O美術館企画展「写真家 中村立行の軌跡」開催

更新日:平成25年10月18日

O美術館入り口
オープニングセレモニー テープカット関係者への内覧の様子自身の60年前の写真との対面「街の灯」と題した作品
10月19日(土)から11月6日(水)まで、O美術館(大崎1-6-2大崎ニューシティ2号館2階)で、企画展「写真家 中村立行の軌跡-モノクロの昭和/ヌードの先駆-」を開催します。なお、本展は品川区民芸術祭2013の企画展の一つとして開催するものです。
 
中村立行(なかむら りっこう)氏は、大正元年(1912)神戸市生まれ、品川区内に長く住み、戦中から戦後、そして平成にかけて活躍し、平成7年(1995)84歳で亡くなった写真家です。
東京美術学校(現、東京藝術大学)油絵科を卒業し、昭和12年(1937)当時の荏原区立宮前尋常小学校(現、品川区立宮前小学校)の図画専科教員となりました。教員となった後に写真を始め、雑誌や書籍から撮影方法やモノクロ(白黒)写真の現像・焼付・引伸方法などを独学で習得し、多くの作品を発表しました。

今回の企画展では、立行氏が晩年に自身でトリミングして焼き付けた作品から200点ほどを関連資料とともに展示します。
太平洋戦争末期、立行氏が宮前国民学校の学童疎開で引率した際に撮影した作品や、戦後の占領下における庶民生活の真実を写した作品は、歴史写真としても大変貴重なものです。
また、戦後、大井町・戸越・五反田などの住まい周辺の品川区内を撮った作品も多く展示されており、品川のまちの歴史、重要な資料となっています。

一方で、立行氏が著名な写真家として名を成したのはヌード写真でした。立行氏は、当時俗悪だったヌード写真を造形美を追求して芸術作品として水準を高め、戦後のヌード写真界をリードしてきました。

このように、今回の写真展では、立行氏の学童疎開の写真から戦後の庶民生活の真実を追究した写真、そして新境地を開いたヌード写真まで、いわば「中村立行の集大成」ともいえる作品を展示しています。

一般公開に先立ち、10月18日(金)には内覧会が行われ、濱野区長、たけうち区議会副議長をはじめとして、立行氏の長女である鷲野恵子さんら関係者約40人が鑑賞しました。

内覧会では、昭和20年に青森県大鰐へ学童疎開をしたときに、中村立行先生と寝食をともにし、写真のモデルともなっている戸越在住の佐藤経麿さん(79歳)も会場に訪れ、「私の12歳の時の写真です。生き生きしていますね。あの大変な時代に写真を撮っていただき、よくぞ今日にまで残してくださいました。多くの皆さんに見ていただきたいです」と感慨深けに話していました。

なお、会期中に学芸員によるギャラリートークも開催されます。

写真展の概要
 開催期間:平成25年10月19日(土)~11月6日(水)
 開館時間:午前10時から午後6時、ただし、10月25日と11月1日(金)は午後8時まで開館
     (最終日は、午後5時閉館。入館は、閉館時間の30分前まで)
 休館日:木曜日
 観覧料:一般200円 高校生以下・障害者・70歳以上の方は無料

学芸員によるギャラリートーク
 10月20日(日)・26日(土)・11月4日(月)午前11時と午後2時

O美術館
 住所:品川区大崎1-6-2大崎ニューシティ2号館2階
 電話:03-3495-4040