品川区の一貫教育の考え方

更新日:2017年12月27日

 品川区の一貫教育には大前提として教育改革「プラン21」の考え方が反映しています。これは、「変わらなければという認識はあっても変われないでいる」学校の現状を変えていくために、品川区が平成12年度より取り組んできた教育改革です。

 平成10年度から保護者、地域に学校の教育活動の全てをありのままに見ていただく「学校公開」を実施し、平成12年度からは小学校で、平成13年度からは中学校で「学校選択制」を導入しました。
さらに、「学校選択制」とセットで「個別学習」や「習熟度別学習」、「小学校の教科担任制」、「中学校の公開授業」(地域や保護者が中学生と一緒に参加できる授業)、「小中連携教育」、「小学校での英語学習」など各学校での特色づくりを進めてきました。

 続いて平成14年度には「外部評価者制度」と、後の「学力定着度調査」の基となる「学力調査」を導入し、確かな学力の定着、社会性や人間性の育成、保護者や地域とのより効果的な連携の仕方などについて学校としての説明責任・結果責任を果たしていくことになりました。

 これらの取組みを「手段」として、これまで変われないでいた学校の体質の転換、教員の意識改革を図り、学校経営の在り方そのものを見直してきたのです。この延長線上に平成18年度より始まった小中一貫教育はあります。

 当初、品川区では小中一貫校を建設し、そこでの小中一貫教育の先行実施を考えていました。しかし、研究・検討を進めていく過程でその意義と効果を確信し、また公表の過程での保護者や地域、議会からの要望もあり、全ての区立小・中学校で一斉に実施することとしました。

義務教育9年間という視点での見直し

 現行の制度では、義務教育9年間といいながらも、小・中学校間に存在する学力観や指導観、広い意味での教育観などの違いが子どもたちの学習上の負担になるとともに、人間形成上の連続性を阻害している現状があります。心理的にも身体的にも不安定であるといわれる小学校から中学校へ上がる時期の子どもたちが、小学校から中学校への接続の場面で教育内容や教育方法、あるいは学校全体としての文化や風土といったものの違いに対して戸惑い、心理的に大きな負担を感じています。

 一方、教員はというと、小学校の教員の多くは中学校で見られる「知識重視の画一的な学習」「懲罰的・威圧的な生活指導」に対して不信感をもち、中学校の教員の多くは小学校に対して「賞賛ばかりで、基礎的・基本的な学力の確実な定着をおろそかにする指導」「個性重視で基本的学習や生活習慣の定着が徹底しない指導」との不信感をもっています。

 この相互の不信感がややもすると相互への責任転嫁へと繋がり、義務教育9年を通して子どもたちに対して果たすべき責任が果たされないという結果を招いているといえます。

 もちろん、これまでも「小・中学校の連携」の必要性は認識されており、情報交換をしてきましたが、形式的な言葉が先行し具体的な改善がなされないまま経過してきてしまったというのが現状です。

 こうした小・中学校の文化の違いを埋めるため、本区では平成12年度より小中連携教育推進校をつくり、双方の教師が特定の分野で小・中学校の連続した学びを研究・実践したり、小学校卒業前の2月に学力定着度調査を実施して小学校の指導のあり方を見直したりするなどの努力をしてきました。しかしながら、こうした取組みは、それぞれの分野で一定の効果を挙げはしたものの、小・中学校間に存在する根本的な課題を克服するまでには至りませんでした。

 そこで、品川区では、公立小・中学校が従来からもつ欠点や課題を克服し、互いのよさを生かすための1つの仕組みとして、9年間を通して系統的な教育活動を実現する小中一貫教育を実施することにしました。

4-3-2のまとまりで教育課程を編成

 6-3制の義務教育制度が施行された当時に比べ、子どもたちの身体的あるいは知的発達の状況や取り巻く社会状況は大きく変化しています。身長や体重の伸び、初経などが2年程度も早まり、テレビや情報機器の登場、浸透により子どもたちの周囲には情報が氾濫し、心理的発達に大きな影響を与えています。

 そこで、品川区の考える小中一貫教育では、9年間の教育課程に一貫性をもたせながらも、心理的・身体的発達、あるいは成長にかかわる変化など、最近の子どもの現状に応じて1~4年生と5~9年生の2つのまとまりで編成しています。

 1~4年で基礎・基本の定着を図り、5~9年生の前半にあたる5~7年生は基礎・基本の徹底に重点をおいた指導を行います。さらに、最後の8・9年生は教科、内容の選択の幅を増やし、生徒の個性・能力を十分に伸ばす指導を行います。特に、中間の5~7年の3年間は教科担任制を取り入れたり、小・中学校の教員が一体となって指導したりするなどの体制をつくり、小学校と中学校のスムーズな接続を図りたいと考えました。

 カリキュラムの内容についても、改めて9年間というスパンで見直しました。各教科について小・中学校の教員の代表を中心にそれぞれの学習上の課題を出し合い、それを解決するためのカリキュラムの構成や内容の工夫について研究・検討を重ねてきました。

 こうした観点に基づく研究を集大成し、小中一貫教育を実施するための基準としてまとめたものが『品川区小中一貫教育要領』です。国の学習指導要領をベースにしつつ、品川区における新しい教育の考え方を示したものであり、地方基準ともいうべきものです。「自分にあった学び方で学力を伸ばす」ことと、「自らの生き方を主体的に切り拓(ひら)くために必要な市民としての教養を身に付けることを柱に、9年間という長くゆとりのある教育課程を「子どもの状況に学習指導要領を合わせる」といった考え方で柔軟に編成し直したものです。平成22年には、平成20年度に告示された学習指導要領の改訂を踏まえ、小中一貫教育要領も改訂しました。

小中一貫要領

保幼小の連携

 品川区では、小中一貫教育をさらに進め、現在、保育園・幼稚園を視野に入れた一貫教育を進めています。保育園・幼稚園で行われている幼児期の教育と小学校教育は、その根底にある指導の理念や方法などが異なります。しかし、子どもは、小学校入学の4月を境に突然変わるわけではありません。保育者や教員が子どもの発達や指導内容・方法などをきちんと理解し、保育園・幼稚園と小学校との接続を滑らかにするために、保幼小の連携を図る必要があります。

 そこで、品川区では、5歳10ヶ月から小学校1年生の1学期頃までを「ジョイント期」とし、このジョイント期における保育・教育活動について具体的な指導の重点やポイントをまとめた「保幼小ジョイント期カリキュラム『しっかり学ぶ しながわっこ』」を平成22年に作成しました。

 また、平成25年4月開校の小中一貫校「豊葉の杜学園」は、幼保一体型施設を併設しており、0歳から15歳までの子どもたちを一貫した教育で育むことを可能としています。

ジョイント期カリキュラム
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