AI検索システムで戸籍事務を支援 実証実験結果を公開

更新日:令和3年5月26日

品川区は、戸籍事務における業務効率化・区民対応の時間短縮と正確性の向上を目指し、富士通Japan(株)と共同で実施した“電子書籍AI検索システムを活用した実証実験”の結果を、令和3年5月26日(水)に区ホームページに公開した。

 この実証実験は、専門書籍300冊以上の文献データを瞬時に検索できる電子書籍AI検索システムを導入し、令和2年11月から令和3年3月末にかけて実施。
戸籍事務は関係法令が多く、生活様式の多様化に伴って複雑な事例も増加傾向にあり、自治体業務の中でも極めて専門性が高い分野である一方、自治体職員は、一定周期での人事異動が行われるため、担当職員が戸籍事務の知識を効率よく習得することが課題となっていた。品川区では長期基本計画でAIなど先端技術を活用した業務改善を推進しており、今回の実証実験でこの課題解決を図った。

 実証実験では、戸籍関連書籍で業界最大手の出版社である日本加除出版(株)の専門書籍を中心に、過去20年分300冊以上電子データ化し、システムに蓄積。AIは単語だけでなく文章も理解し、該当する書籍をピックアップするため、従前の単語のみの検索に比べてヒット率が格段に高くなる。区民からの届け出に対し、その審査・判断の根拠となる文献データを、関連書籍から手作業で探していた従来の手間を大幅に短縮し、区民サービスの向上や職員の負担軽減につなげることがねらい。

 実証実験の結果、1カ月間の書籍等調査件数 約150件すべてにAI検索サービスを活用できた場合の調査時間が、従来の77時間からAIシステム導入後は40時間と、約48%削減できるとの見込みが算出された。複数の関連書籍を瞬時に検索できて効率的に多角的な検討が可能となり、検討に入るまでの時間が短縮されたほか、在籍年数が短い職員の専門性向上にも有効との見通しが立った。

 戸籍事務担当者は「今後は国の通達や通知、全国連合戸籍住民基本台帳事務協議会が編集する文献データなどもシステムに追加ができれば、蓄積データの大幅な拡充につながる。また、全国の自治体に導入されれば、ビッグデータとしてより有効な活用が可能になる。今回のようなAI導入などを手段として、職員の能力を最大限に発揮させられるような自治体DXを進めていきたい」と話した。

実証実験の結果はこちらのページをご覧ください

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