環境対策のうち、省電力、省エネルギーの対策として有用であるLEDについて、街路灯などに先行導入してまいりましたが、その費用対効果などを踏まえ、区内全施設のLED化を計画的に進めることとし、平成28年度は区庁舎、学校などから進めてまいります。

(5)暮らしを守る安全・安心都市

次に、「暮らしを守る安全・安心都市」であります。

市街地再開発事業でありますが、まちをリニューアルすることは、安全で安心なまちを作るだけでなく、新たなまちの活性化を生むものであり、地域の機運に応じながら進めているものであります。
大崎駅周辺地区では、西品川一丁目地区におきまして、1月に本格工事を着手したところであり、広大な土地の有効活用により、地域での憩いの場や災害時には防災拠点ともなる多目的なオープンスペースなども生み出しながら、大崎エリアの新たな顔として平成30年の完成をめざします。
目黒駅前地区では、行政サービスコーナーや保育施設、在宅介護支援センターなど公共施設の配置も行いながら、平成29年の竣工をめざしております。
また、武蔵小山駅周辺地区では、パルム駅前地区において、3月に着工し、平成31年度の竣工をめざすほか、駅前通り地区においても、平成29年度中の着工をめざし検討が進められております。

次に、今後ますます交通拠点として基盤整備が進む品川駅周辺におきまして、京浜急行線連続立体交差化に向け、東京都がその検討や調査を行っているところであります。区といたしましてもこの事業実施に向け基礎調査を行うなど、踏切除去や交通渋滞の解消といった地域の課題解決に加え、まちのにぎわいなどにつなげられるよう、都と協力しながら進めてまいります。
また、順次進めております鉄道駅可動式ホーム柵整備につきましては、JR京浜東北線では初めてとなる大井町駅に加え、東急大井町線中延駅についても設置助成をしてまいります。

次に、区民生活の安全のために、地域団体が自主的な活動として都と区の助成を受け、防犯カメラを設置していますが、その維持管理についても新たに区がその経費の一部を助成し、安定的なまちの安全と安心につなげてまいります。


以上が、平成28年度の主な新規事業等でありますが、これらを推進するための基本姿勢について申し上げます。

28年度施政方針演説3

5.区政運営の基本姿勢

区がこうした施策を着実かつ継続的に進めるためには、安定した財政運営が必須であります。品川区は、これまでも健全財政を維持してまいりましたが、チャレンジする施策などを意欲的に進めていくために、不要不急の事業は常に見直し、スクラップ・アンド・ビルドの考えを基本とした不断の行財政改革を進めるものであります。

そうした中で、大きな課題の一つとして、区有施設の多くが今後更新期を迎えることによる、大きな財政負担が想定されます。そのため、公共施設等総合管理計画を策定し、財政負担の軽減や平準化と公共施設配置の最適化を実現してまいります。

また、現在進めておりますマイナンバーカードの交付事務でありますが、引き続き確実な交付に努めてまいります。このカードの活用による新たな行政サービスとして、コンビニでの証明書発行を9月より開始し利便性の向上を図るとともに、区としての独自活用についても研究を進め、区民サービスの向上に資するものとしてまいります。

さらに、区政運営におきまして、その信頼性の確保は重要な要素であります。
昨今のICT技術の進歩は目覚ましいものがありますが、それと同時にウイルス感染や情報の漏えいなども、その危険度が増してきております。そのため、情報セキュリティにつきましては、ウイルス検知時にネットワークを自動遮断する機能など先進の技術も取り入れ、サイバー攻撃などへの対策強化を進め、区民や区の情報を守ってまいります。

他方、国の政策に目を向けますと、消費税の税率改定などを見据えた高齢者への臨時給付金の継続や地方創生の施策を大きく打ち出すなど、その動向は今後さらに注視する必要があります。特に法人住民税の国税化による影響は非常に大きく、23区の減少額は700億円に達すると見込まれております。

こうした東京への人口一極集中の是正を背景とした政策が進む中、都市と地方は今後もそれぞれの持ち味を共に生かし、連携することが地方創生につながっていくものと考えており、23区で共同展開している特別区全国連携プロジェクトに、引き続き積極的に取り組んでまいります。

6.平成28年度予算の概要

このようなことから、平成28年度予算は、オリンピック・パラリンピックを契機とした区の活性化にかかる施策をはじめとする4つの重点項目を挙げ、未来志向のチャレンジする予算といたしました。
編成にあたりましては、業務執行体制を中心に、直営事業の委託化など経常的な事業においても深く精査し、職員の力を発揮できるよう見直しを行ったものであります。
そして、これまで培ってまいりました財政力も一層活用しながら、一般会計予算を前年度比プラス11.2%となる1,678億9,900万円とし、必要な施策を着実に実現しながら、様々な課題に積極的にチャレンジする予算としたものであります。


7.おわりに

今後も効果的・効率的な区政運営に努め、健全財政を堅持しながら、区民が真に必要とする施策を迅速かつ的確に推進し、「わ!しながわ」を合言葉に「輝く笑顔 住み続けたいまち しながわ」に向け、改めて不断の努力をしてまいる決意であります。

以上、平成28年度における施政方針を申し述べました。議員ならびに区民の皆さまのご理解とご協力を重ねてお願い申し上げ、発言を終わります。ありがとうございました。

お問い合わせ

企画財政課
  電話:03-5742-6607