子どもたちが国宝を体感 大井第一小学校で特別授業”見て、感じて、楽しむ松林図屏風”を実施

更新日:令和4年4月25日

LEDで照らされた屏風を鑑賞
講師を務めた文化財活用センターの小島さん 当時の明かりを再現したLEDライトで照らされた屏風 どの明かりで見た屏風が一番きれいだったか挙手
食い入るように屏風を見つめる男の子 絵の元になった風景の写真を並べる 正座して屏風を鑑賞

 ”見て、感じて、楽しむ松林図屏風”と題した特別授業が、令和4年4月25日(月)に区立大井第一小学校(大井6-1-32)で実施され、6年生139人が作品を鑑賞しました。

 この特別授業は、独立行政法人国立文化財機構 文化財活用センターが主催するアウトリーチ(出張)プログラムです。文化財の複製品を用いて、全国各地の子どもたちに文化財に親しんでもらい、豊かな感性を育むことを目的にしています。
 今回、同校に持ち込まれたのは、東京国立博物館が所蔵する国宝<松林図屏風(作:長谷川等伯)>の複製品。最先端のデジタルアート技術と京都の伝統工芸士の手作業を融合して制作されたもので、本物との違いが分からないほどの迫力のある作品となっており、同センターにも4点しかない非常に貴重なものです。

 講師を務めたのは、同センター 企画担当研究員の小島 有紀子さん。そもそも文化財とは何か、また、屏風本来の役割について、フリップなどを用いて説明しました。
 その後、いよいよ屏風の鑑賞です。子どもたちが教室に入るときはあえて閉じていた屏風を、小島さんが文化財の扱い方を解説しながら目の前で広げてみせると、子どもたちは息をのんでいました。

 続いて、この授業のために遮光した室内で、作品が作られた当時の明かりを模した照明をつけての鑑賞や、紫外線の影響があるため本物では行えない自然光での鑑賞を実施。子どもたちは屏風が見せる表情の変化を食い入るように見つめていました。

 最後は、子どもたちが自由に近づいて、思う存分に屏風を鑑賞。墨のみで描かれた色や表現方法、空間を大胆に使った構図などをじっくりと観察しました。

 小島さんが「この屏風に描かれている季節や時間帯はいつで、どんな天気でしょう」「この作品からはどんな音が聞こえてきますか」と子どもたちに投げかけると、子どもたちからはたくさんの意見が飛び出しました。その一つ一つを受け止めながら、「この屏風のような作品を見て、自分の見え方・感じ方ももちろんですが、他の人がどう感じるのかを知り、それを尊重することもとても大事です。ぜひ、これからもたくさんの作品に触れて、感じて、楽しんでください」と特別授業を締めくくりました。

 授業後、子どもたちは「近くで見た時に、とても繊細なタッチで描かれていて驚きました」「社会の授業のとき以上に、昔の人がどんな暮らしをしていて、どんな気持ちだったのかを考えるきっかけになりました」と感想を話していました。